11話
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色々と言いたそうな国木田さんの言葉もきっとお兄ちゃんは先に読んでるんだろうなぁ
「敦君の着想から豪く大事になったものだ。いくら組合が最大の脅威になったとはいえ」
「待て待て待て!何が何だか…」
頭を掻きむしったり、お兄ちゃんの言葉を止めたり忙しいなぁ国木田さんは
「第一、何故お前たちが密会の手筈を整えている?」
「私と織田作、茉白は
「はぁ!?」
「相変わらず面白い反応をしてくれますね。国木田さん」
「そうだな」
「其れに、あたし達が元ポートマフィアだという事は国木田さん以外全員知って居る事ですよ」
「はぁ!?」
乱歩さんに限っては4年前にあたしが抜け出すことも見抜いていたくらいだ
あたしの携帯に紅葉さんからの連絡が入った。
「お兄ちゃん。紅葉さんから」
「おや、随分と早い」
「流石は幹部様だね」
「はぁ!?」
「あら国木田さんは知って居るものだとばかり思っていましたけど。ここで匿っていたあの女性がポートマフィアで幹部であることを」
「知るはずがないだろう!」
ふふふ
お兄ちゃんに携帯を見せると
「おや。今日中と来たか。まぁいいや。茉白もおいで」
「えー。やだなぁ」
どうせ密会というくらいだ。向こうは首領の護衛にきっと別の構成員を連れてくるんだろうなぁ
「だって茉白の元は育ての親だよ。挨拶位はしておかないと」
「仕方がないなぁ。社長に報告してくる」
「頼んだよ」
お兄ちゃんたちの傍を離れて社長室に行くと
「どうかしたのか」
「森さんからです。今日の日中には。とのことですが」
「よい」
「その様に調整します」
お兄ちゃんたちと時間より少し前。密会場所にたどり着いたあたし達
あたしとお兄ちゃん。織田さんが一緒にいると
近くから足音が聞こえてきて
「ようこそ首領」
「4年ぶりだねぇ。私があげたコートはまだ使っているかい?」
「勿論」
石の上から降りて来たお兄ちゃんは
「焼きました。にしても茉白が小さくて見えませんか?」
「おやおや。茉白ちゃんも一緒にいたのかい。元気そうだねぇ」
「元気ですよ首領。ただし、後ろにいる彼らにさえ会わなければ気分はもっと良かったでしょうけれど」
「ほう」
「ポートマフィア首領。森鴎外殿」
あたし達の後ろにいる社長に警戒をした彼らと
あたし達の違いは社員の安否が出来るか否かだ
「武装探偵社社長、福沢諭吉殿」
2人が前に出るとただならぬ異様な空気感が漂っていて
組織の長が揃って対峙するとこんなにも緊張する者なのかと思えてしまうほどだ。
4年前のあの時にもきっと同じ空気感だったのに、怖くなかったのは安吾君がいて森さんが隣にいたからなのかもしれない
2人が怖くて織田さんの手を掴むと
「ついにこの時が来たな」
「横浜の2大異能組織のトップがこうして密会していると知ったら、政府上層部は泡を吹くでしょうね」
「単刀直入に言おう。探偵社のある新人が、貴君らポートマフィアとの同盟を具申した」
「ほう」
あたしもお兄ちゃんも其処には驚きはしない。本人から直接聞かされていたからだ
「私は反対した。非合法組織との共同戦線など社の指針に反する。だがそれは、ポートマフィアに何度も撃たれ斬られ、かどわかされた者からの提案だ。
言葉の重みが違う。故に組織の長として耳を傾けざるを得なかった」
「お互い苦労が絶えん立場ですなぁ」
「結論を言う。同盟ならずとも一時的な停戦を申し入れたい」
「ふっ」
そう笑った森さん。これはきっと駄目な申し入れかも知れない
「シェリングを読まれたことは?」
「ん?」
「ナッシュにキッシンジャーは?」
昔、森さんが読んで、お兄ちゃんも読んでいた本だ。其れも難しい戦略本の作者だ
「いずれも戦略論の研究家ですね。昔誰かさんに教え込まれた」
「孫子なら読むが」
「国家戦争と我々のような非合法組織の抗争には共通点があります
協定違反をしても罰する者がいない。
停戦の協定を突然ポートマフィアが破ったら?探偵社が裏切ったら?
損するのは停戦協定を信じた方のみ。先に裏切ったほうが利益を得る状況下では、限定的停戦は成立しない。あるとすれば完全な協調だが」
「其れもあり得ない」
「その通り。ポートマフィアはメンツと恩讐の組織。部下には面目を潰されたものも多いからねぇ」
「私の部下も何度も殺されかけているが?」