地区予選
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「リョーマくん…!」
試合会場に帰ってきた私たちの目に入ったのは瞼から大量の血を流す。そんなリョーマくんの姿だった。慌てて駆け寄ると瞼がパックリ割れていて血は止まる様子がない。この試合は棄権が妥当だろう。何があったのかはよく分からないけれどラケットが折れているのだから折れたラケットが飛んできたのだろう。
桃が折れたラケットを回収するとリョーマくんは難なく呟いた。
「桃先輩。ついでにかわりのラケット一本だしといて下さい」
全員が、無茶だ。諦めろ。そう言っているのにリョーマくんは辞めるつもりはない。その瞳はただ真っ直ぐに勝ちだけを見つめていた。
スミレちゃんが桃に救急箱を持ってくるように支持する。ガーゼでガッシリと固定され血は止まったものの片目が見えない上に15分が限界だと言う。私は息を飲んだ。
「10分だ!
10分で決着がつかなければ棄権させるぞ。いいな」
「_____行ってこい。無茶するなよ」
手塚部長の言葉に大石先輩は何か言いたげな顔をしたけれど、諦めたようにため息をついた。リョーマくんは「充分」だと笑いながら帽子をかぶり直した。
「名前先輩」
「リョーマくん…」
「ハイタッチすんの、恒例なんでしょ?俺にはしてくんないんスか?」
リョーマくんは、不敵に微笑んだ。
差し出された両手に勢いよくハイタッチをする。リョーマくんは痛いっすと楽しそうに笑ってコートに向かっていった。
「リョーマくん。頑張って…!」
リョーマくんは片手を上げてみせた。