純愛シリーズ
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手塚国光と私の関係は一言で表してしまうと恋人だ。でもこの2文字で表しきれないくらいには彼と色々なことがあった。初めて生徒会室で出会って、テニスの応援に来ないかと誘われて、文化祭を共に回らないかと誘われたりして、大分仲良くなってきて2人で出かけないかと声をかけられた。今思い返せば全て彼からの不器用なアピールだったのだ。あの頃はなんで私なのかと不思議でしょうがなかったがいまとなれば全て理解してしまい手塚国光の可愛さに思わず吹き出してしまう。
告白は彼が生徒会長に選ばれた日だった。それは同時にわたしが副生徒会長に選ばれた日でもあった。この頃には私も彼に惹かれていて、彼の隣で彼をサポートするのは私がよかった。それだけの単純な理由で立候補してなんなく副生徒会長になることが出来た。
体育館の片付けも全て終わって生徒会室に戻るとそこには手塚国光がいて、「おめでとう」と言うと「お前もだろう。…おめでとう」となかなか見れない笑顔で言われてしまったものだから言う予定もなかった告白を勢いでしてしまった。小さく「私、手塚のこと好きなんだ」と言えば途端彼は私をその細腕で引き寄せて彼の胸の中に閉じ込めた。
「いたいよ、手塚」
「すまない」
「返事は教えてくれないの?」
「聞かなくても分かっているだろう」
「聞かせてよ」
「…俺も好きだ」
さむいさむい冬だった。
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いつのまに寝てしまっていたのだろうか。ゆっくりと重たい瞼を開ければそこは木陰だった。そういえば、お昼ご飯を食べに来て手塚を待っていたあいだに暖かい春の気候のせいでうとうとしていた所までは覚えている。ゆっくりと体を起こしてスマホで時間を確認するとついてから10分ほど経っていた。
「おはよう。よく寝ていたな」
「…起こしてくれてもいいのに」
「最近仕事を任せきりにしていたから疲労が溜まっているのだろう?…すまない」
「いいよ…それに」
「疲れてるのはそっちのくせに」と呟けば彼はあたかも驚いたと言わんばかりの顔をした。テニス部部長に生徒会長という2つの看板を背負う彼は人に弱いところを見せようとしない。少なくとも、テニス部や役員以外は手塚国光が疲れているなんて誰も思わないだろう。でも、彼女であるわたしには本当に疲れている時に弱みを見せてくれた。
「くる?」と両手を広げれば言った途端に私の胸に飛びついてきた。そんな素直なところが可愛くて仕方ない。それと同時によっぽど疲れていることが伺えてさっきまでぐーすかねていた自分が恥ずかしくもなった。ギュッと彼が私を強く抱き締めたから彼の匂いに包まれながら背中を2度ポンポンと叩いてみせた。
「お前にはなんでもお見通しだな」
「彼女だもん」
「…そうだな」
「無理しちゃダメだよ」
「していない」
「どうだかな」
腕の力が緩まった。満足なのかと思い顔をあげれば頬を掴まれてキスされた。キスする時に彼が私に合わせて屈む行為が私は結構好きだったりする。彼の優しさが垣間見えるから。彼のこんな1面知ってるのは私だけだと思えば独占欲で胸がこがれる。単純な女だ。
触れるだけのキスを何回か繰り返す。唇だけじゃ至らなかったのか頬や額、首にキスを落としていく。彼の唇の温度が伝わってきてなんだかゾクゾクした。
「ふふ、くすぐったい」
「…好きだ」
「知ってるよ」
彼は優しく私の耳を噛む。
ちくりとした痛みに子猫が甘噛みするような感覚を覚えて今度は私から手塚にキスをした。
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