2話
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ポートマフィアにはこういう言い習わしが存在する
太宰の敵の不幸は敵が太宰であること。
お兄ちゃんがこうしたいと思えば、戦争の銃撃戦の真ん中でもランチでもピクニックでも出来てしまうだろう。
これまでにお兄ちゃんが打ち立てた闇と血のリストを見れば笑ってもいられなくなる。ここ2年でポートマフィアが新たに得た利益のおよそ半分はお兄ちゃんの功績によるもの
その総額が何億になるのか。その為に踏みつぶされた命が何十人になるのか。お兄ちゃんの妹であるあたしにも想像もつかない。
それはお兄ちゃんがあたしを戦場という構想の中に踏み入れることをしないからだ。マフィア内の人間も震えあがる
お爺ちゃんの抜けてしまった幹部席に入ったのがポートマフィア最年少幹部となったお兄ちゃんだ
「何処かに簡単で安心な自殺方法は無いものかなぁ」
「ないだろう」
「織田さんに同じく」
そんな簡単にお兄ちゃんには死んでほしくなんてないもの
「織田作?茉白。」
「「ん?」」
お兄ちゃんに呼ばれて振り向けば
「人は死を恐れ、同時に死に引き付けられる。街で文学の中で死は繰り返され消費されていく。何物にも変換不能な1回限りの死…それが私の望みだ」
こうやって時々お兄ちゃんは難しい話をする
「織田作さん。それ、突っ込むところですよ」
「ん?」
久々に訊いた低音ボイスの方を向くと丸渕メガネが特徴の男性…安吾君が来たところらしい
「織田作さんは太宰君に甘いんです。太宰君の台詞の3つに2つくらいは金槌で後頭部を叩いて突っ込むkyらいでないと、収拾がつかなくなりますよ」
金づちで後頭部を!?
御覧なさい。酒場全体がつっこみ不在の亜空間と化している。マスターなんて細かく震えていますよ」
「安吾!」
「安吾君」
「おや。茉白さんもいたんですね。珍しい」
「茉白が真に受けてるぞ」
「おやそれはそれは。今日は車なので、トマトジュースを」
「暫くぶりだねぇ仕事帰りかい?」
「東京出張からたった今帰って来たばかりです。今日は車なのでトマトジュースを」
車なんだ?東京まで車で行って来たんだ
「いいなぁ出張。私も遊びに行きたい。マスター、カニ缶おかわり。それとオレンジジュースも」
お兄ちゃんの目の前には既に空になったカニ缶が3つ積まれている。そしてあたしのオレンジジュースは2つ。
「此れは?」
「食べてみてください」
「ありがとうございます」
貰ったものを食べ始めると、お兄ちゃんと安吾君が難しい話を始めてしまってよく分からない会話を訊いていてもつまらなくなって
オレンジジュースを飲みながら足をブラブラし始めた時だ
「遊び?マフィア全員が貴方の様に暇つぶしで生きているわけではないのですよ太宰君。勿論仕事です」
「私に言わせればね安吾。この世に存在する凡てのモノは死ぬまで暇つぶしの道具だよ」
「それで、仕事って何の仕事だったんですか?」
「魚釣りです」
「へぇ、それはご苦労様。
「ゼロ。まるで無駄足でした。欧州の一級品と訊いて足を運んだのですがどれも町内会の手芸教室もかくやの我楽多ばかり」
安吾君が其処まで言うのなら間違いないだろう
魚釣りとは組織の中で使われる隠語で、密輸商品の買い付けの事だ。大抵海外で造られた武器や横流しの品を購入する。
紅葉様に訊いた話では其れに稀に宝石や美術品が流通に乗ってくることもあるらしい