3話
名前を入れて読んでね
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「説明が欲しいな。茉白が殺せなんて言う莫迦な子ではないことくらいは分かって居る。」
収監房には4人の男がいて3人はつい最近路地裏でお兄ちゃんと狙撃をした黒服の人たちと
1人は背の低い黒外套を身にまとった瘦躯の少年
「マフィア傘下のカジノを襲撃したミミックの先兵を計画通り昏倒性のガスで捕らえました
1人は自殺しましたが、残りの3人はここに運びました」
3人は此処に確実に生きていなければならないと言う事なのに
誰が殺したというの
「仲間の情報を吐かせる手筈でした」
「奥歯に仕込んである毒薬は」
「奥歯に仕込んであった自決用の毒薬も取り外しました」
「其れは知ってるよ。すべて私の計画通りだからね。訊きたいのはその先だ」
「そ…想像よりも早く兵士の1人が目覚めました
手枷を嵌める前に我々から銃を奪い、恐らくは口封じのために仲間を射殺し我々にも襲い掛かってきました」
「其れを
そう言って平気な顔で入ってきたのはお兄ちゃんの部下でもある芥川君で
「!!」
お兄ちゃんの近くまで来た芥川君はあたしの顔を見るや歯を食いしばる様子も見受けられていたが
「何か問題でも?」
「成程ね。いや何もないよ。不撓不屈の恐るべき敵兵士を倒し、仲間を守ったわけだね芥川君。全く持って素晴らしい
キミの異能でなければその様な強力な敵を、一撃のもとに倒すことなどできなかったろう。流石は私の部下だ」
「お陰様でお兄ちゃんが計画して捕らえた敵は全員死亡ですね
罠を張ってまで苦労して生け捕りにした兵士をね」
「これで手掛かりは無くなった。1人でも生き残って居れば」
「敵の本拠地、目的、指揮官の素性、名前。そして組織を統率する異能力と言った貴重な情報を引き出せたでしょうけれど」
「貴様が情報などと…連中ごとき
そう言った直後最後まで言わせてもらう事もなくお兄ちゃんに顔面を殴られた芥川君は後ろに飛んで行って床の石畳に頭部がぶつかり跳ね、鈍い音を立てていた
「あらら」
「きっと君は私や茉白が良い訳を求めているかのように見えたのだろう。誤解させて悪かったね
だけどね茉白の事をこの私の前で貴様扱いするとは言い身分だね」
「お兄ちゃん?」
「ぐ……っ」
「茉白、銃貸して」
お兄ちゃんに銃を渡したあたしに普通に銃を受け取ったお兄ちゃんは
「私の知り合いに孤児を個人的に扶養している男が居てね」
織田さんの事だ。然も2年前の抗争の時の子供を扶養しているんだ。それは初耳かもしれない
「芥川君。貧民街で餓死寸前だったキミを拾ったのが織田作だったらきっとキミを見捨てず辛抱強く教え導いたろう。それが正しさだ
けど私はその正しさの方から嫌われた男だ。そういう男はね使えない部下をこうするんだ」
そう言ったお兄ちゃんんは芥川君に向かって発砲したのだ
3発の銃声。3発の閃光。3発の空薬莢が転がり澄んだ音を立てていた
お兄ちゃんの放っていた弾丸は芥川君のギリギリ手前で制止していた。芥川君が自分の異能で止めていたのだ
異能で銃弾から身を守った芥川君の表情に余裕はない
「お兄ちゃんっ」
「へぇ~」
!?
芥川くんの方を見ると、異能力を発動していて
「やればできるじゃないか」
はぁはぁと息を荒くしている芥川君に
「何度も教えただろ。哀れな捕虜を切り裂くだけがキミの力の全てじゃない。そうやって防御に使う事も出来るはずだって」
「これまで1度も成功させたことはなかったのに」
「でもこうして成功しためでたいねぇ」
くっと行った芥川君に
「次しくじったら2回殴って5発撃つ。いいな」
静まり返った地下牢でお兄ちゃんの声は氷より冷たい声でお兄ちゃんの圧力を受けて黙っていた
「さて、不出来な部下への教育はこの位にして、仕事に取り掛かるよ」
「仕事ですか…」
「死体を調べるの?」
「あぁ。何か出るかもしれない」
何か出る…のかなぁ?
「あの…死体の何をお調べしましょう」
「はぁ…茉白はすぐに分かったと言うのに。全部だよアジトの痕跡を見つけ出すんだ」
「アジトの痕跡?」
「靴底、ポケットのくず、服の付着物。今この死体についているすべての物を手掛かりにする。そう言いたいんでしょ?」
「あぁ。まったくうちの部下は揃って敵を嬲り殺すだけがマフィアだと思ってる。この調子だと織田作1人で解決してしまいそうだ」