3話
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「別に悲しんでいるんじゃない。最初から分かって居たことだ」
最初から分かって居た事?
「安吾が特務課であろうとなかろうと茉白がポートマフィアで有ろうとなかろうと失いたくないものは必ず失われる。求める価値のあるものは皆、手に入れた瞬間に失うことが約束されている。苦しい生を引き延ばしてまで追い求めるものなんて何もない」
お兄ちゃんの言葉にはっとさせられたあたし
お兄ちゃんがそう言った話をするのは初めてだからだ。お兄ちゃんの表情は何も映していないようで、まるで、あたしもその視界にすら入れて貰えていないような気がした
「太宰君、織田作さん。僕も同じです。表に出来ない仕事を請け負う非公然組織として異能者を狩る異能者として政府の暗部に頭まで浸かって来た。消して表通りを歩けぬ人生です。
いつか時代が変わって、特務課もポートマフィアも違う体質になって我々がもっと自由な立場になったらまたここで…飲めますか?」
下を向いて泣き出したあたしを見た織田さんが
「言うな安吾。それ以上言うな。茉白が泣いている」
「茉白?」
「泣く、つもりじゃなかったんだけどなぁ」
後ろで静かに立ち去って良く足音が聞こえた。其れはきっと織田さんやお兄ちゃんじゃない。安吾君の足音だ
お兄ちゃんの腕に捕まると
「仕方がない。茉白は大佐というお爺さんを亡くしている。織田作よりも先にあっていたあのお爺さんを亡くした後にこうなるなんて誰も予測していないだろ。これで織田作迄どっかに行ってしまったら茉白は2度と自分の殻から出て来なくなってしまうね」
「如何いう事だ」
「茉白は誰でも信じ、信用するわけではないのだよ。織田作にすぐに懐いた理由は分からないけれど、姐さんにも中也にも時間はかかっている。森さんにですらいまだに警戒をしているようだし
大佐はね。茉白をぽp-とマフィアの中に居るだけだとつまらないからといろいろな所に連れて行ってくれたんだよ。それも茉白を本当の孫のように可愛がってくれていたお爺さんでね」
「そうだったのか」
安吾君の座っていた席には飲み終わっていたお酒と前に撮った最後の写真が置かれていて
「茉白が持っているといいよ」
「いいの?」
「勿論だとも」
「ふぇ…っ」
これからもずっと一緒に居られると思っていた。此れからも勉強を見て貰えて、いろいろな事を教えて貰えると思っていた
誰かの前で泣くなんて事、滅多になかったあたしに
「茉白。此れからもっとつらい事が起こる。暫くまふぃあの執務室の中にいるといい。織田作も私ももっと過酷な現場に行くことになるのは間違いではないのだから」
「うん…」