6話
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寮の前でドラム缶を持ってきたお兄ちゃんは
「真逆試すつもり?例の悪趣味な自殺方法」
「悪趣味とは我が妹ながら酷いなぁ茉白は。敦君に電話出来るかい?」
「お兄ちゃんの携帯を借りれば」
電話を渡して来たお兄ちゃんは
「敦君に電話を掛けてくれるかい?」
そう言って敦君の名前を探し出して電話を掛けさせると
「も、もしもしィ」
と焦った敦君の声が聞こえてきて
「グッドモーニン」
嬉しそうに話すお兄ちゃんと電話を持っている妹の絵って近所の人たちってどう見えているんだろうか
「あ、太宰さんですか」
「今日もいい天気だねぇ。新しい寮の方はどうだい?」
「お陰様で。野宿に比べたら雲の上の宮殿の様です」
そんな大げさな。なんて思っていると
「枕元の着替えは探偵社皆からのプレゼントだ」
「何から何までありがとうございます」
「所で敦君。いきなり申し訳ないが実は緊急事態が発生したのだ」
「緊急事態?」
「あぁ。一刻を争うのだよ」
クスクスと笑っていると
「誰か一緒にいるのでは?」
「一緒にいる子は、妹でね。女の子にはちょっと出来ないのだよ。だから、直ぐに指定の場所に来てくれ給え。大変な事態だ。君だけが頼りだよ」
「は…はい。分かりました」
素直だなぁ。敦君はなんて思っていると数分待った後
「用意はいいかね?敦君」
「はい」
「まず部屋を出たらドアをちゃんと閉めて後ろを見ろ!」
電話を切ったあたしに後ろを振り向いた敦君は慌てた様子で階段を下りてきて
「えーとぉー。これは何をしてるんですか?」
「何だと思う?」
「うーん。朝の幻覚?」
幻覚かぁ…
「はっずれー」
「真逆敵の襲撃ですか?」
「お兄ちゃんがそんなヘマはしないよ」
「罠にかかったとか?」
「自分で入った」
お兄ちゃんの自分で入った発言に呆れたような顔をした敦君は
「はぁ?」
「いや、なにね。こうしてドラム缶にはまる自殺法があると訊いたものだからちょいと試してみたのだよ。ところがこの通り試してみると苦しいばかりで一向に死ねない。女の子の茉白にはこんなこと絶対にさせられないし、しかもここまではまると自力では出られない…死にそう」
だったらこんな方法しなければいいのに。なんて思っていると
「はあ…でも自殺法なのですから、其の儘そうしていれば何れは自殺できるのでは?」
「私は自殺好きだが苦しいのも痛いのも嫌いなのだ。当然だろう?
其れに後で分かったのだが」
なんてお兄ちゃんが話しているのを横目に
「成程」
そう言ってドラム缶に手を出して敦君は
「此れは自殺法では無くて、拷問方だったのだよ!」
なんて言っている最中に敦君にドラム缶を後ろに押されたのだ
「おおっと!」
そこで初めて敦君と目が合って
「昨日一寸だけお会いしましたね」
「そうですね」
「改めまして、太宰茉白です。茉白って呼んでください」
「いいんですか?初対面なのに名前で呼んじゃって」
「いいですよ。同じ場所に同じ苗字の人間が居たらどちらかが名前で呼んだ方がいいでしょう?」
「そうですね。僕の名前は中島敦と言います」
「敦君ですね。よろしくお願いします」
「そう言えば、茉白さんは」
「呼び捨てで構いませんよ。と言うよりもきっとあたし敦君よりも年下ですから」
「はい!?」
「16なんです。まだ」
そういうと
「じゃあ、僕の2コ下なんですね。僕は18なんです」
「今年18ですか?」
「はい」
「じゃあ、あたしも今年の年を言うべきでしたね。17になるので1コあたしの方が下です」
「そうなんですね。なら茉白ちゃんでもいいですか?」
「いいですよ」
なんて話をしていると
「はーー。痛かった。助かったよ敦君。キミが居なかったら腰からポッキリ2つ折りになる所だった」
「他の同僚の方に助けを求めなかったのですか?」
「電話したよ。死にそうなんだけどってそしたらみんな口をそろえておめでとうございます。だってさ。どう思う?」
「でしょうね」
「いつもそうしているから仕方がないんじゃない?」
「酷いなぁ茉白は」
「そんな事無いでしょうに」
「あれ?」
「どうかした?」
「太宰さんと僕に対する話し方がだいぶ違うなぁと茉白ちゃん」
!!
「よく分かりましたね。ほぼ初対面でそれに気づいたのは、お兄ちゃんを含めれば4人目です」
「4人目?」
「私と後1人当てられたら凄い事だよ」
「残りの2人は」