3話
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首領にお願いしてお兄ちゃんの所まで連れて行ってもらうと車の中から見えた2人を見て
「止まれるかい」
その首領の一言で止まった車から降りたあたしはお辞儀だけして直ぐにお兄ちゃんたちのそばに行くと
「けど辞めるんだ。そんな事をしても」
「そんな事をしても子供たちは戻ってこない?」
子供達は戻ってこない?どういう事?織田さんの見ている方を見ると、いつも行っていたお店から黒煙が上がって居て
「…っ」
「これまでの戦闘規模からミミックのおおよその残りの兵力が分かってきた。20名強。連中はまだ余力を残してる。そしておそらく敵の本拠地は山岳地帯に本拠地がある。詳しくはこれから」
「連中の居場所ならもう分かってる」
「分かって…」
「招待状が来たからな」
!?
何。それ…
織田さんがお兄ちゃんに渡した小さな紙。其処には幽霊の墓場と書かれている地図だ
「連中は兵力を一か所に集めつつある。マフィアの全兵力を結集しても敗れるかどうかは分からない」
「結集する必要はない」
「織田作訊いてくれ。先ほど首領が秘密の会合に出席したらしい。茉白から教えて貰った。相手は異能特務課。安吾を仲介人にした会合だ。機密度が高すぎてこれ以上は茉白からも裏を取れなかった。この一件にはまだ何か裏がある。感じるんだよ。それが分かるまでは…」
「何か?何かなどないよ。太宰。茉白もう全て終わった。後にあるのはどうでもいい事だ。俺がこれからしようとしていることも。そうだろう?」
「!!」
全て終わった。それはあたしの想いも粉砕する言葉で
どうでもいい。そんな言葉、織田さんの口からなんて訊きたくもなかった
「織田作。おかしな言い方を許してほしい。でも行くな。茉白がまた泣いてしまう。今度こそ、頑丈な殻に閉じこもって出てこない様な殻に。だからこれは言わせてくれ。何かに頼るんだ。何でもいい。この後に起こる何かに期待するんだ。其れはきっとあるはずなんだ
ねえ織田作。私たちがなぜ、ポートマフィアに入ったか分かるかい?」
「お兄ちゃん?」
お兄ちゃんは其れこそ、そんな話をしようともなかったし中也君の前で聞いたことも無い。それは森さんの前でも同じだ
「私がマフィアに入ったのはそこに何かあると期待したからだよ。暴力や死。本能や欲望。そう言ったむき出しの感情に近い所に居れば人間の本質に触れることが出来る。そうすれば何か…何か生きる理由が見つかると思ったんだ。
まぁ、今もだけれど幼すぎる茉白を置いておくことも出来なくて一緒に入れてしまったけれど」
「…っ」
「俺は、小説家になりたかった」
「小説家?」
「任務でも人を殺したらその資格が無くなると思った」
「そんな事…っ」
「だから1人も殺さなかったし殺しを辞めた」
「織田作…」
「だが、其れも終わりだ。資格は無くなってしまった」
「やだ…い…かない…でっ」
「行くな織田作!」
あたし達に背を向けて歩きだしてしまった織田さん
「俺の望みは1つだけだ」
「くっ織田作!」
「戻って来てよぉっ」
行ってしまった織田さんの跡を見ていることしか出来なくて
「お兄ちゃん…あたしね。織田さんとだったら死んでも良いって思ってしまったの」
「な!?」
「他の誰でもない。最初に会わせてくれた時他の構成員みたく“太宰治の妹”遊撃隊の人達みたく“何もできないただのお飾りの妹”だと言わないでただ頭を撫でてくれたことが嬉しかったの」
「!?」
「あの時から織田さんと一緒に死んでもいいと思えるようになったの」
「成程ね。茉白が織田作や中也。安吾、姐さんにしか心を開かなかった理由がやっとわかった」