3話
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歩道橋で、座り込んでいるときだった見慣れた車と見慣れた人影があって
「おにいちゃん…」
「茉白行こうか」
え?
「首領の所?」
「いや。織田作の所だよ」
「!!織田さんの…所?行っても良いの?」
「勿論」
車に乗せて貰ったあたしは
「太宰幹部。茉白さんは」
「連れて行く。茉白にも悪いけど来てもらった方がいい」
「そうですか」
ミミックの本拠地に着くと直ぐにおりたあたしとお兄ちゃん
「茉白。先に行っておいで」
「でも」
「大丈夫。私もすぐに向かう」
中に入ると銃声だけが響いていて、中には敵対組織の人間であろう死体が散らばっている
そんな中、一際と響く銃声が聞こえてきてそのドアを開ければ
「ひとつ心残りがある」
そう聞こえてしまった織田さんの声と知らない男の人の声
「友に
!?織田さん?
「この世界でただの友人でいてくれた兄妹だ。この世界に退屈し、ずっと死を待って居るように見えた」
「その兄妹は俺と同じように死を求めていたのか?」
「いいや。違うと思う。最初お前と太宰は似ていると思った。自分の命に価値を見ていない。死を望んで暴力と闘争の中に飛び込んでいく。だが違うんだ。あいつはあまりに頭の切れるただの子供だ。
そして、その妹もまた同じだ。誰にも心を開かず、誰にも気を許さず、自分の中に頑丈な殻を作って太宰の事しか信じず、太宰にしか心を開いていなかったアイツが、太宰以外で初めて心を許したのが俺だった」
気付いて…くれていたの?
あたしがお兄ちゃんしか信じていなくて、あの組織で唯一お兄ちゃんしか信じられなかったあたしの事をちゃんと見てくれていたの?
「あいつ等兄妹はただの子供だ。暗闇の中で、俺達が見ている世界よりもはるかに何もない虚無の世界でひとり取り残され。ただ泣いている子供だ。だからいつも孤独なんだ。俺と安吾が、太宰や妹の近くに居られたのは兄妹の周囲を取り囲む孤独を理解し、傍に立ちながら決してその中に踏み入らなかったからだ」
中に入った途端そう言っているのが聞こえたのだ
「織田…さん?」
「だが、今ではその孤独やアイツの殻に土足で踏み込まなかったことを少し後悔している」
そんな事、ないのに…
ちゃんと、あたしの中に織田さんは入って来てくれていたのに
そう思った矢先、弾丸を発射する1発の音が聞こえてきて
「サクノスケ…最後まで素晴らしい弾丸だ」
そう倒れた別の男の人と織田さん
後から入ってきたお兄ちゃんは織田さんに駆け寄っていたけれど
あたしにはそれが出来なくて
倒れてしまった織田さんを只々お兄ちゃんの隣で見ているしか出来なかった
「織田作!」
嘘…
お兄ちゃんの手には血がついていて
「織田さんっ」
「莫迦だよ。織田作。キミは大莫迦だ」
「あぁ…」
「あんなヤツに付き合うなんて…」
「太宰…」
そう言った織田さんは
「お前と茉白に言っておきたいことがある」
「ダメ…っ止めてっ」
「駄目だ。辞めてくれ!まだ助かるかもしれない。いいやきっと助かる!から…っそんな風に…っ」
「訊け」
そう言った織田さんはお兄ちゃんの右目の包帯に手を当てていて
「お前は言ったな。暴力と流血の世界にいれば、生きる理由が見つかるかもしれないと」
「あぁ。言った。言ったがそんな事今は…」
「見つからないよ。お前にも茉白にも」
「え?」
「え?」
「自分でも分かって居るはずだ。人を殺す側だろうと、救う側だろうとお前の予測を超えるものは現れない」
そう言った織田さんに
「はぁ…っ」
と苦しそうなお兄ちゃんの表情と床に座り込んでしまったあたし
「お前たちの孤独を埋めるものはこの世のどこにも無い。お前たちは永遠に闇の中を彷徨う…」
「あたしも?」
「織田作…私たちはどうすればいい?」
「人を救う側になれ」
人を救う側?
「どちらも同じなら“善い人間”になれ。弱者を救い、孤児を守れ。正義も悪もお前たちには大差ないだろうが…その方が幾分かステキだ」
「ど…して?、分かるの?」
「分かるさ。誰よりも分かる」
「!!」
「俺は、太宰の友達で茉白の兄だからな」
そう言った織田さんはあたしの方を見てその大きな手をお兄ちゃんからあたしに向けてくれて何時もみたく頭を撫でてくれているのに
「っ!!」
「それに茉白には光の下が似合う。こんな闇の世界よりもな」
そっか
「分かった。そうしよう」
「
自分を救済?なんて思っていると
「確かに…その通りだった…な」
織田さんの顔が徐々に青白くなってきているのが分かる
一緒に来ていた黒服の人たちに救護を要請したものの
「
そう言った織田さんは震える指でコートから煙草を取り出してゆっくりとした動きで煙草を口にくわえている
その直後煙草が床に落ち、お兄ちゃんとあたしは織田さんの隣に膝を落としたまま
「いやあああああっ」
お兄ちゃんは織田さんを床に降ろしてくれたけれど泣きじゃくり始めてしまったあたしの頭からお兄ちゃんの右目の包帯をほどいた直後だった
「何処に患者が居るってんだい」
そう言って来たのは女の人で
「だれ…?」
女の人はお兄ちゃんの腕に収まっている織田さんをみて
「全く…」
異能力を使って織田さんを助けてくれた女の人は
「時期に目が覚めるよ」
「え?」
時期に目が覚める?
そう言った矢先