1話
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“にゃあ”という猫の鳴き声を訊いていたあたしと
「此れはどうにもならないねぇ」
なんて言っているおじさん事森
「密輸銃の納入期限が2週間も過ぎている。これじゃもうじき
其れだけじゃない。
市警が出動した暴力事件が今月だけで3件。末端構成員が制御しきれなくなっているのだね
保護ビジネスの契約解除。他組織との抗争激化。縄張りの縮小。困ったねぇ…
クルっと回った森さんは
「どう思う?太宰君。訊いてる?」
「訊いてますん」
「お兄ちゃん、それはどっち?」
「だって森さんの話いつも退屈なんだもの」
やっぱり、お兄ちゃんには退屈なんだ?
「あのね森さん。お金がないとか情報がないとか。部下からの信用がないとか。そんなの最初から分かってたことでしょ?」
なんて言いながらビンの中で何かの液体をまぜているお兄ちゃんに
「其れはそうなんだけどねぇ
所で君は何故高血圧の薬と低血圧の薬を混ぜているのかね?」
血圧の薬を混ぜてたんだ?なんて呑気に思っていると
「まとめて飲んだら楽に死ねるかなと思って」
なんて言っているお兄ちゃん
「やだよ?あたしを、置いて行っちゃうの?」
そう言ったあたしに
「莫迦だねぇ茉白ちゃん。太宰君は君を放って死んだりなんかしないよ」
ビーカーを取り上げられたお兄ちゃんは
「やだやだ死にたい!つまんないから死にたい!なるべく楽に死にたい!森さん何とかして!」
あー…森さんと会う前もこんな感じで終わったんだったっけ…
なんて能天気に思っていると
「茉白ちゃんを置いて行く。なんて事太宰君はしないだろう?」
「本当?森さん」
「本当だとも。エリスちゃんと一緒に遊んでくるといい」
そう言って出してくれたエリスちゃんは森さんの異能力…つまりは異能生命体だ。そして森さんの出してくれたエリスちゃんは本当のお人形さんの様で
「あら。茉白」
「エリスちゃん…」
お兄ちゃんと森さんを見たエリスちゃんは
「成程ね。茉白あっちに行って来ましょ」
あたしの手を握ってくれたエリスちゃん
「でも…」
「大丈夫よ。リンタロウもオサムも私と一緒だと知って居るもの」
あたしの手を離すまいと握って外に連れ出してくれて
窓を開けたお兄ちゃんに
「茉白ー。あまり遠くへ行ってはいけないよ」
「はぁい」
やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだ
「オサムもかなりの過保護よね」
なんて言っているけどあたしはお兄ちゃんにそう言われるほどの距離を離れたことがないのだ
きっと、あたしが今はまだポートマフィアの人間を誰も信じていないように、エリスちゃんの事も森さんの事も信用が出来ていない
「そうですか?」
「そうよ!今のだって茉白を心配しているから出てくる言葉だろうけど、あまりにも遠くへ行かせたくない過保護なお兄ちゃんでしょ」
それでも構わないけれど
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