家出
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数か月後
あたしがいるのは生まれ育った国
フランス。
フランスとは言っても、テレビに出てくるような美しい景色とは真逆の
のどかで、静かな田園地帯。所謂、田舎と言ってもいい場所だ
「和泉」
「あ、どうかしたんですか」
「いや。どうも水が足りない様でね」
田舎なのはいいけれど、水が足りなくてあたしの異能力を知ってか知らずか頼まれることもしばしばある
「夜のうちに振らせておきますね」
「助かるよ」
買い物袋を持ったまま家に入ろうとしたときだった
「随分とのどかな所だねぇ」
「え?」
「やぁ。和泉。久しぶりだねぇ。何もないとはいえ、こうもご近所が男ばかりなのが些か許せないのだけれど」
何で、此処に…
「与謝野先生は知らない。国木田君に谷崎君は、乱歩さんに頼まれていた買い物の帰りを見たのが最後社長に関しては、和泉の事は忘れろ。そう言われてしまった」
あたしが、そう言ってくれと…頼んだから、社長はそう言ってくれていたの?
「乱歩さんに関しては、日本ではない国にいる。としか教えてはくれなかった」
!?
「安吾に訊いても、個人情報になりうることは教えられないと
だけれど、調べても調べても出てくることはないアパートに行ってももぬけの殻。私と選んだ食器も、何もかもが無くなっていた。
極めつけは、電話だ」
電話?
「いくらかけても繋がらない。発信機は使い物にされなくなってしまっていた」
「!?」
あの電話に発信器を仕掛けていたの?
「此処まで探し出すのに、苦労したのだよ。和泉」
「何で今更、あたしに拘るのですか。“太宰”さん」
ピクリと止まった指先
「今まで見たく、他の女性を相手にしていれば、太宰さんの理想の女性に出会えたかもしれないと言うのに」
カツカツと前から歩いてくる太宰さんに後ろに下がってしまうあたしは
ある程度、距離があるならと家のドアを開けた瞬間
あたし事中に閉じ込めて来たのだ
「自分が、何を言っているのか分かって居るのかい?」
「分かって…」