5話
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あの入社試験から2年。現在高校生のあたしは探偵社から程遠くない学校で生活を送って居る。
それほど偏差値も良い訳でもないが、悪い訳でもなくお兄ちゃんと織田さんと散々話し合いをしながら探偵社の会議室でも話し合って最終的には乱歩さんから今の学校を勧められた。というのが現状だ
そして、高校生になってすぐあたしがこの探偵社に入って行くのを目撃され先生に言われたときに安吾君から言われたあの台詞を言ったと同時に何も言われなくなった。
恐らくそれは自分たちも巻き添えを食らいたくないからだろう。なんて思っていたのもつい最近だ
この2年で変わった事と言えば、乱歩さんがあたしの事をちゃん付ではなく呼び捨てに変わったこと。国木田さんがあたしの事を小娘呼ばわりしなくなったことだ
「茉白」
「社長?それにお兄ちゃんと乱歩さんまで」
何かあったのだろうか
今日は出社しているはずの織田さんの姿も見てはいない
「茉白に頼みがあるのだが」
「あたしに…ですか?」
「あぁ。谷崎でも良かったのだが、如何せんあの状態であれば無理であろう」
谷崎君の方を見ると、妹のナオミちゃんがへばり付いているのがよく見える
「其処で茉白にって話になったのだけれど」
「はい?」
「東京の学校に潜入してくれないか?」
東京の学校?
「今の学校は如何すれば」
「転校という形になるのだよ」
転校…
お兄ちゃんや織田さんと、離れることになるなんて想像もしたことがなかったなぁ
「勿論茉白が嫌なら今まで通りでも構わないのだけれどね。なんせ今まで離れて生活なんてしたことなんてないのだから」
「うん」
「茉白」
「乱歩さん?」
「僕と少し話をしてこよう」
乱歩さんと?
「乱歩さん?何を」
「大丈夫だよ太宰」
それだけ言うと社長室を出て会議室に連れて来られたあたしは乱歩さんに鍵を掛けられたことに気が付いて
「話をしよう。茉白」
「話すことなんて…」
「あるだろ?茉白が幼かった頃から太宰と離れて生活なんてしたことがないことくらい分かってる。まだポートマフィアにいた4年前のあの時と同じ顔をしてるよ茉白」
「!?」
「あの時の彼が何故茉白に戻れと言ったのか分かる?」
「分かりません」
「織田は織田なりに君を愛して
だからあの時あたしに織田さんの事をあぁ言ったの?
「あのポートマフィアでちゃんとした人に君は拾われていたんだよ。日の下を歩けるように。だから織田は付いて来てはいけない。そう言ったんだ」
「…」
「あの後僕が言った事は本当になりそうだっただろ?僕が与謝野さんにお願いしたんだ。あの場所に行って欲しいとね」
確かにあの後種田先生に合わせてくれたのは安吾君で、種田先生に紹介されたのはこの探偵社。そして、社長と乱歩さんだ
「茉白の今の保護者は太宰と社長だ」
「え?」
「社長はこう言ってるはずだよ。
「言ってましたね。2年前に」
「だろ?あの時から茉白の保護者は太宰と社長だよ。その社長が茉白に頼み込むことなんてめったにない」
確かに
「ま、確かに太宰と織田が茉白と離れている生活なんてしたことないだろうし。どうせ、下らない事考えてるんでしょ」
「?」
「大丈夫だよ。今ここには僕と茉白しかいない。社長も太宰も織田も国木田達もいない思ってること僕に言って良いよ。ちゃんとに答えてあげるから」
「確かにお兄ちゃんと離れて生活するなんて考えた事無かったからちょっとだけ焦りました。でも、やっぱり知らない人達しかいない土地に行くのは一寸だけ怖くて…」
「うん」
「乱歩さん。もし東京で怖くなったり、寂しくなったりしたらどうすればいいのか」
「莫迦だな。そんなの此処に帰ってくればいいだけの話じゃないか」
帰ってきていい?
「寂しければ此処にはちゃんと茉白の居場所がある。何かあっても怖くても莫迦にされても何をされても太宰も僕も此処にいる」
「あ…」
「だから大丈夫だよ。茉白の居場所はちゃんとここに取っておくよ」
「ありがとうございます」
会議室を出るといつもの机で心配そうな顔をしているお兄ちゃんがいて、その隣では煙草を咥えながら仕事を片付けている織田さんの姿
「太宰。茉白は不安なだけだよ。ただ其れを取り除けば答えはすぐに出てくる」
「「!!」」
「そうですか」
「お兄ちゃん。織田さん。社長にも今話しに行くけれど、あたし、東京に行って来る」
「そうかい。離れて生活するのはこれが初めてだね」
「そうか。寂しくなるな太宰」
「そうだねぇ。でも茉白が決めた事だろう?」
「うん」
今まで何処に居てもずっと一緒だったお兄ちゃんと離れる
「気を付けるのだよ。いつでも私と織田作は茉白の味方だ」
「ありがとう」
社長にも同じ話をして、学校に転校の手続きに入ると東京の学校の制服を見繕わなくてはならないとなり、お兄ちゃんと一緒に行くことに電車で揺られる事数時間
「ここかぁ」
「流石は都会だね。人込みであふれている」
ずっとこんな社会の上層部にいたのに
制服の採寸を終わらせて、社長が借りてくれたアパートに行くとある程度の物は揃えられていて
「おぉー」
「茉白」
「お兄ちゃん?」
「乱歩さんには言えたのだろう?自分の思っている不安」
「うん。怖くなったり、寂しくなったらいつでも帰っておいで。私はそんな事で怒ったりなんかしないよ。其れに乱歩さんに言われたのだろう?ちゃんと探偵社に居場所を取っておくと探偵社の中に居場所があると」
「言われた」
「きっと織田作の次に茉白が心を開いてくれそうな人は乱歩さんか中也だろうからね」
そう…かなぁ中也君にも全然あって無いと言うのに…
「社長も乱歩さんも皆茉白を気にかけてくれている。ため込まないようにするのだよ」
「うん」
アパートを出ると、電車に乗って帰ってきた横浜
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