1話
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「何の話をしているのかな」
「分かって居るくせに。僕が生きているってことは先代暗殺が外部に漏れる不安があるって事に」
「アテが外れてなんかない。君と私で見事に遂行して見せたじゃないか。もう2度とやりたくは無いけれどね」
あの現場を見てしまったあたし達兄妹はきっと善い駒にされているのだろう
「作戦は完了していない」
「そうなの?」
「あぁ。作戦ってのは暗殺と遺言捏造に関わった人間の口が封じられて初めて完了って言うんだ。
その点僕は共犯者としては適任だった。誰も疑わないから。僕や茉白の証言で貴方が次の首領になった後僕が動機不明の自殺を遂げても茉白にかんしてはそのころにはきっと今頃の記憶は亡くなっているだろうしね」
!?
「キミに似た人を知ってる」
お兄ちゃんに似ている人なんて早々いるはずがない
「誰ですか」
「兎に角。大人を揶揄うのはやめなさい」
あー。お兄ちゃんの資金の趣味は森先生には通用しないかぁ
「兎に角、口封じをするつもりならとっくにやってる。呼吸よりも簡単にね。
私が今年に入って何度君の自殺を阻止したと思っている?茉白ちゃんに泣きつかれ
1度なんか爆弾解除のために映画の主人公みたいなことまでしたのだよ
キミがそんなに望むなら楽になれる薬を調合してあげてもいい」
「ホント?」
「その代わりの調査だよ。茉白ちゃんも一緒に行っても構わないからさ」
「うさんくさ」
なんて言っているお兄ちゃんに
「横浜租界の近くにある擂鉢街は知って居るね?その近辺にある人物が現れたという噂が流布している」
ある人物?
「その真相を調査してきてほしい」
椅子のきしんだ音が聞こえてきて
「これは銀の託宣と呼ばれる権限委譲書だ。これを見せればマフィアの構成員はなんでも言うことを訊く。好きに使い給え」
「ある人物って?」
「当ててごらん」
「考えたくない。面倒くさい」
「いいから」
「“銀の託宣”を使うほどの噂…真相を確かめ発生源を潰しておかなくてはならない程の。
多分重大なのは人物自体じゃなくて
!?
あの怖いお爺さん生きてるの?
“先生…幹部に伝えよ。鏖殺じゃ。日暮れまでに対立組織も軍警もポートマフィアに逆らうものは皆殺せ”
“それは、非合理的です”
“此方が何人死のうが構わぬ”
その後ずっと“殺せ”と連呼していた人だ
“首領は病により横死された。時期首領に私を任ずると遺言を残して。君たち兄妹が証人だ”
「現れたのは先代の首領。その通りだよ
世の中には墓から起き上がってはいけない人間が存在する。分かるね?」
「確かに、僕と茉白にしか出来ないね。薬、約束だよ絶対だからね」
「これが君“たち”の初仕事だ。ようこそ、ポートマフィアへ」
お兄ちゃんが近づいてくる気配がしてる
でも頭のいいお兄ちゃんの事だ。きっともう気づいているのだろう
「あっそうだ」
「ん?」
「さっき言っていた僕に似た人って誰?」
「私だよ。太宰君、訊かせてくれ。何故君は死にたい?」
「僕こそ訊きたいね。生きるなんて行為に何か“価値”があると本気で思ってるの?」
!!
それだけ言うと出て来たお兄ちゃん
「あ…」
「訊いちゃっていたのかい?」
「と…ちゅう…から」
「そうかい。じゃあ行こうか茉白」
「へ?」
「擂鉢街だよ。初めて行く場所だから大人の人がいいかもしれないね」
なんて言ったお兄ちゃんはきっとすでに決めているのだろう
外に出ると白髪の方眼鏡だけしている男の人が立っていて
「太宰君の妹も一緒に行かせるのですか」
「あぁ。他に頼れる人がいないからねぇ」
「頼れる人ですか」
「うん」
お兄ちゃんの後ろに隠れると
「随分とまた幼子のようにも見える」
「まだ10歳ですから」
「そうかね」
車に乗り込んできた場所は周りが海に囲まれているよく分からない場所だ