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「其の儘の意味だ。俺達がポートマフィアにいた頃から茉白はこんな感じだ。寧ろこんな風にした幹部だった爺さんがいたんだ」
「へぇ」
「そのお爺さんはねぇ茉白を本当の孫のように可愛がってくれていてねぇ」
後ろから声がすると思ったらお兄ちゃんたちが出てきていて
「随分と甘やかされてしまったのだよ。後はついこの間まで匿っていたあの女性も茉白の事を可愛がってくれていてね。あの人は鏡花ちゃんの事も可愛がってくれていたのだよ」
“鏡花を頼む”そう言った時の紅葉さんの言葉は其れだけの時間を鏡花ちゃんとも過ごしていたからだろう
「まぁ、ポートマフィアが茉白を匿うとするならば、姐さんの他いないだろうね」
「何故なんです?」
「あの人はね茉白を自分の娘のように、妹のように、花よ蝶よで茉白を育てたと言ってもいいからね。茉白が其処に匿うとすれば茉白はお作法の練習をさせられてしまうね」
「うぅー…」
お作法嫌いなんだよなぁ
「でも茉白ちゃん食べ方とかもお箸の持ち方も綺麗ですよね」
「全部あの人に教わってるからね。お茶の飲み方も上手だよ」
「初めて知りましたわ」
それは、そうだろうけど…
話すこともないと思っていたし、紅葉さんを此処で人質という名の匿いをするなんて誰も想像もしなかっただろう
「でも、あの人のお茶の飲み方、仕草全部あたしには出来ない。紅葉さんの方が全然キレイだから」
確かに。そう言ったお兄ちゃんは何かを考えているようで
「敦君。ちょっと話があるのだけれど」
「僕にですか」
「あぁ。会議室に来て欲しいのだよ。この後私は用事があって出かけなくてはいけないからねぇ」
敦君と一緒に会議室に入ったお兄ちゃん
「心配か?」
「ううん。お兄ちゃんの事だから、きっと敦君を使った作戦を考え付いたんだろうと思って」
「だろうな」
暫くして出て来たお兄ちゃんと敦君。
「茉白。織田作も一緒に
「「アレ?」」
「真逆、まだ繋がってたの?」
「真逆。切っても切れないでしょ。向こうは内務省特務異能課の人間。此処は探偵社。繋がりはいくらでもあるさ」
あたしとお兄ちゃんの会話を理解しているのは織田さんと乱歩さん。そして社長くらいだろう
「行く」
織田さんの運転で来た
「お兄ちゃん。敦君とは?」
「乱歩さんが持ってきた資料での作戦立案を建ててある。その為の敦君だ。敦君には単独潜入をしてもらう。組合は地上での総攻撃を計画中らしくてね。
その隙をついて手薄な白鯨に潜入してもらってコントロールを奪う」
「まぁ、単独潜入となれば人選は不測の事態にも対応可能な異能力者が好ましいからな」
「それに敦君は白鯨の中に捕らえられていて白鯨の土地勘がある。加えて最悪失敗をしても敦君なら殺されず捕らえられるだけの可能性が高い」
「だから敦君と話してたんだ。敦君以上の適任者がいないから」
「そういうことだ」
医療施設に来たあたし達
「内務省に行くわけじゃないんだ」
「一寸ね。細工をしたのだよ」
細工?
お兄ちゃんは滅多な事では運転はしない。という事は此処にいるんだ。安吾君
病室に入ると足を吊り上げ頭に包帯を巻き首も固定していて
果物をあたしが持ちお兄ちゃんが花を持っていて
「はーい安吾。元気かい?今日は良い話を持ってきたよ」
「随分と不思議そうな顔をするのですね。安吾君」
「茉白さんも来ていたのですか」
「まぁな」
織田さんの言葉に驚きを隠せていないのは安吾君の方だ
「織田作さん…?何故…」
あの時、死んでしまったはずでは。きっとそう言いたいんだろう
「探偵社の女医に治癒してもらったからな」
「そうですか」
「其処で、その怪我我が探偵社で治療しよう」
お兄ちゃんが椅子に座ったのを確認するとお兄ちゃんは床に花を置いていて
あたしは小さな台の上に果物を侵せてもらった
「与謝野さんの治癒能力ならピカピカの新品に戻れるよ」
「で?その見返りは?」
「実はな探偵社員が1人軍警に捕まって居るんだ」
「組合との最終決戦の前に彼女を助けたい」
「あぁ。35人殺しですか。危険異能力者を隔離する無人機にて拘束中と訊きました。
確かに特務課なら超法規的な司法取引による免責も可能です。ただし、その少女が本当に探偵社員ならば…の話ですが」
「その言い方は可哀そうでは無いですか」
「どういうことですか?」
「確かにあの子はそうかもしれない。でもあの子は
「確かにねぇ。いちいち殺した人間の人数なんて数えてなんかいられるはずがない」
鏡花ちゃんは未だ探偵社員では無い。でも少なからず無関係という訳でもないのだろう
「太宰君。織田作さん」
「ん?」
「治療と引き換えに協力する取り引き確かに受諾しました。だから1つ教えてください」
そう言った安吾君はお兄ちゃんの方を見ていて
「正体不明の車に突っ込まれたとき、何故か僕のエアバックだけ開かなかったのですが。理由をご存じありませんかねぇ」
あ、細工ってそういう事。内務省の人間とそう簡単に会えるはずがない
でもこうして簡単に会う方法。然も取り引き、密会をするためにお兄ちゃんは細工したんだ