4話
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ガラス張りの中には洋服を着ておらず下着姿の男性が多数おり
国木田さんとお兄ちゃんが何かをしようとした矢先だ
「下がれ太宰、茉白!有毒ガスだ!」
一緒に下がった国木田さんを引きづって出て来たお兄ちゃん其の儘、探偵社ではなく寮に帰ってきたあたし達。
「茉白」
「お兄ちゃん?」
「何かあったらすぐに呼ぶのだよ」
あたしと佐々城さんが一緒の布団で横になりお兄ちゃんは織田さんと起きているというのだ。此れでは、ポートマフィアで幹部をしていた時のお兄ちゃんだ
「大丈夫だよ。茉白」
「お兄ちゃん?」
「私と織田作は椅子に座って寝るから。佐々城さんと一緒に寝ておいで。寝ないと、アイツみたく背が止まってしまうよ」
お兄ちゃんの言うアイツとはきっと中也君の事だろう
「分かった。お休みなさい」
布団に横になるとずっと歩いていた疲れなのか直ぐに眠りに落ちてしまった
翌朝
探偵社に入っていた朝刊には
横浜失踪事件の被害者、発見されるも死亡。
「横浜失踪事件の被害者、民間の探偵社が独断で踏み込んだ為死亡…ですか」
「あぁ」
だからお兄ちゃんは今日は学校を休んだ方がいいと言ってくれたのか
「此れが敵の狙いだったのか」
「今日はもう帰れば?君凄い顔をしているよ」
「帰らん。業務が有る」
なんて頑固な上司だ事で
「こんな非常事態に律儀だなぁ。私なんか社屋に入ろうとしたら2回石を投げられたよ」
まぁ、お兄ちゃんにもあたしにも佐々城さんにもあたることは無かったけどね
外に目をやると朝から数名の抗議者が、社屋の前に来ている
「明日はもっとひどいのかな」
「佐々城女史は」
「医務室にいるはずですけど」
お兄ちゃんたちと医務室に行くと
「先日はどうもありがとうございました。あの時助けていただかなければ、私の命はございませんでした」
「いえ…」
「其ればかりか昨晩はご邸宅にお泊めいただきまして」
「え?」
あ、国木田さんは知らない感じかぁ
「何処に泊ったんですか」
「ウチだよ」
そう言ったお兄ちゃんに
「え?」
「大変お世話になりまして。私は元来体が弱く、貧血で倒れることが間々あるのです。
特に事件の日は体調を崩しておりまして、駅で気を失ったのはそのせいかと」
そんな話を訊いた後、仕事をするために医務室を出てきたあたし達は
「やっぱり佐々城さんは犯人の顔を全く見ていない様でね」
「さっきもよく貧血で倒れるって言っていましたしね」
「その後、どうやって誘拐されたのか…」
なんて話をしていると
「太宰。お前手が早すぎないか?」
「違いますよ国木田さん。確かに家には泊めましたけど、是非にとそうおっしゃったのは佐々城さんの方ですから」
お兄ちゃんはパソコンを使っていろいろと打ち込んでいて、あたしはその隣の席で受験勉強に取り組んでいるのが日課だ
「太宰。お前はああいう女性が好みか?」
「私は女性はみんな好きだよ。凡百女性は生命の母にして神秘の源だからねぇ。
でも佐々城さんは頼んだら一緒に心中してくれそうで良いなぁ」
「お前は蝉とでも結婚してろ」
「酷いなぁ。まぁ茉白は訊かなくても知っていたけれど国木田君こそどうなの?ああいうタイプ」
「事件の被害者にして証人其れだけだ。太宰妹の訊かなくても知って居るとはどういうことだ」
「あたしの好きな人は今でも一緒にいてちゃんと見て下さっていますから。それにその人はお兄ちゃんともとても仲が良く、あたしの面倒もよく見てくれていました」
「そうだったのか」
「まぁ、国木田君ならそうか」
「お兄ちゃんは何か分かったの?」
「茉白は訊かない方が身のためだよ。絶対に引く」
あ。お兄ちゃんがそういうなら絶対そうなんだろう。と思っている
「何か気づいたことは」
「もう一寸色気のある眼鏡にしておけばね。こんな地味な眼鏡。生来華のある私の様な者しか似合わないよ」
ちゃっかりと国木田さんの眼鏡を付けたお兄ちゃん
「あ、似合ってる」
「久々に見たな。お前の園眼鏡姿」
「俺には詐欺師にしか見えんがなぁ」
詐欺師?まぁ、あながち間違ってないか
「待てよ?」
「如何したの?」
眼鏡を取り返した国木田さんは
「行くぞ。太宰兄妹。織田」
「行く?」
「犯人が分かった」
はい?
探偵社の目の前には見覚えのあるタクシーが止まっており
そのタクシーの運転手も又見覚えのある人だった
「悪いな急に頼んで」
「何の何の。探偵社の一大事とあらばたとえ火の中水の中」
今時そんな臭い台詞言う人いたんだ…
「さて、何と致しましょうお急ぎで向かわねばならぬ処が有るとか。制限速度ぶっちぎりで急行致しますよ」
タクシーの中に乗り込んだあたし達は運転手さんにそう言われたのだ
「制限速度は守れ。実は先だって話した横浜失踪事件の犯人が分かった」
「何ですと!廃病院の報道僕も拝見しましたよ。亡くなられた被害者の無念如何ばかりして現場は。誘拐の凶行が行われた場所は何処でございましょうか」
そう言った運転手はある倉庫街で止まったのだ
「ここだ」
「は?」
「誘拐現場は此処で、犯人はお前だ」
「何とおっしゃりました?僕には意味が何やら…」
「考えた。この都会で人ひとり目立たず誘拐できるのは誰か。
見知らぬ人間でありながら、被害者が何の警戒もなく個室に2人のみとなせるのを許す場所は横浜の何処にあるか」
「それがここだと?」