3話
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「まぁ、結論から言ってしまおう。彼らは欧州の犯罪組織だ」
「欧州の犯罪組織?」
「あぁ。欧州は異能力者の本場なのは前にも教えただろう?」
「うん。訊いている。政府も犯罪者も超一級の異能力者が揃っていて極めて精緻で複雑な勢力を築き上げているって」
「あぁ。だけれどその続きがあるのだよ」
続き?
「その分、異能力者の監視体制も厳しくそう簡単に他国へ渡る事も出来ないのだよ」
「え?じゃあ、彼らはどうやって」
「確かに異能犯罪組織がそう簡単に密入国できるほど世の中は甘くない。何か裏があるのだろう。若しくはこの国内でしかも横浜に協力者がいるのかもしれないね」
「そんな…あの記述やお兄ちゃんの話だとこの横浜で誰かを探しているような話になってしまう」
「だろうね。向こうの組織の
「そんな人がわざわざ横浜まで来て何を」
「其ればっかりは本人たちに聞かないと。とは言え身一つで逃げ出した先は、頼る者のない異国の地。品のない言い方だし茉白を傷つけるかもしれないけれど、先ずは先立つものがいる。
彼らはポートマフィアの縄張りと密輸
そう言えば、電子暗証錠の番号が変更されていたと言ったね」
「うん。組織内でのもめ事を避けるために
ミミックが倉庫襲撃で使った番号が安吾君の物と一致してしまった」
「流石はマフィアの諜報部員だと言った所だね」
そう言ったお兄ちゃんと一緒に階段を歩いていた。薄暗い地下へと続く階段だ
地下には石壁の隙間から白い霧が音もなく忍び込み地下室を湖中の様にぼんやりと煙って見せていた。
石壁は湿気を帯びて黒くなっていて
お兄ちゃんとあたしが着いたそこはマフィアの地下収監所だ。生きて入る者は多いが生きて出て来られるものは少ない。多くの人間が此処に連れて来られる。理由は様々だ
拷問器具が揃っているからという理由。仲間による救出がほぼ不可能だという理由。地上よりも血を洗い流す掃除の仕事が多少は楽だという理由
あたしとお兄ちゃんは2人で話しながら地下室を通り過ぎ奥にある特別収監房に向かった。特別収監房は20畳ほどの四角い一室だ。背の低い鉄扉だけが唯一の出入り口で他には明り取りの窓すらない。中世の監獄を思わせる手枷と鎖が一揃い、壁から吊り下げられている。その収監房の中央には死体があった。それも3人のだ。血液だけがゆっくりと床に広がり主人亡き今もこの重苦しい部屋から出ようと無益な試みを続けていた