ヤキモチ
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何の変哲もない時間が只々過ぎて行った数か月後
ある日を境に太宰さんの服からあたしのじゃない女の人の香水の香りがついて帰って来るようになったのだ
探偵社に居れば、与謝野さんも事務員の人たちもいるから分かる。
でも、その人たちとは全く違う匂いなのだ
気のせいだと。何度も思わせていたのに
「え…」
街中で、美女に声をかけている包帯の長身の男性。見間違えるはずがない
「何で…」
然も、終いにはあんなにべったりとくっついているのだ。女の人の香水がついても可笑しくもない
終いには口づけまでし始めているのだ
「なぁんだ。やっぱり遊びだったんじゃん」
その場を離れて探偵社に行くと
「あれ?今日って」
「鏡花に伝えてくれる?暫く勉強が見られなくなったと」
鏡花にお詫びにとデザートのプリンの詰め合わせを買ってきているのだ
「分かりました?」
「ごめんね」
そう言って探偵社を出ると横浜を出て別の遠くの場所へと向かう。
着くころには夕方になって居て
「ここは横浜と全然違うなぁ」
太宰さんを思わなくて済むのならこれでも安い方なのかもしれない
海を見ていると只々座っていただけだったはずなのに
「雪!!」
バシャバシャと大きな音を立てて入ってきたその手で引き止められるまで
自分が海に入っていたことにすら気づいていなかった
そしていくら暑くなってきているとはいえまだ春先だ。それ以前に何でこの人は此処にいるのだろう
「だ…ざい…さ…ん?」
どうしてここに居るの?
「探偵社から電話があったのだよ。雪が突然来て思いつめていたとね。でも探偵社にはもうおらず、家にも帰った様子がなくて、このスマホに付けた発信器を頼りにここまで来たのだよ」
は…しんき…?
「あの…おんなのひとは?」
「女の人?」
そう疑問に思ったのは良いのだけれどあたしも太宰さんもずぶ濡れのままだ
「取り合えず宿を探そう。話は其れからだ」
運良く空いていた宿の1室で然も
室内でも温泉が楽しめる宿がたまたまキャンセルで空いていたのだ
「買い物は明日にしよう。とりあえずは君の体を温める方が先だ」
あたしを先にお風呂に入れてくれた太宰さん
湯船に顔を向けていると何の躊躇もなく入ってきたのだ
「ちょ…っえ?」
「今更驚く事なのかい?ポートマフィアにいたころはこんな事もしょっちゅうだったでしょ」
あの頃と今じゃ環境が…っ
「まだまだ指先が冷たい。ちゃんと指先まで中に入れておき給え」
何もかも太宰さんにされるがままになっているあたしは太宰さんに後ろから抱き留められていてもそのままなのだ
「雪」
「??」
雪。雪とあたしを確認するかのようにあたしの名前を連呼している太宰さん
お風呂から出ると、部屋着に着替えて洗濯も洗いに行った太宰さん
此れでは太宰さんの傍を離れることが出来ない
ベッドで横になっていると
「雪」
「太宰さん?」
「私が寂しい思いをさせていたのだね」
「!?」
そう言われて目が覚めたあたしに
「さっき女の人。そう言ったのは雪だ。私が女性と会っているの探偵社の誰にも言っていないのに知って居るのは現場を見ている雪にしか出来ない事なのだよ」
「…っ」
「悪かったね。雪が本当に私を好きかどうか試したくなった」
「!?」
「だけれど、此処までするほどに好いていてくれるのだね」
「それは…」
「でも私に確認するという手段はなかったのだね?お仕置きだよ」
!?
ベッドに横になって居たあたしに覆いかぶさった太宰さんは
「私のそばをもう勝手に離れません。太宰さんの御嫁に行きます」
「!?」
「間違えずに言えたら許してあげよう」
そう言った太宰さんは間違いなく言わせる気で
其れを言った太宰さんに頭を撫でられたあたしが
起きた次の日には左手の薬指に指輪が光っていたのは言うまでもない
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