4話
名前を入れて読んでね
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
突如、再び銃声が聞こえたと思えば、床に落ちていた銃を持っていたのは田口君で
「ざ…まぁ、みやがれ…」
え?
「蒼き王は父上の敵だ、蒼き王が…お前が、父上を、殺し…たんだ」
そう言った田口君も血を流している。4年もの間で再びこんな現状を見ることになるなんて想像もしなかった
「父上の…仇だ…父上は、正義の人だ…」
「何故だ。なぜこんなことになる!何が間違いだった!誰が悪かった!」
お兄ちゃんは田口君を此処に横にしてくれて
「国木田君。誰も悪くない。彼女は人を殺し過ぎた。こうなるしかなかったんだ」
「太宰ぃ!」
そう言った国木田さんはお兄ちゃんの胸ぐらを掴んでいて
「国木田君。君が考えるような理想の世界は無い。諦めるんだ」
「黙れ太宰!相手はたかが拳銃になれぬ女性1人だぞ!殺すことは無かった!殺さずともお前が自金雄懸けて正しく対策をすればこれ以上の犠牲は避けられたはずだ!」
「殺したのは私じゃない。六蔵少年だ」
「俺が分からんと思ったか!あれはお前の持っていた拳銃だ!俺が話をしている隙にお前はひそかに足元の拳銃を蹴って六蔵に渡したのだ!そうすれば六蔵が彼女を撃ち殺すと知って居て」
「私は殺していない。当然茉白もだ」
「殺したも同然だ!」
「残念だけど、その殺意は証明できないよ。拳銃を握ったのも引き金を引いたのも、殺意を持っていたのも六蔵少年だ。私はただ足元の拳銃に躓いただけだ。この結果しかありえなかったんだ」
「これが正しい結果だとでもいうのか!」
「正しさとは武器だ。それは傷つける事は出来ても守り救済する事は出来ない。佐々城さんを殺したのは結局蒼き王の、そして君の正しさだ」
後ろにお兄ちゃんを突き放した国木田さんは
「国木田君。君がその理想を求め理想を阻むものを排除し続ける限りいつか蒼き王の炎が君にも宿るだろう。そして周囲ごと焼き尽くす。私も茉白もおださくだってそういう人間を何人も見て来た」
その後探偵社に戻ってきたあたしたち。
「男ども3人は別にどうってことないね」
「与謝野さん。茉白ちゃん見てやって。腕怪我してるし顔面真っ青だ」
そう言ったのは乱歩さんで
「そうだね。茉白一寸来な」
そう言って連れてきてくれた診察室で腕の処置をしてくれた与謝野
「ありがとうございます。与謝野女医」
「構いやしないよ」
「で?相手は誰なんだい。女の子だってのにこんな傷をつけてきた莫迦は」
「国木田さんですよ」
「あとで仕返ししてやる」
そう言ってくれた与謝野女医に
「で、顔面蒼白の理由は」
「苦手なものが…というよりも怖いものが有るんです。これはきっと克服できないものなんでしょうけど」
「へぇ」
「それが、銃撃と銃声が駄目なんです。国木田さんは其れをしてきた。そして銃を向けられることも駄目なんです。本当は」
「だろうね」
「震えたあたしにそれも演技だと言って来ました」
与謝野女医にすべて話すと
「全く。女の子がそんなことになるとはね。乱歩さんの事だから、其処等辺は見抜いているとは思うけど、社長に話しておきな」
「え?」
「今のアンタの保護者は、太宰と社長だ。親に言っていると思えばいいだろう」
あ、そっか。そういう事なんだ
医務室を出ると其の儘社長室に一緒に連れて来られて中に入れば、国木田さんもいるわけで
「あんた女の子の茉白に拳銃を向けるとはどういうことだい。しかも、腕に傷をつけて」
「それは…」
「傷は何時かは消える。なんて思うんじゃないよ。一生消えない傷だってある。一生消えない心の傷だってあること忘れるんじゃないよ」
「ですが」
「茉白はね。心に一生消えない傷を負っているんだよ。そして、アンタに銃を突き付けられたとき業と震えている。そう言ったそうだね」
「其れが何か」
「この子はあたしには話してくれたよ。この子は銃を向けられることも銃声も拳銃を持つことも恐怖だとね」
「!?」
社長室に入って来たお兄ちゃんと織田さんを見つけると、すぐにお兄ちゃんのそばに行く
「おや。大丈夫だったかい」
「うん。与謝野女医に処置してもらった」
「そうかい。ありがとうございます与謝野女医」
「構いやしないよ。訊いてるよ茉白からは会ったことすべてをね」
「そうですか。では、この探偵社で茉白の拳銃関係が苦手な理由を知らないのは国木田君だけという事になるね。そして、きっと茉白が今後も国木田君に話すことはないだろう」
「どういう」
「其の儘の意味だよ」
「その様だな。茉白が国木田を見ないという事は相当な恐怖心を与えられたのだろう。種田長官が言っていた茉白が心を許すのには相当な時間が必要だと言っていた意味がなんとなく分かったさ」
「種田先生に訊いていたのですか」
「あぁ」
そっか。ならきっとあたしは…
「乱歩がな言っていた。4年前ある男と会った時その男を引き留めた少女がいたと。
引き止められていたのは織田だという事だが」
「はい」
「あの時、あっていた男の人が乱歩さんだとは知りませんでしたけれどあの日の事が原因であたしは銃を持つことも銃声も向けられることもすべてが苦手になりました。
お兄ちゃんも知って居ますけれど自分の目の前で好きな人が目の前で銃を持ち向けられ撃たれて死にかけたのですから」
「「!!」」
「分かりますか?国木田さんがあたしにしたのは、あたしが好きだった人が向けられた状況と全く同じことをしたんです。怖くないはずがない」
「成程な。だから乱歩がお前をすでに認めているとそう言っていたのだな。そして太宰、織田。お前も合格だ」
そう言ったのは社長で
「え?」
「然し社長」
「茉白が太宰と織田と離れないのは、太宰と織田以外にどうやって頼って良いのか分かって居ない証拠だ。もし仮に茉白だけを入社させた場合、太宰と織田しか頼れない茉白は余計な仕事を増やすだろうな」
「そして、国木田は茉白が暫くは口も訊かないだろうから余計に仕事が増えるんだろうね」
う…っそう言った国木田さんは居心地が悪そうだ
「おにーちゃん…」
「疲れてしまったようだね。まぁ無理もないか」
「明日から出社すればいいだろう」
「太宰、茉白を大事にしてやんな。話を訊いたとは言えまだまだ茉白があたしや乱歩さんに心を開くのには時間がかかるだろうからね」
「はい」
探偵社を出て、車を呼んだお兄ちゃんと織田さんと一緒に帰って来た家で
「全く、無茶をする」
何時かそれを超える人が現れればいいなと思いながら眠りについてしまった
20/20ページ