地区予選
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とうとう試合が始まった。まず初戦はD2 不二先輩とタカさんだ。気合バッチしな2人とハイタッチを交わしコートに向かうのを見送る。このハイタッチは試合の時に必ず行っているものだ。試合に出る選手とハイタッチを交わすこの行動は以前いた先輩マネージャーさんから受け継いだものでもある。
不動峰のD2は櫻井くんと石田くん。オールバックくんと白タオルくん。
不二先輩が不動峰の勢いをツバメ返しで断ち切った。これで試合は完全にこちらのペース。たった一球で流れを全てこちらに引き込んでしまったのだから本当にすごい。
そう安心したのも思ったのもつかの間。
相手の石田くんが放った波動球を不二先輩をかばい拾ったタカさんは腕を怪我してしまった。
「タカさん…!」
「なんてことないよ。それより…みんなスマン」
冷却スプレーを要求した乾先輩に素早く持っていく。手は腫れてしまっていた。一応病院に行った方がいいと言うので私も同行することにする。手塚部長にそれを伝えると彼は静かにうなづいた。
「名前ちゃん!」
「英二先輩?」
「ハイタッチ、してくんろ!」
どうやら完全にスイッチが入っている様子の英二先輩は真面目な顔をして両手を前に出した。その手のひらにはまめが沢山出来ていて、努力の証が垣間見えた。私は英二先生にハイタッチをしてそのまま手のひらを握りしめた。
「英二先輩。頑張ってください」
「任せて!」
「大石先輩!頼みます!」
「うん。タカさんを頼むよ。」
大石先輩ともハイタッチを交わし、私は急いでタカさんの所に向かった。きっとゴールデンペアなら大丈夫。恐ることはなんにもない。だから私たちは信じて勝利の知らせを待つだけだ。
タカさんと共にバスで病院に向かう。移動中氷嚢で手を冷やしながらタカさんは深刻そうな顔をしていた。責任を感じやすい彼のことだからきっと色々考えているのだろう。
「タカさん」
「どうしたの?」
「絶対大丈夫です」
「え?」
「青学は負けませんよ」
「ね」と首を傾げて言って見せればタカさんは「そうだね」と微笑んだ。そうだ。青学は絶対に負けない。だってみんな、あんなにきつい練習を繰り返して、あんなに頑張ってきたんだもん。努力はきっと、実を結んでいるはずだから。