家出
お名前をどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
玄関にいたままの太宰さんはあたしの手を離すまいと握ったままリビングの前に来ていた
「寝室は?」
「う…上…」
「成程ね」
2階まで階段を上って行くと寝室である部屋以外はドアが閉まっているせいか直ぐに見破られてしまった
「!!」
寝室に入ってベッド脇に置いている棚の上に有る写真を見て驚いた顔をしている太宰さん
「何でこんな物だけを」
こんな物…か
「それでも、あたしには大事だったから」
「私と一緒に選んだ食器よりもかい?」
「はい」
解せないな。そう言った太宰さんはあたしをベッドの上に投げ捨てるように放り投げて
「ちょ…っ」
「言ったろう?お仕置きだと」
言っていた。言っていたけれど何で…あたしが責められなくちゃ…
「和泉…?」
「何で…あたしを…」
手放してはくれない…の?
「はぁ…。とりあえず、日本へ帰ろう」
「い…いやっ」
「何故だい?君は日本人で、この場所に居るべき人間ではないだろう」
「あたしは、此処に生まれてきた人間。此処で生まれ、ある程度まで育ち此処で“異能力”を発現させた。あたしの居場所です」
「では、私の傍にいるのは、居場所ではなくなったと」
「そう言っているではないですか」
其れに、女の人と一緒に入水をしたのでしょう?
あたしは、もう、用なしだ。と言われているようなものではないの?
「和泉よく訊き給え。」
「き、訊く必要なんて…」
「和泉」
「訊きたくないっ」
訊きたくなんてない。貴方からの、今あたしに言おうとしている言葉は今のあたしに訊く資格なんて…
「和泉」
あたしの手をあたしの耳から離すと
「和泉。良く訊き給え。和泉のいるべき場所は、私の隣だ。例え、誰が何を言って来ても。異能力を発現させたからなんだというのだ」
「え?」
ベッドから無理矢理起こされたあたしは太宰さんの上半身に頭をくっつける形になってしまった
そうなれば、じかに聞こえる太宰さんの心臓の音がドクドク言っているのが分かる
「和泉が、異能力を発現させていなくとも和泉の隣に立つ男は私だけで十分だ。他の誰にも和泉を渡す気は毛頭ない」
!!
「和泉がいなくなって
社長から和泉は亡くなったから忘れろと。そう言われたとき
全く持って生きた心地がしなかった。
そして、そう言った時に乱歩さんも不在で、ポートマフィアに行った形跡も、連れて行かれた形跡もない
戻って来た乱歩さんには、日本じゃない場所に居る。とだけ言われた。
其れが生死の問題なのかが分からなくてね。余計に生きた心地がしないでやっとの思いで此処にいる事を突き止めた」
「え…?」
「今の和泉が訊いているこの音が何よりの証拠だ」
「…っ」