校内ランキング戦
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元気だしなよ薫ちゃん!
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リョーマくんはまさかあの海堂のスネイク…バギーホイップショットを使いよった。もはや海堂のメンタルはズタズタだ。自分が今まで努力して得てきたものを目の前の相手が見ただけでこなしてしまうのだ。これ以上に悔しいものは無い。
「ゲームセットゲームヴォンバイ越前6-4!!」
海堂の負けだ。
途端、海堂は自身の膝をラケットで叩き始めた。鈍くて痛い音が響き渡る。1年生は顔を真っ青にしていた。海堂は誰よりも自分に厳しい。策に溺れた上、1年生ルーキーに自身の技まで使われボロボロだ。許せないんだろう。握手もせずにコートから立ち去った。
どんなに悔しかろうと、どんなに悲しかろうと
だけれど自分自身を傷つけていい理由にはならない。
「桃、わたし」
「わーってるって。行ってやれよ」
彼には全てお見通しらしい。
走って海堂の元へ向かった。
_____
「海堂!」
「…」
「かいどぉー!!」
「…」
「薫ちゃーん!!」
「んだとてめぇ!」
あ、やっと返事した。
振り向いた海堂の手を握りしめて逃げられないようにする。海堂はそんな私の姿を見て目を丸くして見せた。こうでもしないと勝手にどっかに行くのはそっちのくせに。
私は饒舌ではないから上手に慰めることも、励ますこともできないけれど。でも伝えておきたいから伝える。それが私流の慰めだ。
「足」
「あ?」
「血ぃ出てるよ。」
「んなの見たらわかるだろ」
「痛い」
「…痛くねぇ」
「痛いよ海堂。」
海堂の手を引いてベンチに座らせる。海堂は歩く途中も座ってからも何も喋らない。ただ下を俯いていた。わたしとは顔も合わせたくないのだろう。常にギャーギャー騒いでるんだからこんな気持ちの時にまで来んじゃねぇと思ってるに違いない。だがわたしはチームのマネージャーであり海堂薫の友達だ。言うことは言わなきゃならない。
「悔しいよね。海堂が今までたくさん頑張ってるの見てきたから少しは分かるつもりだよ。でも、それと同時に悲しいよ海堂」
「…俺が負けて、見損なったんだろ。期待してたのに無様な負け方した俺を見て_____」
「それは違う」
救急箱から消毒液を取り出す。消毒していると染みたようで海堂は小さく「イッ」と声を漏らした。痛いなそういえばいいのに…堪えたのだろう。変にプライドの高い彼らしいなと思った。
「私はね、海堂の綺麗な足が血に染まったのが悲しいの。」
「…は?」
「こんなに綺麗な足してるのになんで傷つけてんのかマジで意味わかんない。え?自虐する必要あった?許してやれよ自分の足くらい。」
ポカーン。
効果音で例えるならそんな感じ。なんていうの?鳩が豆鉄砲くらったみたいな。すんごいあほ面である。しかし私は話を続ける。
「ま、それは冗談としてもさ。
大切なチームメイトが傷ついてる姿なんて私みたくないわけよ。だからそんなに自分を責めないで。傷つけないでほしい。」
「…」
「それに、まだレギュラー入りのチャンスはあるでしょ!がんばれがんばれ!」
「…おう」
小さく返事したのを確認して一安心だ。
最後に数枚カットバンを貼ってその場所を叩いてあげた。今度はちゃんと「痛ぇ!」と言った。
海堂薫くんは素直じゃないから「おう」が全力の肯定なのだ。どこまでも不器用だけれどそこもなんか海堂らしいから私は結構好きだ。
「おい!苗字」
「ん?どった?」
「…サンキュな」
そう不器用に言い捨てると海堂は走ってどこかへ行った。その背中を見ていると、嬉しさがじわじわとこみ上げてきて一人部室近くのベンチで「ぎゃぁぁぁ」と雄叫びをあげた。
