家出
お名前をどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「帰ったぞ」
「ちゅーやくんだっ」
「ったく。立派な家出じゃねーか。何が“パパにはちゃんと言った”だ」
「いったもん。“勝手にしなさい”っていったのはパパだもん」
「そろそろ帰ってやれ」
「なんでぇ?」
どうせ帰ったってパパはあたしの方に見向きなんてしてはくれない。
ポートマフィアの首領としてあたしですら捨て駒にしか見ていないだろう
「アイツが心配してる」
「しんぱい?」
「あぁ」
嘘だ。そう言ったあたしに
「良いことを教えてやる」
「いいこと?」
「あぁ。ポートマフィアにある託児所は元来テメェの為に作った居場所だ。
首領として構える時間が少ない。でも他所に預けるのは不安だから、あの中にお前が安全で安心して過ごせる場所をってアイツが作らせたんだ」
「そうなの?」
「あぁ」
下を向いたあたしに
「アイツが自分の娘を見てねぇはずがねぇ。ちゃんとこうやって見てくれてるだろうが」
「うん」
==
翌日
パパが誰よりも早くに此処に入ることは知ってた
そして昨日中也君が古着を買ってきてくれたのを着て、中也君と一緒にポートマフィアの中に入ると
「おやおや」
「中原幹部、その子供は?」
「梓紗だ」
「はい!?」
そういう反応になるよね
「太宰はもう来てんだろ」
「はい。ですが相変わらずピリピリしていまして」
「構いやしねぇよ」
あたしを抱きかかえてパパのいる部屋に向かうエレベーターに乗り込んだ中也君は
「中原幹部!?」
入り口にいる黒服の男たちの制止を振り切って中に入ると
「何しに来たの。然もその汚い服を着た子供は何」
「へぇ。自分の娘も分かんなくなったか。糞太宰」
「は?梓紗!?」
パパの大きな声にびっくりして中也君に思いっきりしがみ付くと
「俺の部屋の前に居やがった。残念ながら服を買ってやる余裕はなかったからそのまま来させたが風呂に入れてある」
「そうかい」
下に降ろされたあたしは如何したら良いのか分からず中也君の足にしがみついていて
「梓紗」
「ちゅうやくん?」
「自分の親父だろ。行って来てやれ」
背中を押されたあたしは其の儘恐る恐るパパの所に行くと
「帰ってきたのかい」
やっぱり、こういう反応だ
「全く。何処に行っていたのかを訊くべきなんだろうけど、中也の所でも帰ってきたことには変わりはないからね」
「え?」
「お帰り梓紗。中也」
「あ?んだよ?届けもんは確かに送り届けただろうが」
「君今日暇だったよね。任務もないし、執務室での仕事もないはずだ」
「ねぇな。此奴を探そうと思ってたしな」
「なら梓紗の服を見繕ってきてあげてよ。経費で落としても構わないよ」
「おいおい。マジで言ってんのかよ」
「本気だよ」
「あずこのままでもいいよ?」
「「駄目」」
「だめ?」
「当り前だろう?その薄汚い服を着させておくはずがない。中也と一緒に買ってき給え」
「わーったよ」