都大会
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「君、かわいいね!青学のマネージャーさんかな?」
拝啓、お父さん。お母さん。こた。
私はたった今人生で初めて、ナンパとやらをされております。
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無駄に気合いの入った私は急いで準備を進めた。それから、私に出来ることは何かをモンモンと考えながらテニスコートに戻る途中、派手なオレンジ色の髪色にくるんと鳩のようになった前髪。女テニのコートを見て鼻を伸ばす態度、紛れもなく見たことがあった。ジュニア選抜にも選ばれていた山吹中の千石さんだ。
他校のマネ友からもナンパされたという噂話を沢山聞いていたのできっと女の子なら誰でもいいんだろうが、こうしてナンパされたのは初めてで、調子にも乗りたくなる。
「名前は?何年生?」
「苗字名前!ピッチピチの2年生彼氏はいません!」
ビシっ!と敬礼をすれば、彼は声を出して笑った。あははと遠慮なく笑う姿は見ていて気持ちがいい。聞けば、わざわざ山吹中からはるばる偵察にやって来てくれたよう。山吹とは都大会決勝で当たる確率が高いため、なるべくデータは取らせたくないところだけれど。
仕方なく男子テニスコートまで案内してあげようと連れていくと、途中で図書委員に行ってるはずのリョーマくんを見つけた。リョーマくんは、恐らく隣にいる三つ編みの女の子の所持品だと思われるボールに紐が取り付けられた、帰ってくる練習器具を使いこなしている。それを見た千石さんもほぉと声を上げた。
リョーマくんのそばにいるかわいい女の子2人は、恐らく同級生の子達だろうか。よく練習を見に来ているのを見かけるけれど。あからさまにリョーマくんに気がある態度を示す2人がなんだか初々しい。
「うん…綺麗なフォームだね。さすが青学!いい一年がいるな!」
千石さんがそう発するとやっとこちらに気づいたリョーマくん。私と千石さんが二人で歩いているのを把握すると、少し顔を険しくした。そしてリョーマくんが放ったボールはこちらに向かって飛んでくる。私はひぃと悲鳴をあげてしゃがみこんだ。
「うぇ!?当たってない?!」
「あぁーっすごい!!見きってる!!」
しかしボールは千石さんの目の前でピタリと止まり帰っていく。すごい動体視力だ。あのボールの動きを見切るだなんて。思わず鳥肌が立った。千石さんは驚く私を見て楽しそうに微笑んだ。
「おしーなぁもう少し軸足に体重を乗せれば…もっともっとパワーが出せるよ」
千石さんのアドバイスにリョーマくんは生意気に「そりゃどーも」と答えると、ラケットを右から左に持ち替えた。そして勢いよくボールを捉えると今度はバッチリと千石さんの顔にテニスボールが当たった。
「ぎ、ぎゃぁぁぁあ!!!!!」
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