おつかい
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中也君とパパと一緒に偉い人の部屋に行くと
「エリスちゃーん!頼むからこれを着ておくれよぉ~~」
「いやったらいやよ!」
おじさんが女の子を追いかけまわしていて
「パパ…」
「仕方ないねぇ。柚夢にまで危害が及んでしまう」
パパに抱えられたあたしをみた中也君は
「首領。探偵社から届け物を持ってこさせましたが」
そう言った中也君の言葉に振り向いたおじさんは
「太宰君が、届け物かね」
「そんなわけないでしょう」
前に出るとパパがあたしを抱えているのが分かったらしく
「おや。これはまた随分と可愛らしいお客さんも一緒だねぇ」
持っていた届け物を渡すと
「ほう随分と可愛らしい」
「初めての場所に来て怖くない子供がいるわけがないでしょう」
「では、お嬢ちゃん。これを一緒に持って帰ってくれるかい」
そう渡されたのは白い封筒
「これ?」
「そう。これだよ。これを探偵社の社長に渡してくれるかい」
「じーじにわたすの?」
「そうだよ。これを社長に渡すまでが柚夢の初めてのおつかいになるねぇ」
「歩いて帰るのかい?」
「そのつもりですよ」
「送らせても構わないのだけれど」
「いや。其れは大丈夫です」
なんて言っていたけれど下に降りたら中也君が車を用意してくれていて
「中也にしては用意が良いじゃないか」
「チビが眠そうだからに決まってんだろ。其れに俺が送るのは仕事のついでだ」
車の後部座席に乗ると、探偵社の前まで送り届けてくれた中也君
「ありがとう」
「随分と可愛い所もあるじゃねぇか」
「私の娘が可愛くないわけがないだろう」
「親バカかよ。じゃあな。太宰」
そう言って車を出して行ってしまった中也君を見送った後
「さて、柚夢は頑張ってこれを社長に届けておいで」
「はーい」
探偵社の中に入ると
「お帰りなさい」
「無事で何よりだ」
「で?太宰。その柚夢の持っている者は」
「社長に渡す書類だよ」
「そうか」
社長のいる部屋まで行くと
「じーじ!」
「帰って来たみたいだね」
なんて言っている乱歩君の声が聞こえてきて
「柚夢~。入っておいで~」
っていう緩い返事が聞こえたけど、社長じゃないせいか固まってしまったあたしに
「大丈夫。社長は怒らないから」
そう言ってくれたものの
「どあがあかないの!」
「あ…」
ガチャリと後ろから来たパパに開けてもらうと
「よく頑張ったね。偉いぞぉ~」
「ゆめ、えらい?」
「あぁ。偉い」
「柚夢。渡すものを渡さなければおつかいは終わらないよ」
「「渡す物?」」
「はいっ」
社長に渡したのは、特務異能課とポートマフィアから預かった物
「そうか。これを渡されたか」
封筒の中身を確認している社長と待って居る間は乱歩君の膝の上に座って居て
「うむ」
「ふふ。ご苦労様」
「あい!」
「柚夢の好きな甘いものでも下に食べに行こうか」
「いいの!?」
「いいよ。おつかいを頑張ったご褒美だよ」
「わーい!」
「太宰。森先生が驚かなかったのか」
「驚いていましたよ。其れはそうでしょう。私がいたと思ったら、娘が存在していたんですから」
「そうだろうな」
ドアを出た所でパパー?と呼んでいるあたしに苦笑いをしている3人は
「まぁ、私からの試練は合格と言うことにしよう」
「へ?」
これは太宰にすら知らされず内密に行われていた柚夢の試験でもあったのだ
だが、試験とはいえ幼すぎる柚夢に出来るものをと考えた時に丁度よく特務異能課とポートマフィアに渡す書面があったということだ
「途中、いらぬトラブルがあったみたいだが柚夢なら大丈夫だろう」
社長の言う大丈夫が何なのか。其れは誰にも分からないがまさかこの頼まれものが試験だなんて誰も想像してなかったのは言うまでもない。
社長と乱歩さんだけで決めた極秘の試験だったということだ
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