2話
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翌朝の事だ。お兄ちゃんは黒服の部下の人たちを連れて早朝からの仕事へ出向いてしまい
あたしま危険だからと連れて行くことさえなかったので、マフィアのビルの中を歩いていた時だった
「織田さん?」
慌てた様子で中に入ってきた織田さんは
あたしや下級構成員はめったに森さんに呼ばれることも無ければ最上階にある首領の執務室に呼ばれる事もない
そして、あたしが織田さんを見間違えることも無いのもまた事実としてあるのだけれど
「茉白。どうかしたのかい?」
帰って来たお兄ちゃんに頭を下げて離れて行った部下の人たちと一緒に今帰って来たらしい
「あ、織田さんが今昇降機に乗って首領の執務室に行くのが見えたんだけれど」
「珍しい事も有るものだね。茉白は例外としても下級構成員である織田作を執務室に呼ぶ理由はない。
用済み、廃棄、人事整理。其れがよぎるのだろうがそんな事で執務室を使う理由はない。用済みで人事整理をするための廃棄物処理場にでも連れて行かれるだろうしね。別の依頼かな」
そっか。其れなら良いんだけれど
「そうそう。茉白、私たちもこれから仕事だよ」
「仕事?」
「あぁ。茉白の嫌いな広津さんもいるんだけれどね。一緒に行こうか」
広津さんがいるなら、行きたくないなぁ。なんて思っていた矢先だ
「茉白は私が行きたがる仕事は大抵ついてくる。今回も絶対に一緒にくるよ」
「拒否権なんてないくせに」
「ご名答。支度をしておいで」
「はーい」
首領とお兄ちゃんの計らいと、紅葉様からあたし専用にと用意してくれた執務室に入って支度を済ませると
「珍しく早いじゃないか。それじゃあ、行こうか」
そう言って乗り込んだお兄ちゃんとあたし。向かった先は横浜にある埠頭だ。
車に乗り込んですぐにお兄ちゃんは
「本当によく飽きないねぇ」
「外の空気は好き。朝でも昼でも、そして夜でも。お兄ちゃんの隣に居るのも好き。織田さんの隣にいるのも傍にいるのも好き」
「おや安吾は入れてあげないのかい?」
「安吾君は…分からない…好きなわけでも嫌いなわけでもない。でもだからと言って隣にいるのも嫌いでもなく好きなわけでもない」
「そうか」
埠頭について車から降りてお兄ちゃんと一緒に歩いていると
「そうそう茉白」
「んー?」
「市警に連絡が回らないようにしておいて。後掃除屋に連絡を。廃棄物を処理してもらう」
「はい」
そう言いながらも携帯ですぐにいろいろと手をまわしている間に見慣れてしまった黒服の人と白髪のお爺さんこと、広津さんを見つけてしまった
「市警に連絡が行かぬように手を回せ。其れから掃除屋を呼べ。死体を運ばせる。彼ら3人に家族がいたか調べよ。もしいれば私から連絡をする。其れから間もなく幹部がお着きになる」
そう言っているのも丸聞こえなのだがお兄ちゃんは何も言うつもりは無いと来たらしいのだが
広津さんが煙草をくわえようとした直後だ
「おっはよー皆さん」
「おはようございます」
「ん?」
広津さんも他の人たちもあたしが一緒だとはだれも思わなかったのだろう
「一寸待って居てくださいね。お兄ちゃんは今電子遊戯の難関面をしている最中なので」
「お前もこ…」
「茉白はいいよ。私の傍に居れば」
「平気?」
「勿論。中也からも聞かされているし姐さんも首領も知って居る。私の隣に居ても何にもおかしな話ではないだろう。私の妹なのだから」
ゲームをしながらそう言ったお兄ちゃんは
「あ、拙い、抜かれた!喰らえ爆撃!げぇ、よけられた!」
「お兄ちゃん気を付けてね」
石段の上にいるとはいえふら付いている状態で歩いているのだ
「あぁもう!この面を幾らやっても突破できないのだよ!この
「茉白に近況報告してよ」
「然し」
「大丈夫。茉白は外部に話すようなお馬鹿さんではないよ。それに君たち遊撃隊の人間が茉白を嫌っている理由が私には分からない」
「太宰殿」
「茉白が優しすぎるがゆえにマフィアに向いていないのも知って居る。けれどね、茉白は私の妹だ。その態度も行動も私の耳に入ると思ってくれて構わない」