純愛シリーズ
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不二周助と美化委員
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「綺麗だね」
えらく太陽が眩しい日だった。
夏なのもあって、少し肌に張り付いた制服が鬱陶しかった。汗がうなじをつたう感覚も好きにはなれなくて、おもわずため息をこぼした。その瞬間、頭上から綺麗な声が聞こえてきて、ゆっくりと首を振り向かせた。その声の発信元はテニス部の不二先輩。友達がかっこいいと騒いでいたのをよく覚えている。
綺麗だね。そういった彼の優しげな表情を見て、私は綺麗なのはあなたじゃないかと密かに思った。
「ありがとうございます」
「うん。綺麗に咲いてるね。」
彼が綺麗だと褒めたのは私が手入れしていた花たち。実は彼と私が会うのは初めてなんかじゃない。私は彼が何度か花を見に来ていたことを知っていた。いつもきまってじょうろを取りに行ったタイミングで彼はやってくる。じっと、花を見つめて少ししたらどこかに行く。その仕草が美しくて、見惚れてしまっていたのもまた、事実だ。
わざわざいつも私がいない時に来ていたのに。何故今日は話しかけてきたのか。不思議だったけれど聞くのも野暮だから私は愛想笑いで誤魔化すのだ。
「不二先輩は花が好きなんですか?」
「好きだよ。僕自身サボテンを育てているんだ。」
「サボテンかぁ」
そう言えばサボテンは育てたことないなと冷静に思起す。今度ちゃんと調べてみようかな。
なるべく葉や花に水が被らないように、土の部分に水をあげる。手馴れた作業だから苦ではない。どちらかと言うと今痛いくらいに視線を私に向ける不二先輩のことの方が苦だ。
特に話すことも話しかける理由もないし、かといって無視するのも少し気が引ける。行動力のない私は花の手入れに忙しいフリをするのだ。
「ああ、そうだ。今度テニスの試合があるんだ。見に来てくれないかな?」
思わず、手を止めて振り返った。すごい勢いだったと思う。不二先輩を見ればいつもと変わらないほほ笑みを浮かべていた。彼が読めない。
ついでのようにぽろりと零した彼の言葉はついでにしてはあまりにも爆弾すぎた。
いままで話したこともないのになんで。むしろ、避けられていたのではないのか。なんで。そればかりが頭の中をぐるぐるぐるぐる。
「…なんで私なんですか?今日初めましてですよね」
「確かに君と話すのは初めてだけれど。僕はいつも君のことを見ていたよ」
傍から聞けば少しぞっとしてしまうような台詞だけれど、不二先輩が言うとそんな風に感じない。これがイケメン効果なのだろうか。なんて冷静に分析をしていた自分には呆れてしまう。だって今目の前で起きていることはまるで漫画みたいなことで、私なんかがこんな体験するなんて思ってもみなかった。
「だから、ね。来てよ。詳しいこと連絡したいからメールアドレス教えて?」
「聞くまでもなく私のスマホ取ってるじゃないですか!」
「はい、僕の登録したからメール送ってね。送ってくれなかったら明日も来るから」
「…はい」
「まあ送ってくれても会いに来るけどね」
どうやら私は気に入られていたらしい。
満足そうに笑い手を振って去っていく不二先輩を見ながら大袈裟にため息をついた。すごく面倒なことになった気がする。
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「綺麗だね」
えらく太陽が眩しい日だった。
夏なのもあって、少し肌に張り付いた制服が鬱陶しかった。汗がうなじをつたう感覚も好きにはなれなくて、おもわずため息をこぼした。その瞬間、頭上から綺麗な声が聞こえてきて、ゆっくりと首を振り向かせた。その声の発信元はテニス部の不二先輩。友達がかっこいいと騒いでいたのをよく覚えている。
綺麗だね。そういった彼の優しげな表情を見て、私は綺麗なのはあなたじゃないかと密かに思った。
「ありがとうございます」
「うん。綺麗に咲いてるね。」
彼が綺麗だと褒めたのは私が手入れしていた花たち。実は彼と私が会うのは初めてなんかじゃない。私は彼が何度か花を見に来ていたことを知っていた。いつもきまってじょうろを取りに行ったタイミングで彼はやってくる。じっと、花を見つめて少ししたらどこかに行く。その仕草が美しくて、見惚れてしまっていたのもまた、事実だ。
わざわざいつも私がいない時に来ていたのに。何故今日は話しかけてきたのか。不思議だったけれど聞くのも野暮だから私は愛想笑いで誤魔化すのだ。
「不二先輩は花が好きなんですか?」
「好きだよ。僕自身サボテンを育てているんだ。」
「サボテンかぁ」
そう言えばサボテンは育てたことないなと冷静に思起す。今度ちゃんと調べてみようかな。
なるべく葉や花に水が被らないように、土の部分に水をあげる。手馴れた作業だから苦ではない。どちらかと言うと今痛いくらいに視線を私に向ける不二先輩のことの方が苦だ。
特に話すことも話しかける理由もないし、かといって無視するのも少し気が引ける。行動力のない私は花の手入れに忙しいフリをするのだ。
「ああ、そうだ。今度テニスの試合があるんだ。見に来てくれないかな?」
思わず、手を止めて振り返った。すごい勢いだったと思う。不二先輩を見ればいつもと変わらないほほ笑みを浮かべていた。彼が読めない。
ついでのようにぽろりと零した彼の言葉はついでにしてはあまりにも爆弾すぎた。
いままで話したこともないのになんで。むしろ、避けられていたのではないのか。なんで。そればかりが頭の中をぐるぐるぐるぐる。
「…なんで私なんですか?今日初めましてですよね」
「確かに君と話すのは初めてだけれど。僕はいつも君のことを見ていたよ」
傍から聞けば少しぞっとしてしまうような台詞だけれど、不二先輩が言うとそんな風に感じない。これがイケメン効果なのだろうか。なんて冷静に分析をしていた自分には呆れてしまう。だって今目の前で起きていることはまるで漫画みたいなことで、私なんかがこんな体験するなんて思ってもみなかった。
「だから、ね。来てよ。詳しいこと連絡したいからメールアドレス教えて?」
「聞くまでもなく私のスマホ取ってるじゃないですか!」
「はい、僕の登録したからメール送ってね。送ってくれなかったら明日も来るから」
「…はい」
「まあ送ってくれても会いに来るけどね」
どうやら私は気に入られていたらしい。
満足そうに笑い手を振って去っていく不二先輩を見ながら大袈裟にため息をついた。すごく面倒なことになった気がする。