6話
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敦君を拾った翌日の夜
谷崎さんと国木田さん。そしてあたしで奥まった席の狭いテーブルで男2人とあたしで向かい合って座って居る
席には、2人分の胡麻団子とほうじ茶
あたしは温かい紅茶と
知らぬものが見れば2度三される光景だろうけれど
あたしたちは武装探偵社の調査員でありながら、遅い打ち合わせの光景なのだ
女給さんもマスターも見慣れてしまったこの場所は武装探偵社の入った
「そう言えば国木田さん」
「なんだ」
「探偵社で働いているのにそう言えば知らないんですよね。探偵社設立の理由。国木田さんはご存じですか?」
探偵社設立の理由?
「無論、知って居る。うっすらとだがな」
「うっすら?」
「あぁ。又聞きだが。探偵社が出来た数十年前。社長が設立した。そのころある出会いが会社設立の契機だったと聞いたことがある」
「本当にうっすらですね」
「だからそう言っただろう?俺もこれ以上詳しい事は知らん。改めて聞く機会も無いからな。社長に直接聞いてみてはどうだ」
「ぼ、ボクがですか!?いやあ、僕はまだ下っ端ですから」
「社長なら何でも答えてくれそうな気はしますけどね」
「だろうな。訊いてそれを隠すような人ではない」
「でも、何だか恐れ多くて…それに起こっているときの社長の目って鉄板ぶち抜けそうなくらいに鋭いじゃないですか。女の子だったら泣きますよ。あの眼力」
「あたしは泣きませんでしたけど。寧ろ探偵社に入って2年。社長の眼力でも泣いたことは無いです。その前の方がよっぽど泣かされましたけど」
「何?」
「そうなの!?」
「そうですよ?寧ろお兄ちゃんと織田さんはそれの原因をよく知って居ますしね」
「なぁ!?」
頭を抱えそうになっている国木田さんを放って
「だけど、何でそれが今なのです?谷崎さんだって」
「太宰さんに訊かれたんですよ」
お兄ちゃんに?
そう言えば、今日は朝からいなかったような気がする。それも織田さんも一緒にだ
「太宰にぃ?」
「えぇ。ですから…」
「待て。少し待て。落ち着かせろ」
少しってどれくらいだろう?
「最近奴の名前を訊くだけで
そう言った国木田さんを真ん前で見せられているあたしは
「そう言えば茉白ちゃんは学校は平気なの?」
「大丈夫ですよ。一応」
「一応なんだ。でも国木田さんも大変ですね…気持ちはわかりますけど…」
こんな気持ちを分かってどうするっていうの
「お兄ちゃんと出逢って2年でこれじゃ、前にいた所の人はどうなっちゃうんでしょうね」
「どういう…」
「だって…」
そう言って話そうとした瞬間
「何だ?急に証明の具合が悪く」
「それは私の合図さ~♪」
喫茶処の入り口で訊きなれた声がしたと思ったら
「うわああ!」
と国木田さんが驚くあまり騒々しい音を立てていた
入り口に立っていたのはやっぱりお兄ちゃんで
「いやあ、いつ訊いても国木田君の悲鳴は素敵だねぇ」
「そう思っているのはお前だけだろう。太宰」
「お兄ちゃん、織田さんも!」
「元気そうだな」
「うん」
「その反応、寿命が縮まっていくのが肉眼で見えるかのようだよ。あ、おばちゃん、いつもの紅茶ね」
「俺には珈琲を頼む」
其れだけ頼むと
お兄ちゃんは、国木田さんの後ろの席に座り織田さんはお兄ちゃんの前に座ったのだ
「太宰…お前、何をしに来た」
「え?それは勿論国木田君の寿命を軽く縮めに」
お兄ちゃんがまだ言いかけの最中に首を絞めて来た国木田さん
「お前は!どれだけ俺に苦労を掛ければ!気が!俺が!どれだけ!」
「国木田さん、申し訳ないのですが何が言いたいのかあたしには途中からさっぱりなのですが」
あたしがそう言うと急に笑い出したお兄ちゃんに
「放っておけ茉白。どうせいつもの事だろう」
「まーー。まあまあお2人とも。店内ですから」
夜には行ってくるお客さんも店主もいつもの事だと
お兄ちゃんと国木田さんの事は放って居る。何なら年行った老人夫婦に関してはお兄ちゃんをと国木田さんの兄弟喧嘩だと思って微笑ましく見ているのだ
「お前は自由過ぎだ!今日もこんな時間になって顔を見せおって!第一茉白を見習え!」
「あたしは関係ないのでは?」
「ある!」
あるんだ?
保温雷なら今は別の学校に行っている筈になっているんだけどなぁ…なんて思っていて
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