1話
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「横浜租界。擂鉢街はかつて此処で起きた巨大爆発事故でできた街です」
「爆発?」
「はい。爆発は全住民も土地権利もすべて吹き飛ばし後には荒野だけ。表社会からはじき出された日陰の民たちがその跡地に何時からか勝手に街を作り始めた。それが此処、擂鉢街です」
「法的な緊張地帯dふぇある租界に接し、かつ不法でも1度済めば居住権は発生する」
「そうです。その2つを背景に彼らは勝手に小屋を建て済み始めました。そうして此処は表社会からはじき出された灰色の人々が住む灰色の町になったのです」
ハイイロのマチ…
此処はそういう場所だったんだ
「君も本来はこういう場所に居るべき人間だと、私は思っているがね」
みんなそう言っていることくらい知って居るもの。
お兄ちゃんの方を見ると、さほど興味なさそうな顔をしていつもの愛読書である完全自殺読本を読んでいて
「外国にはメッキを飲む自殺法があるのか。
ただし、飲んだものは生きながら内臓を溶かされる」
「うぅ…」
「うぇ…試さなくて良かった」
「太宰さん。あまり、先に行きすぎませんよう。私が護衛しているとはいえこの辺りは抗争地域です。ご注意を」
「抗争?」
「現行マフィアと敵対中の組織は3つ」
「3つも?」
「はい。1つ目が
今週だけでマフィア班が2つ落とされています。特にリーダー格の男が非常に厄介で銃弾が効かないとか」
銃弾が効かない?
「君もポートマフィアではなく羊に入っていれば良かったのではないかね」
「ふぅん…」
興味のなさそうなお兄ちゃんの携帯が鳴ったのも同じタイミングで
「森さんだ」
そう言ったお兄ちゃんは電話に出て
「うん。いろいろ分かったよ」
もう分かったの?
なんて思ったのも束の間
「結論から言うと、先代はいたよ。蘇ったんだ地獄の底からね
うん。帰ってから詳しく報告を…」
そう言った直後、お兄ちゃんに突き飛ばされたあたしは広津さんの方に倒れ込んで
「とうとう嫌われたか」
なんて言っているともの凄いスピードで何かがお兄ちゃんにぶつかったのを確認できた
「太宰さん!」
「お兄ちゃん!」
吹き飛んでいった先で
「ククク」
と笑っている男の人の声がする
「ん…」
「こりゃあいい。ガキとはな」
そう言った男の人はお兄ちゃんよりも森さんよりも広津さんよりも怖そうな男の人
「泣ける人手不足じゃねぇかポートマフィア」
「羊!」
え?この人が羊?
「僕は痛いのは嫌いなんだけど?」
「てめぇの選択肢をやろう」
選択肢?
「“今”死ぬか、“情報を吐いて”から死ぬかどっちがいい?」
そう言った男の人の言葉に
「っ……」
「じゃあ“今”殺せ。楽に殺してくれるなら、願ったりだ」
「お兄ちゃ…」
「へぇ妹が居んのかよ。てめぇ」
「茉白。広津さんと一緒にいるようにね」
「やだ」
「この“単細胞”の力じゃ茉白が怪我をするだけじゃ済まない」
「!?」