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リョーマくんはまさかあの海堂のスネイク…バギーホイップショットを使いよった。もはや海堂のメンタルはズタズタだ。自分が今まで努力して得てきたものを目の前の相手が見ただけでこなしてしまうのだ。これ以上に悔しいものは無い。
「ゲームセットゲームヴォンバイ越前6-4!!」
海堂の負けだ。
途端、海堂は自身の膝をラケットで叩き始めた。鈍くて痛い音が響き渡る。1年生は顔を真っ青にしていた。海堂は誰よりも自分に厳しい。策に溺れた上、1年生ルーキーに自身の技まで使われボロボロだ。許せないんだろう。握手もせずにコートから立ち去った。
どんなに悔しかろうと、どんなに悲しかろうと
だけれど自分自身を傷つけていい理由にはならない。
「桃、わたし」
「わーってるって。行ってやれよ」
彼には全てお見通しらしい。
走って海堂の元へ向かった。
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「海堂!」
「…」
「かいどぉー!!」
「…」
「薫ちゃーん!!」
「んだとてめぇ!」
あ、やっと返事した。
振り向いた海堂の手を握りしめて逃げられないようにする。海堂はそんな私の姿を見て目を丸くして見せた。こうでもしないと勝手にどっかに行くのはそっちのくせに。
私は饒舌ではないから上手に慰めることも、励ますこともできないけれど。でも伝えておきたいから伝える。それが私流の慰めだ。
「足」
「あ?」
「血ぃ出てるよ。」
「んなの見たらわかるだろ」
「痛い」
「…痛くねぇ」
「痛いよ海堂。」
海堂の手を引いてベンチに座らせる。海堂は歩く途中も座ってからも何も喋らない。ただ下を俯いていた。わたしとは顔も合わせたくないのだろう。常にギャーギャー騒いでるんだからこんな気持ちの時にまで来んじゃねぇと思ってるに違いない。だがわたしはチームのマネージャーであり海堂薫の友達だ。言うことは言わなきゃならない。
「悔しいよね。海堂が今までたくさん頑張ってるの見てきたから少しは分かるつもりだよ。でも、それと同時に悲しいよ海堂」
「…俺が負けて、見損なったんだろ。期待してたのに無様な負け方した俺を見て_____」
「それは違う」
救急箱から消毒液を取り出す。消毒していると染みたようで海堂は小さく「イッ」と声を漏らした。痛いなそういえばいいのに…堪えたのだろう。変にプライドの高い彼らしいなと思った。
「私はね、海堂の綺麗な足が血に染まったのが悲しいの。」
「…は?」
「こんなに綺麗な足してるのになんで傷つけてんのかマジで意味わかんない。え?自虐する必要あった?許してやれよ自分の足くらい。」
ポカーン。
効果音で例えるならそんな感じ。なんていうの?鳩が豆鉄砲くらったみたいな。すんごいあほ面である。しかし私は話を続ける。
「ま、それは冗談としてもさ。
大切なチームメイトが傷ついてる姿なんて私みたくないわけよ。だからそんなに自分を責めないで。傷つけないでほしい。」
「…」
「それに、まだレギュラー入りのチャンスはあるでしょ!がんばれがんばれ!」
「…おう」
小さく返事したのを確認して一安心だ。
最後に数枚カットバンを貼ってその場所を叩いてあげた。今度はちゃんと「痛ぇ!」と言った。
海堂薫くんは素直じゃないから「おう」が全力の肯定なのだ。どこまでも不器用だけれどそこもなんか海堂らしいから私は結構好きだ。
「おい!苗字」
「ん?どった?」
「…サンキュな」
そう不器用に言い捨てると海堂は走ってどこかへ行った。その背中を見ていると、嬉しさがじわじわとこみ上げてきて一人部室近くのベンチで「ぎゃぁぁぁ」と雄叫びをあげた。