バレンタイン
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2月14日の探偵社の中
「随分とご機嫌で帰ってきてるねぇ。茉白ちゃん」
「お久しぶりです。太宰さんも皆さんも」
探偵社を見渡すと、乱歩君はいない様子で
「あれ?乱歩君は」
「今日は非番のはずですが」
非番?仕事で探偵社に居るって言ってたのに?
「そっか」
探偵社の皆が疑問に思ったことがあるのだろうが其れを言わないあたりを見るときっとあたしが此処に来ないと思っているからだろう
「乱歩さんに騙された感じかな」
「そうみたいですね。昨日の時点で今日は仕事で探偵社にいると乱歩君に言われていますので」
「おやおや」
「お父さんも今日は非番ですか」
「非番ですよ。なので朝から家にはいませんでしたし乱歩君も家を出ていますよ」
「社長と一緒にいる可能性があるということですか」
「そうなりますね」
頑張って作ったこのチョコも無駄になっちゃうかな…。探偵社の皆には、クッキーを焼いて持ってきている
「そうそう。これ良かったら皆さんでどうぞ」
そう、持っていたクッキーを出すと
「おやおや。珍しいね」
「バレンタインですから。あげたい本人は此処にいない様なので無駄になっちゃいそうですけど…」
「社長には?」
「お父さんは甘いものを好まないので、家にお酒を置いてありますよ」
「其れはまた素晴らしい考えだね」
「でも、今日中に帰っちゃいますよね。茉白ちゃん」
「うん今日はこれから帰るつもり。明後日には学校もあるし、いつまでも此処にいると向こうに帰りにくくなっちゃうから」
「そうかい」
そんな中、帰ってきたのはナオミちゃんで
「あれ?お久しぶりですわ!」
「久しぶりだね」
「元気がないようですけど」
「察してやれ」
「そうそう。ナオミちゃん此れ良かったら食べて」
「え?いいんですか?」
「うん。あげたい本人が此処にいないしあたしはこれで帰るね」
「乱歩さんが静かに怒りそうな案件だねぇ」
なんて言ってた谷崎君の言葉を無視して探偵社を出て
暗くなったのを頃合いに横浜駅に来て東京に帰ろうとしたのに
電車に乗り込んですぐに行き成り腕を引っ張られたと思ったら
「ねぇ」
「!?」
「何か僕に渡すものあるでしょ」
あたしを見てくる翠色の瞳には逆らえなさそうな感じで
きっと、あたしが何を思っていて、乱歩君が思っている物はもうすでにあたしの手中にはないということも確実に分かって居るはずなのに
「ないよ」
「どういう事」
「乱歩君にあげる
「何で?今朝、紙袋2つ持ってたでしょ」
あぁ。そういう事
「だって、全部上げちゃいましたもん。だから、乱歩く…」
「僕に渡すはずの貯古齢糖をナオミに渡したことは知ってるよ」
何で
「でも僕は探偵社に今日は行かないし、出勤だって嘘を言って社長と一緒にいたことも変わりはないけどさ。
社長にも与謝野産にも用意していて、何で僕に渡す分だけ別の人にあげちゃったわけ」
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