4話
名前を入れて読んでね
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「臓器密売組織の知識は何処で手に入れた。お前が知って居るだけならまだしも、妹まで知って居るのは可笑しいだろ」
「それは呑み屋で」
「もう少し真面な嘘をつけ。異能特務課の種田先生と出逢ったのは偶然か?何故お前のコンピューターから蒼の使徒の電子書面が送信されていたのだ」
お兄ちゃんがしていたのは其れだったんだ?
「成程。六蔵少年の電話は其れだね?あの年齢ですごい腕だ。きっと善い探偵になれる」
そう言ったお兄ちゃんの声は6年前、中也君と出逢った頃の声じゃない。幹部でいた4、5年前の声色に似ている
「今すぐ納得のいく説明をしろ。出なければ妹を撃つ」
「国木田君には撃てないよ。その前にその銃を撃ち落とされる」
そう言ったのは織田さんが来ていることと、銃を持ち構えていることを意味していて
「君は几帳面で理想主義者だ。全ての謎を解き犯人の自白を得てから逮捕し、司法に裁かせるのが君の理想だ。真実を有耶無耶にしたままこんな処で容疑者を撃ち殺すはずがない」
「蒼の使徒に対して司法は無力だ。撃つ其れが為すべき事ならば。例え其れがお前の妹であってもだ」
「国木田さん。仮にあたしやお兄ちゃんが蒼の使徒であったとしてそして、そしてあなたの理想が蒼の使徒を速やかに撃ち殺すことであったとしても、それでも貴方はお兄ちゃんを殺すこともあたしを今突き付けている銃で撃ち殺すこともできない」
銃を突きつけられているのはあたしなのに、なぜか自分が突き付けられているような感覚に陥らないのは、あたしはあの人に思いをよせすぎて、あの人のそばに行けるのならどうでもいいと思ってしまっているからだろう
「思いだすんだ。アラムタは小銭と偽装免許証しか持っていない。では、起爆スイッチは何処にあると思う」
「裏で操っていた黒幕が持っている」
「そう。その黒幕がもし探偵社の動きを知って居たら?そして爆弾の在処を探偵社が割り出せたと知ったら?その黒幕は爆弾を移動させるか別の予備を起動させると思わないかい?」
お兄ちゃんの方に目をやると右手がポケットの中に入っていて
「その考えは既に予測済みだ」
そう言った国木田さんは自分の胸ポケットからあるものを取り出し、地面に置いた
「先ほどの現場でも使った無線妨害機だ。俺から周囲5米以内では凡百無線通信機はその機能を妨害される。遠隔起爆スイッチとて例外ではない」
そう言ってあたしに銃を向けたままお兄ちゃんのポケットの中に手を突っ込んだ国木田さんは其れを取り出すと、お兄ちゃんの愛用しているもので
「残念。ただの万年筆と布切れだよ」
「確かに普通の人間ならばこれで信じるだろう。だが、お前のやり口を知る相棒をだますには少し足りんぞ」
相棒…かきっとお兄ちゃんの頭にいる相棒はきっと中也君。ただ1人なのだろうけれど
確かにお兄ちゃんはその万年筆を愛用している。しかし、ふたを回して出てくるのは小型の無線機だ
「これが起爆スイッチか」
きっと国木田さんの頭には蒼王=お兄ちゃんという構図が出来上がってしまっているのかもしれない
こうしてお兄ちゃんを犯人に仕立て上げようとしている。それはあたしに向けられている銃口と同じだ
「流石は国木田君だ。そこまで看破してくれるとはすばらしい。矢張り君が相棒で良かった」
「五月蠅い!」
そう言った国木田さんはあたしの足元スレスレに銃を1発撃つ。その衝撃は4年前のあの場所での出来事を思い出させるには十分だ
「その震えも態とか」
「茉白!」
「茉白」
お兄ちゃんと織田さんの慌てた声に国木田さんも戸惑いを見せたのは言うまでもない
「おにい…ちゃ…」
直ぐにお兄ちゃんはあたしの方に駆け寄ってくれたけれど
「大丈夫だ。私も織田作も此処にいる」
あの1発であの出来事がフラッシュバックされてしまうのだ
「大丈夫かい?」
「やっぱり、あたしは…」
「次の言葉を私が聞いて納得するはずがないだろう?其れにその先の言葉は織田作が許さないだろうね」
「当然だ。言わせるわけがないだろう」
顔面蒼白のあたしに顔色1つ変えないお兄ちゃんと織田さん
「何が目的だ!コイツが態と震え顔面蒼白になるほど何故あの様な事件をくみ上げ探偵社を脅した!何の為に失踪者を殺し爆弾を仕掛けた!お前は…お前たちは!」
「国木田は茉白がこれをわざとやっていると言ったな」
「だから何だ」
「残念ながら態とではない。茉白はねその銃1発で自分の思い人を目の前で殺されかけてる」
「かけてる。という事は生きているのだろ」
「生きているよ。実際に居るじゃないか。国木田君のの目の前にいる織田作がそのことが原因でフラッシュバックしてしまうのだよ。未だにね」
「最後の警告だ。凡て話せ出なければ妹から撃つ」
青の布を見た国木田さんは
「お前、お前があの蒼王なのか?俺と探偵社に復讐するためこうして遠大な計画を練り上げたのか」
「撃ち給え」
「お兄ちゃんっ」
「よせっ太宰っ」
「君の勝ちだ国木田君。撃つのだ。君はそう指示を受けているはずだ。其れが正しい事だよ。そして君にはその資格がある」
「資格とはなんだ」
「君になら撃たれてもいい」
「分かった」
そう言った国木田さんはお兄ちゃんではない。あたしの眉間に銃口を当てたのだ。この距離なら確実に外すことはない
「撃つぞ太宰。お前の妹を本当に撃つぞ。最後にうろたえて見せろ」