5話
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電車に乗って横浜に帰って来るとお兄ちゃんのメモ通り15番街の倉庫前についたあたし
「なぁんだお兄ちゃんと別の男の子?」
織田さんは一緒にいないんだ…。なんて思いながら倉庫の中に入ると
「さて…まずは出ておいで」
「え?」
「来ているのだろう?茉白」
「茉白?」
「やっぱりお兄ちゃんにはお見通しだったんだね。只今」
「お帰り。どうだった?楽しかったかい?学校は」
「其れなりに。濃いメンツが揃ってたけど」
「そうかい」
「そうそう。昔のお兄ちゃんにそっくりな人に出会ったよ」
「昔の私にかい」
「うん。喋り方も、仕草もそっくりだった。まるで昔のお兄ちゃんと話しているような人だった」
「其れはまた」
なんて話していると
「あ…あのぉ~」
「あ、ごめんね。初めまして。太宰茉白です」
「此処に来たということは、国木田君から連絡を貰ったね」
「貰った」
なんて言っていると
「さて…そろそろかな」
「ん?」
大きい物音に反応した男の子は
「え!?」
床に転がり落ちて
「いっ今、奥で物音が…」
「そうだねぇ」
「きっと奴ですよ。太宰さん」
そう言った男の子はお兄ちゃんを見ていて
「いや風で何か落ちたんだろう」
「人喰い虎だ!僕を喰いに来たんだ!」
そうてんぱって居る姿を見るのは谷崎君にそっくりだなぁ。なんて思っていると
「落ち着き給え。敦君」
「敦?」
「彼の名前だよ。虎はあんな所からは来ない」
「どうしてわかるんですか」
「そもそも変なのだよ」
そう言ったお兄ちゃんに疑問を持った男の子は頭に焦りながらも“?”が浮かんでいて
「経営が傾いたからってそんな理由で養護施設が自動を追放するかい?」
「しないね。大昔の農村じゃあるまいし」
「いや。第一に経営が傾いたのなら、ひとりふたり追放したところでどうにもならない。半分くらい減らして他所の施設に移すのが筋だ」
なんて言ったお兄ちゃんはあたしの隣に降りてきて
「な…何を言ってるんです?太宰さん」
「茉白も訊いているだろう?」
「うん」
「キミがこの街に来たのが“2週間前”」
「虎がこの横浜に現れたのも“2週間前”」
「キミが鶴見の辺りにいたのが“4日前”」
「同じ場所で虎が目撃されたのも“4日前”」
「国木田君が言っていたろ?武装探偵社は異能を持つ輩の寄り合いだと。あまり知られてはいないが、この世には異能を持つ者が少なからずいる」
「そしてその“能力”で成功する者も居れば、力を制御出来ずに身を滅ぼす者も居る」
「多分施設の人たちは虎の正体を知って居たが、君には教えなかったのだろう
キミだけが分かって居なかったのだよ。キミも異能の力を持つ者だ」
「いいなぁ。現身に飢獣を降ろす月下の能力者」
「茉白だって素晴らしい異能を持って居るじゃないか」
そうだけど…
虎に変身をした男の子に追われるようになったお兄ちゃん
「茉白は確りと避けるのだよ」
「はーい」
別々に避けているのに
「「おっと…」」
そう言った矢先、壁にたどり着いたあたしとお兄ちゃん。目の前には異能で制御出来ていない虎の少年
「獣に食い殺される最後と言うのも悪くはないかな」
「でも、君では私たちは殺せない。異能力
そう言ったお兄ちゃんの能力で、先ほどの少年に戻った
「やっぱり異能力者。だったね」
「気づいていたのかい?」
「国木田さんから連絡を貰ったタイミングで」
「流石は私の妹だ。きっと気づいていないのは国木田君くらいだよ」
「でしょうね」
「茉白が未だに探偵社で乱歩さんと社長。与謝野さん以外に心を開いていないのは知ってはいるけれど。と言うか乱歩さんには会った初日に心を開いていたようだしね。前に何処かで会ったことがあるのかい?」
「あるよ。4年前に会ったの乱歩さんには」
あの時にはきっと乱歩さんはあたしの彼に対する思いも知って居てあぁ言ってくれたのにね…
「そうかい」
なんて会話をしているとお兄ちゃんの方に倒れ込んできた少年に
「んー。男と抱き合う趣味はないっ」
そう言ってそのままポイっとしたのだ
「あーぁ。お兄ちゃんの悪い癖―」
「そうでもないだろう?」
「じゃあ、此れが中也君だったら?」
「アレは重すぎてどかせないからどうでもいい」
そう言ったのだ
「おい。太宰!」
そう来たのは国木田さんたちで
「茉白も来ていたのか」
「えぇ」
あ、織田さんも一緒にいるんだ
「おー。遅かったな国木田君」
「真逆、この小僧が?」
「えぇ」
「虎に変身する能力者だ」
「全く…」
「「ん?」」
「何だこのメモは」
「15番街倉庫に虎が出る。逃げられぬよう周囲を固めろ。実に簡潔で良いメモだ」
「要点が抜けとる。次からは事前に説明しろ茉白はすぐに分かったようだが」
「分かりましたよ?お兄ちゃんが渡してきたメモの内容を訊いた段階で」
「流石だね」
「はぁ…おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ」
そう言って入ってきたのは乱歩さんに与謝野さん。其れに賢治君に織田さんだ