6話
名前を入れて読んでね
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今日は仕事をさぼって何をしていた!どうせまたどこぞで誰かに迷惑をかけていたのだろう!後で謝罪と後始末をするのは誰だと思っているのだ!」
「誰…って勿論そんなの決まっ…」
「言わせるか!」
そう言った矢先、国木田さんが摑んだお兄ちゃんの首を捩じった
ポキッと軽やかな音がしたのが聞こえたのが樹の所為であってほしかった。しかし、当の本人であるお兄ちゃんは幸せそうだ
「あのう、それがですね」
「ん?」
「国木田さんに今お話ししたのが、ちょうどその話なんです。太宰さんに『武装探偵社ってなんで出来たか知ってる?』と訊かれましてね」
「何ぃ?」
「そうなのだよ」
捩じれた首をぽきぽき鳴らして調節しながら答えている
「ちょうど器用の昼間、谷崎君と会ってねぇ」
「どこで」
「立ち飲み屋だ」
そう言った織田さんは
「織田も一緒だったのか」
「あぁ」
国木田さんの首がゆっくり回って行く患者のような表情をじっくり時間をかけて浮かべた
「太宰が仕事をさぼって立ち飲み屋にいたのは、まあ想定の範囲内だから今はいいとしよう。しかし谷崎、お前までそんな所に居たのは何故だ。真逆お前までサボリか?
18歳が仕事をさぼって昼から飲酒か?未成年飲酒の悪影響は統計学説によってさまざまだがテストステロンと呼ばれる脳ホルモンの分泌にアルコールが影響を及ぼすのは確実とされている。と言うか統計など待たずとも、そんな歳から酒ばかり飲んでいると、数年のうちにここにいるワカメ脳みたくなるぞ!」
「どうもワカメ脳です」
「その妹です」
そう言ってお兄ちゃんと一緒に頭を下げた
「い、いやだから違いますって」
そう言って慌てて手を振った
「僕は仕事で行ったんですよ。呼び出しがあって、立ち飲み屋に駆け付けたらそこに太宰さんと織田さんが」
「そうなのだよ。その説はどうも」
「いいなぁ。あたしもお兄ちゃんと行けば、織田さんも入れたわけでしょ?」
「何?では、谷崎お前は仕事で行ったのか?太宰と織田のいた立ち飲み屋に?…偶然、は考えにくいな。ならば太宰と織田に呼び出されたか。ツケでも払わされたか、でなければ太宰がまた面倒を起こしてその騒動に」
そこまで言った国木田さんは顔色を青くして腰からくにゃりと曲がった
「ま、真逆、そうなのか?こいつが何かやらかしたのか?」
「すみません、国木田さん」
そう言った谷崎さんは謝っていたけど
「厭だなぁ。そんなに睨むような大した出来事じゃあないよ。呑み屋の人たちと仲良く飲んで、話をして、それで帰った。本当にそれだけだよ
……まあその途中に、ちょっと爆弾とかが挟まったけど」
爆弾……
「国木田さん?」
「一瞬、気絶していた。爆弾…だと?おい、谷崎。そんな事が有ったなら打ち合わせの最初に話せ。誰からの爆弾だ?市警の出動は?軍警の爆弾処理部隊は出たのか?爆弾はその後どうした?」
「ここにあるよ」
お兄ちゃんは紙袋をテーブルにどしんと置いた。
「うわあ!」
驚いて後ずさった国木田さん
「大丈夫。良く出来た偽物だったから」
ほっとしたあたしに
「掻い摘んで話すとね、昨日馴染みの立ち飲み屋にこの爆弾が届けられたのだよ。私宛に、匿名の差出人からね
で、開けてみると、この爆弾が入ってたって訳。丁度包みを解いた時に信管が外れて、少しでも動いたら爆発するかもしれないって状況になっちゃった。
そんな訳で市警と探偵社に連絡が行って」
「で、僕が駆けつけたわけです」
なるほどね
「お前は…毎回毎回、どうやったらそんな風に高効率に厄介ごとを吸引できるのだ?」
厄介ごとを引き連れてくるのは、ポートマフィアにいた頃と何ら変わりはない
「いいじゃない。偽物だったんだから」
お兄ちゃんと織田さんお頼んだものが丁度よく届いてきて
「結局この爆弾は
「犯人にも会って話をしたし、もう、大丈夫」
もう大丈夫なんだ?
「犯人を捕まえたのか」
「うん。織田作が爆弾を開けたら中に『ワタシダケヲミテ』と書かれた紙片が入っていたよ。私を慕いすぎたさる過激な女性の一寸アレなアプローチだったのだね。心当たりが何人かいたけど順番に確かめて犯人を特定。しっかりとお灸据えて諦めて貰ったよ。飲みに行く度に爆弾起きられてたらろくにお酒も飲めないもの」
まぁ、お兄ちゃんならそっか
でも、立ち飲み屋じゃなくていつもの酒場に行ってれば何の問題も無かったんじゃないの?
あそこの酒場に女の人をお兄ちゃんが連れ子だって話はあたしは聞いたことがない
「茉白。ねむそうだね。早く帰って休もう」
「もーちょっとぉ…」
「ありゃ」
「これは駄目だな」