校内ランキング戦
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「苗字、お使いを頼まれてくれるかい?」
「了解しやした!何をすれば!」
「この紙に書いてある。この前クーポンをもらってね。遠いんだが神奈川までお願いしてもいいだろうか。ついでに偵察も頼む」
「乾先輩!俺もついてっていーっすか!」
今日は部活が休み。家に帰ってダラダラしようと思っていたがマネージャーだからそういうわけにも行かないようだ。今日は買い出しに行かなくてはならないらしい。私神奈川までの行き方ぶっちゃけわかんないけど。
挙句の果てには桃もついてくるだなんて言い出したけれど丁重にお断りした。休みの日くらい休んでもらわないと!
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大型スポーツ店になんとかたどり着いた。
初めてきたけれどめちゃくちゃでかい。めちゃくちゃ広い。これは迷子になりそうだ。案の定30分くらいテニスコーナーにつかなくて迷子になったけれどなんとかたどり着いた。安いし品揃えもいい、わざわざ神奈川まで来るだけのことはあった。
テーピング、ドリンクの粉、それからあと…
え?野菜?
野菜ならここにはないでしょ!レジで会計を済ませて隣のスーパーへ足を進めた。
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「メークイン?!男爵!?何が違うんだよー!!」
野菜コーナーにたどり着くと悲痛に叫ぶ同い年くらいの男の子がいた。…見事なまでのワカメヘアーだ。わかるわかるよ。天パって辛いよね。…いやいや、彼が今悩んでるのはじゃがいもの種類でしょ。ここはじゃがいもマニア(?)の私が教えてあげようふふん。
「何を作るの?」
「は?あんた誰」
「え?通りすがりの肉じゃが好きですけど」
そう言うと彼は意味がわからないと言わんばかりの顔をした。いやまぁ当たり前だろう。突然見知らぬ女に話しかけられてしかもその女は自分のことを通りすがりの肉じゃが好きだなんて名乗っているのだから。不審で仕方ない。
でも彼は素直なのかなんなのかぶっきらぼうに「カレーだけど」と呟いた。
「カレー作るならメークイン使うんだよ。煮崩れしないかんね!」
3個入りのメークインをとってあげて手渡すと、彼は目をぱちくりと見開いた。それからさっきのぶっきらぼうな態度とは打って変わって眩しい笑顔を私に見せた。うぉっ眩しいー!!!
「さんきゅ!あんた良い奴だな!名前は?」
「苗字名前!」
「ふーん。あんたは何買いに来たの?」
「私はね、部活の買い出し!テニス部のマネージャーなんだー!」
すっかり仲良くなった私たちは互いの食材を一緒に探した。私の買うものはまじで意味わからんかったが乾先輩が必要と言うなら必要なんだろう。切原赤也と名乗った彼は順調にカレーの材料を集めていた。
…切原赤也ってどっかで聞いたことあるなー
「いやー!助かったぜ!ところでカレーってどうやってつくんの?」
「え!?そこから!?」
仕方なく近くの百均で自由帳を買ってレシピを描いてあげると彼は飛んではねて喜んだ。ここまで喜ばれるとなんていうか嫌な気持ちにならないっていうか…え、私もしかしてはめられてる?単純ゆえにこき使われてる?え?
「お前その制服どっかで見たことあんだよなー」
「わたし青春学園の生徒なんだー今日はたまたまこっちに来ただけ!あとは立海大付属のテニス部を偵察して帰るだけ」
「…青学ねぇ。
あー、ダメダメ。今日は練習休みだから。やってねぇよ」
「えぇ!休みなの!?……なんで切原くんが知ってるの?」
「…お前、テニス部のマネージャーしといて俺のこと知らないのかよ」
「えー、ごほん」と仕切り直す切原くん。全く意味がわからないのだけれどもしかして、切原くんは立海大付属の生徒…?だからテニス部のこと知ってるのかな?
予想はつくけど確信には至らない。直接聞こうとした瞬間切原くんは口を開いた。
「立海大付属の2年エース!うわさの切原赤也って俺のことだぜ!」
その言葉を聞いた瞬間突然脳裏に乾先輩が言っていたことを思い出した。____切原赤也。三強の次に強い2年生エースで、来年の立海大付属の主将候補だってこと、それからめちゃくちゃキレやすいってこと。
「アーーーーッ!!!!切原くんって切原くんかぁ!!」
「…どういうことだよ。ま、いーや!お前には色々手伝ってもらったしな。連絡先交換してやるよ」
「え、なんでそんな上から?」
私が買ってあげた自由帳の1ページをべりべりとはいで彼は連絡先を汚い字で書くと私に渡してくれた。受け取って財布の中に入れる。(ちらりと跡部さんの電話番号も見えたけれどこれには無視する)
「カレー作れたら写真添付すっから!じゃーな名前!また会おーぜ!今度はゲーセンでな!!」
「おーよ!切原くんばいばーい!」
「赤也でいいって!」
「赤也!ばいばい!」
嵐のような子だったな。
疲れからか口からはため息がこぼれた。
しかし、そのあと添付されてきたカレーは美味しそうにできていたから満足である。