家出
お名前をどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はい。これ」
そう渡されたのは箱ではなく紙に包まれた和菓子
「此れは?」
「おまけだよ。お嬢ちゃんに、特別だ」
そう渡してくれた大判焼きは温かくて
「ありがとう」
支払いを済ませて歩きながら帰っているときだった
「あれ?国木田さんに、谷崎君?」
「あ、和泉さん。いいところに」
良いところ?
「あ、お買い物中でしたか?」
「ううん。此れは乱歩さんに頼まれたお使いの品」
「あぁ。成程」
「で?何かあったんですか」
「太宰の奴が…」
女と一緒に川に飛び込んだという目撃情報が入った
そう言った国木田さんの言葉に頭が真っ白になってしまった
「和泉?」
「いつか、そうやると思ってたから、大丈夫ですよ?」
「大丈夫そうには見えんがな」
苦笑いをしていると
「其れを乱歩さんに届けるのが優先だな」
「はい」
「探偵社に戻ったら、他の仕事を片しておいてくれ」
「分かって居ますよ」
それじゃあ。そう言って2人から離れると堪えきれなかったものが溢れて来てしまった
泣きながら、探偵社に帰っても涙を止めても、どうせ、乱歩さんにはすぐにばれるんだろう
探偵社に戻ると
「おっかえりー」
乱歩さんの机に買って来たお菓子を統べておくと
「社長はいますか?」
「いるけど。和泉の言うことに
社長は頷いてもくれないし、太宰が止めに入るよ」
どういう…事?
「と言うか、何処に行っても
「え?」
「行って見なよ。社長室」
社長室に入ると
「どうかしたのか」
「社長…これを」
そう、前々から準備だけはしておいた退職届
「何を言っても無駄なんだろう?」
「そう…ですね」
「だが、これを受け取ったら、お前の居場所が此処には無くなってしまうぞ」
「構いません。昔の様に戻るだけです」
「いいのか。それで」
「はい」
此処には無くなる。
其れはあたしが