おつかい
お名前をどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
太宰柚夢。初めて探偵社に来たのは1歳になったばかりの時だ。
父親である太宰治はそこから毎日見ているものの母親に探偵社の社員寮の前に捨てられていたあたしの洋服に
太宰さん。貴方の娘です。私には育て上げる事は出来ません。そう書かれていたそうで
「パパー」
「おやおや。もうお絵描きには飽きてしまったかい」
「つまんない」
そう言ったのは紛れもない事実で。外で遊びたい盛りの3歳の娘にずっと中に居ろというのも無理な話なのだ
ひょいっと抱えられたあたしは、後ろを振り向くと
「じーじ!らんぽくん!」
「やぁ。只今」
「柚夢に頼みたいことが出来たのだが」
そう言った社長の言葉に父親である太宰の顔に緊張が走った
「然し」
「まぁ、ずっとこの中でピリピリした空気の中に居るよりは安心かもしれないね」
「そうか?」
「ですが社長、柚夢に何の頼みを」
「此れを」
そう渡されたのは柚夢には少しばかりデカい封筒
「これ?」
「あぁ。届ける場所は2か所」
「「2か所?」」
「1か所ではなく?」
「あぁ。2か所だ。
1つは特務異能課。2つ目はポートマフィアだ」
1つ目はまぁいいだろう。何処よりも安全である
だが、2つ目は停戦協定中とはいえ2大異能組織で有りながら敵対組織でもあるわけで
「社長っ」
「安心しろ。ポートマフィアには既に連絡済みだ。そして、アレが柚夢に危害を加えることはないだろう」
そう言われても渋い顔を崩さない太宰は矢張り父親なのだろう
「パパー?」
「太宰。諦めろ」
「でも」
そう言った太宰に
「ポートマフィアに渡す書類は確実に首領でなくてはならない。それでも不安なら、素敵帽子君にでも頼んでおけばいいじゃないか」
そう言った乱歩の言葉にですらしかめっ面をしていた太宰
「パパ、ゆめいきたいっ」
「けれどねぇ」
「太宰。心配し過ぎだ。少しその過保護をどうにかしろ」
柚夢が来てからというもの太宰が入水を試みる間もないくらいに柚夢を過保護にしているのだ
「う~~~~ん」
てを顎に当てて考えている太宰は
「柚夢」
「んー?」
洋服に何かを着けられた柚夢は
「此れでいい。行っておいで」
「いってきます!」
元気よく出て行った柚夢を見送った後、ソファーに座り込んだ太宰。
「全く。その過保護はどうにかならないのかねぇ」
「仕方がないでしょう。可愛い1人娘なのですから」
そう言った太宰は耳当てを当てて柚夢が何処にいるのかを訊いているようだ
然も、知らない人が其処に触れれば防犯ブザーと言う名の発信器が作動するようになっていて
「全く」
そんな中、耳当てから聞こえた声は寂しそうな柚夢の声で
「パパ…」
そう言っていたのだ。其れも今の今まで1回も1人で買い物にもお使いもさせたことがないのだ
「ありゃ、相当な親ばかを作動させてるね」
「今に始まった事じゃないけどね」
「そうですが、仕事をしてくれなくては」
「太宰ー」
「何ですか乱歩さん」
耳当てを外された太宰は少しだけ驚いた顔をしていて
「とりあえずは、あの溜まっている書類を片せ。柚夢が帰ってきたらそのまま帰宅してもいいから」
そう言った乱歩さんは間違いなく帰ってきたら。そう言った。名探偵である乱歩さんが推理を外したことは1度も無い。
「其れに、柚夢には強力な見方がちゃんとについてくれている」
「「強力な味方?」」
疑問に思ったのはその協力の主だ。探偵社に何時もいるはずの三毛猫のミーちゃんがいないのだ
「そうだ。強力な見方がちゃんとについている。僕と社長。太宰、それとポートマフィアの首領は知って居るよ」
「私が知って居る強力な味方…。成程。あの
「あぁ。だからさっさとそれを片して」
そう言われた瞬間に机に座った太宰は柚夢の為にと書類とにらめっこをしている状態で
「あれ?太宰さんがまじめに仕事を…」
「そう言えば柚夢ちゃんがいませんね」
「今社長からのお使い中」
「そう言うことですか」
「でも、谷崎が思っているようなことではないからね。柚夢が帰ってきたらすぐに上がってもいいと言ったのは僕だ。柚夢の為だよ」
「あー。納得です」
1/3ページ