純愛シリーズ
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作者沖縄弁初めてですのでニュアンスなど違ったらすみません><
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「名前!
「どうせ寄り道するんでしょ?」
「あたりまえやし!」
私の手を無理やり引きながらそうはにかむ裕次郎を見たら、早く帰りたいとか、部活で疲れてるのに、とかそんなのどうでも良くなって、ついつい首を縦に振ってしまうのだ。私はめちゃくちゃ裕次郎に甘い、自覚はある。
中学2年に入ると同時に沖縄に突然やってきて比嘉中に転入してきた私を、裕次郎は迎え入れてくれた。元々親が知り合いなのもあって裕次郎の隣の家の空き家を借りて住んでいる。それから1年は経ったがよくわかったことがある。それは裕次郎はめちゃくちゃ寄り道をするということ。
ファストフード店から始まり海に行ったり山に行ったり今どき小学生でもしないようなことをするのだ。そこが可愛かったりもするのだけれど。
「早く
「わかったから!引っ張らないでよー!」
「
彼は誰にも持ってない魅力を持っている。人懐っこいように見えて警戒心は人一倍で、テニス部以外の人と話すところはあまり見ない。明るいけれど、寂しがり屋でかまってちゃん。わがままなところも結構ある。言い出したら切りがないけど、裕次郎は人を惹きつける。
だから、モテる。女の子がキャーキャー言ってるのもよく聞く。テニス部はあまり評判が良くないから人気じゃないけれど、凛ちゃんと木手くんは別だ。それから裕次郎も、1部の女子に人気。
不安になるのは仕方ない。私たちは別に付き合ってるわけでもなんでもないから。幼い頃から一緒ってわけじゃない。私たちの関係性に名前はない。
「あい?名前どうしたんだよ」
「…なんでもない。どこ行くの?」
「まあいいから着いてこいよ」
やけにご機嫌な裕次郎の手を離さないように握ってついていく。あたりはもう真っ暗だ。そりゃ部活が終わってからこうして寄り道についてきてるんだからあたりまえか。
裕次郎、身長のびたなあ。髪の毛も茶色のが似合ってる。
どんどん変わっていく。たった1年だけれど、もうであった時とは違う。私も、裕次郎も。
「
「ええ!?」
「いいから
言われるがままに目を閉じた。裕次郎が私を優しくエスコートする。真っ暗で何も見えないけれど、ツンと鼻にかおるのは海の匂い。ここは、海?ザァと波が押し寄せて、引いてを繰り返す音が聞こえてくる。沖縄の海はすごく綺麗で初めて見た時は感動のあまり言葉も出なかった。
でもなんでこんな夜に海になんて連れてきたんだろう。
「
「…わっ!星!」
目を開けて、ぼやけていた視界が次第にハッキリピントがあってくる。海の真上に広がる綺麗な星の海。何度も瞬きを繰り返す。こんな綺麗な夜空を見たのは初めてだった。
知らなかった。こんな綺麗な名所があるなんて。
私は沖縄のことを知ったようで知らなかったんだ。きっと、裕次郎たちのことも知ってるようで全然知らない。
「すごいきれい…」
「
「私に?」
なんで私になんだろう。
テニス部のみんなでも、クラスメイトの女の子でも、裕次郎の好きな子でもなくて、私。
それだけで嬉しくて頬がにやけるのは仕方ない。それくらいには彼のことが私は好きだから。
「
「?どゆこと?」
「…あー、うー、だから」
裕次郎は数秒頭を抱えて、うねった後急にキリッと真面目な表情をして帽子をかぶり直した。わけがわからなくてクエスチョンマークを飛ばしまくる私はお構い無しに、彼は私の肩を掴んで目と目を合わせると、深呼吸をした。
「
そういった彼の声は少し震えていた
「えっ!?えっ!?本当!?」
「騒ぎすぎやっし!
「だって、私も好きなんだもん」
私がそう言うと、裕次郎は数秒間を開けたあと目を見開いて驚いた。それから、私に向かって勢いよく抱きついた。受け止めきれなくて、2人して砂浜に転げ落ちる。見つめあって、笑いあった。
「あぁ~
「ちょ!裕次郎急に抱きつかないでよびっくりしたぁ…」
「
「裕次郎!重いもん!」
嫌味っぽくそう言えばうるさいと言わんばかりに頭を叩かれた。でもこんな時間もなんだか幸せで幸せで、さっきまでの謎の不安も消えていった。お母さんから早く帰ってこいとLINEがたくさん来ていたことに気づくのはもう少しあとの話