校内ランキング戦
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
.
No.side
青学レギュラー陣は時折緊急会議を行う。
その緊急会議のほとんどが、マネージャーである苗字名前に何かしらあった時に行われていることを、レギュラー陣以外は誰も知らない。
そして今回も練習後桃城が緊急招集をかけた。それは紛れもなく苗字名前についてのことだった。
.
「今日、1年生の越前を見て…名前が…惚れたかもって言ったんス」
静かだった部室がいきなりざわめき出した。「嘘だろ」と落胆の声を各々が上げていく。手塚に至っては目を見開いて固まっていた。不二なんていつもは目を開けないのにおめめパッチリ開眼だ。
「乾、苗字が今までレギュラーに対し惚れたと言ったことはあるかい?」
「ああ、少ないがな。去年の大会で手塚が関東大会を決めた瞬間に号泣しながら「手塚せんぱぁぁい!!惚れましたァァ」と叫んでいたな。それ以外にも冗談半分で言った事例が数個ある。」
「おいちょっと待て。乾今のは苗字の声真似か?ぜんっぜん似てなかったぞ…?」
「いやまってよ大石!それより見てよ手塚の奴見たことないくらい顔が緩まってるよ!」
手塚は指摘された途端真顔に戻ったが、ほんとに緩んで気を抜いた表情をしていた。惚れたと言われた時のことを思い出して喜んでいたのだろう。手塚国光は意外と単純な男なのだ。
「それより…苗字が惚れたって言ったことが問題っスよ」
「でも名前ちゃん年下が好きっぽいよね。今日すんごい1年生に絡みたがってたし」
「昨日なんて会えないのが辛いってずっと嘆いてたからね…」
「確かに、苗字は後輩が入ってくるのを誰よりも楽しみにしていたな。」
モンモンとみんなが考えを浮かべている。もしや本気で惚れたのだろうか。あの1年生ルーキーに。それに苗字は小さいものが好きな傾向がある。後輩も楽しみにしていた。
だんだん重くなっていく部室の雰囲気を打ち消すようにドアが開いた。
「あれ?レギュラー陣おそろいでどしたんですか」
そこにはことの原因である苗字が驚いた顔でたっていた。
.
「この際本人に聞いた方が早いだろう」
「そうだね」
コソコソと話合うレギュラー陣を不思議に思いながら苗字は部誌をいつものところにおいてカバンをとった。明らかにおかしいレギュラー陣だが、よく良く考えればいつもおかしかったことを思い出した。
「じゃ、お先でーす。」
「待ってくれ苗字。…おまえが越前に惚れたというのは本当か?」
手塚が苗字を呼び止めそう問う。
ゴクリ、全員が生唾を飲み込んだ。
.
「は?何言ってるんですか?なわけないじゃないですか!初恋のヒカルくん以来好きな人なんていません」
.
「桃ォォ!!」
「ちょ!みんな怖いっすよ!でもお前たしかに今日_____」
「あれは朝のお返し!」
騙されたー!と爆笑する苗字に対しだんだん頬が赤くなっていく桃城。明らかにため息をついてやれやれと言いながらもどこか安心した面々。今回も一件落着だ。
なんだかんだ過激に捉えるレギュラー陣のせいでこうして何回も緊急会議は開かれているが結局苗字に色恋沙汰があったことはない。
「苗字、引き止めて悪かったな。もう遅い。俺が送っていこう」
「手塚!抜けがけはさせないよん!名前ちゃん俺と帰ろ~」
「残念だったね英二。名前ちゃんは僕と帰るんだよ」
ワイワイと騒ぎ出す3年生に苗字は微笑んで最後にひとつ爆弾を落として言った。
.
「ごめんなさい!私今日越前くんと帰る約束したんで!!」
.
「なんでもう仲良くなってんだよ…!」
「苗字のコミュニケーション能力には全く恐れ入るな。ふむ。データに追加しておこう」
「1年生の彼…やるね」
「ふしゅ~」
.