2話
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「じゃあせめて、次の仕事は一緒に連れて行ってよ。邪魔しないからさ」
「お勧めしませんね」
「確かに。犯人探しや失せ物創作は兎も角、人間関係の
「私の所為で延焼する人間関係って素敵!」
「ほらね」
安吾君の指摘に何も答えないでお酒を飲んでいる織田さんとオレンジジュースから別のジュースにのみ変えたあたし
「太宰君、他人の仕事に顎を突っ込む前に何か趣味を盛ったらどうです?自殺未遂よりも、もう少し健康的な奴を」
「趣味って言ったってさぁ。チェスや碁は簡単すぎてつまらないしさ、何かある」
「
「私疲れるの嫌い」
運動してる姿のお兄ちゃんって想像したことないかも
「学問は?」
「面倒だなぁ」
「茉白さんの学問を見るのもいいかと思いますが」
「それこそ、織田作と安吾の仕事を取っちゃうようで悪いじゃないか」
「では、料理…」
そう言った安吾君にあたしは慌てて手でバツのサインをした
「いえ何でもありません」
「そうだ。私新しい水炊き鍋のレシピを開発したのだよ。今度試食してくれないかな?名付けて“超人スタミナ鍋”食べるとな時間は知っても疲れない、夢の…」
「絶対に嫌です」
「疲れないのなら仕事の前にはよさそうだ」
「あぁ…仕事帰りに早速頭が痛い…」
「大丈夫?」
「働きすぎだ安吾」
「茉白さんに心配されてしまうようではまだまだですね。どうも僕はここで無償残業をしているようだ。今日は失礼しますよ。茉白さんも連れて帰りましょう」
「お兄ちゃんはこうやっていつでも会えるからいいよね」
「茉白?」
「前回此処で会っていた時、茉白を置いて来てしまった時に遊撃隊の人間と一寸ね」
あれが一寸だなんて言えるお兄ちゃんが羨ましい
「然し中原君も尾崎さんもいるでしょうに」
「居ない所を狙うのが趣味の様なものだからねぇ」
そう言ったお兄ちゃんはグラスを持ち上げて
「何に乾杯するんです?」
「何だっていいさ」
「何でもいいのに乾杯するの?」
「勿論。理由が欲しいわけじゃない」
そう言ったお兄ちゃんの後に織田さんがグラスを上げて
「ストレイドックに」
そう言ったのだ
ストレイドッグ…
迷い犬とも言えるそれが合言葉なのかもしれないけれど
「正直なところ、ここに来て貴方方と酒を飲んでいると自分が黒社会で非合法な仕事に携わっている事を忘れそうになるのです。マスター、ご馳走様」
「安吾、その鞄は出張の荷物か」
「そうです。ですが大したものは、入って居ませんよ
煙草に護身用の武具、携帯雨傘。あとは仕事用の写真機位です」
「そうだ。写真撮ろうよ。記念にさ」
「記念?」
「なんの記念だ」
「茉白を含めてここに集まった樹ねん。或いは安吾の出張完了祝い。その他なんでも」
「幹部殿の仰せのままに」
そう言った安吾君は写真機を取り出して写真を撮ったあたし達
太宰治
異能力【人間失格】
太宰茉白
異能力【???】
坂口安吾
異能力【堕落論】
織田作之助
異能力【天衣無縫】
これが4人で集まる最後となってしまった
この時はまだ知らない。この中の誰かが居なくなるなんて…
そしてあたしはお兄ちゃんと織田さんと一緒に2ショットを撮って貰った
「安吾君」
「いいですよ。写真は茉白さんに差し上げましょう」
「ありがとう」
なんて話していると
「だが何故急に写真なんだ」
「確かに」
「今撮っておかないと我々がこうやって集まったという事実を残す物が何もなくなるような気がしたんだよ」
「あたしも?」
「茉白は私の前からいなくなるなんてことはないだろうね。
居なくなるのは大分先の話だ」
そっか
「織田作カメラ」
そうカメラの方に向いたあたし達
だけど、その通りになってしまった。お兄ちゃんの言った通り
この日があたし達の間にある目に見えない何かを写真に残すことが出来る
最後の機会になってしまったからだ
4人の内1人がその後間もなく亡くなり、1人が裏切ったからである