4話
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翌朝、お兄ちゃんとあたし、そして織田さんは例の廃病院へ来ていた
「何で、こんな所に」
「国木田君。一寸来て欲しいのだけれど」
そう電話を切ったお兄ちゃんの声は矢張りあの時の声と似ていて
「流石は元ポートマフィアの幹部様だね」
「そんなに怖かったかい?」
「ううん。お兄ちゃんの声が芥川君といる時の声だったから」
「芥川君と一緒の時の声を出しているつもりは無かったけれどね」
数十分もしないうちに来たらしい国木田さんは
「何だ、こんな処で」
「これ、何だと思う?」
「それって」
「あぁ。アジトのパソコンの中にあった横浜の調査情報だよ。驚くことにこの横浜市は居には探偵社の殲滅が第一だと書かれていた」
「裏社会を牛耳るポートマフィアではなくか…」
「彼らは踊らされていたという訳?」
「あぁ。其れも偽の情報でね」
「確かにお兄ちゃんはあの時蒼の使徒と爆弾魔の事件は別だと言っていたけれど」
「その通りだ」
「まだ、黒幕が?」
お兄ちゃんが怪しんでいる人物は1人。この予測をお兄ちゃんは外したためしがない。
「おい、太宰兄妹。教えろお前たちは『その人物』の目途が付いているのか」
「うん」
「えぇ。お兄ちゃんと考えが一緒ならば、犯人はあたしとお兄ちゃんが思っている人物で間違いないかと」
「其れは誰だ」
焦ったような声を出している国木田さん
「実はその真犯人と思っている人物に此処に来るように電子書面を出しています」
「真犯人である証拠を持っていると書いて。もうすぐ此処に来るはずだよ」
足音が聞こえて来たと思って見えたと思ったのは例の男の子で
「こんな処で何やってんだよ、眼鏡」
「まさか、お前が?お前そうなのか?六蔵!」
「何言ってんだ、お前。そりゃあこっちの台詞だよ。まだ始まってねぇのかよ」
「何故だ、六蔵。俺の所為か?そうなのか?俺の所為でお前の父親が死んだからそのことをお前はそんなにも恨んでいたのか」
「父上?父上を殺した奴は憎い。当然だぜ。けどな眼鏡」
成程。そういう事
「田口君、お兄ちゃんの電子書面を」
「ハッキングで覗き見たね」
「本当にお前じゃないんだな?」
「俺はただ、真犯人の顔を拝みたかっただけだよ」
真犯人の顔をね…
「本当に本当だな?お前じゃな…」
そんな中カチャという音と共に鳴り響いた銃声
「危ねぇ眼鏡!」
そう言って国木田さんを退かした田口君は銃声と銃弾を受けてしまった
「ぁ……っ」
「茉白!」
お兄ちゃんが懐から出した拳銃は探偵社の物だ
「矢張り貴方が蒼の使徒か。佐々城信子さん」
「そんな」
「申し訳ありません。国木田様」
「想うに貴方がその頭脳を犯罪に使うのは初めてじゃないね」
お兄ちゃんは倒れた田口君を抱えている。あたしは自分の体を支えるのに手一杯だ
「これ位の銃声で震えるのなら貴方は探偵社にいるべき人間では無いでしょう?」
「其れは、佐々城さんが決める事ではない」
「そうですね。あの人は理想に燃えた人でした。純粋に犯罪のない世界を望み、其れゆえに自分の手を地に染めました」
まるで7年前のお兄ちゃんを見ているようだ。何の感情を持たず、ただただ相手の気持ちばかりで自分の事は後回しだ
「私はどうにかその理想を叶えてあげたかった」
「佐々城さん貴方が凡ての計画者…ですよね」
「貴方の恋人、蒼き王は法では裁けない犯罪者を犯罪によって断罪する理想主義者だった。今回の事件はその続きだ」
「太宰さん。御願いが御座います。銃を…お捨てになってください。出なければ」
そう言った佐々城さんは持って居た銃をあたしに向けて来たのはきっと脅しではない
「あたしを撃ちますか?」
「え?」
「何?」
そう言ったのは佐々城さんと国木田さんだ
「茉白」
「いいのですよ?あたしを撃っても構いません。其れで貴方の気が済んでくださるのなら。
でも、それと同時にあなたは此処でお兄ちゃんたちに殺される」
「その台詞を茉白の口からきく日が来るなんて思いもしなかったんだけど」
「あたしには光の下が似合う。そう言ってくれた織田さんの元に居られないのはとても心苦しいのですが」
「ん…」
「茉白」
「ごめん。お兄ちゃんあたしはどうしても、銃声と銃を見ればあの光景を思いだす」
「はぁ…茉白の命には代えられない。捨てるよ。その代わりいくつか質問をしていいかな」
「構いません。何でもお答えいたします」
「分かったじゃあ捨てよう」
そう言ったお兄ちゃんはあっさりと銃を足元に落としたのだその銃は床材に当たって乾いた音を立てている
「佐々城さん。なぜ、探偵社を狙ったんだい?」
「太宰さんはすでにご存じかと思いますが」
お兄ちゃんなら知って居る?
「流石だ。私たちの前ではあえて隠していたけれど貴方は恐ろしく頭の回転が速い。その年齢で犯罪心理学の高名な研究者と言うのも頷ける。貴方がやりたかったことは2つ。犯罪者への断罪と探偵社への復讐。そうだね?」
「この方法しか思いつきませんでした」
「銃を降ろせ!こんな事をして何になる!」
「お分かりになりませんか?貴方は何処かあの人に似ています」