第1章 -昔の話-
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「はあ・・・やっとついたぜ。」
ここが、忍一族が住む里。俺の故郷。
江戸の頃に忍は絶滅したと思われているが、わずかながら今も存在している。
親父は一族が衰退していく焦りから、とりつかれたように厳しい訓練を俺たち姉弟に強いた。生き残ったのは、俺と弟2人。9人いた姉弟のうち6人は死んだ。慶次朗と剛四朗は・・・元気だろうか。
家の門前で深呼吸をし、中に入る。親父には今日帰ることを文(ふみ)で伝えてある。
「おかえりなさいませ、天元様。お元気そうで何よりです。さ、旦那様がお待ちですので、こちらへ。」
使用人に親父のもとへ案内される。
「久方ぶりだな、天元。・・・任務については、よくやった。産屋敷家からは莫大な報奨金が降りてきてな。まだ任務を続けてくれてもよかったのだが、、返されたか。所詮お前は、力だけが取り柄の痴れ者よ、はっはっは!」
「・・・お久しぶりです、父上。では、宇髄家に私は必要ないと?」
「お前が任務に出ている間、慶次朗は極々と力をあげてな。一族を治めるのは長男のお前よりも慶次朗のほうがよっぽどふさわしい。」
「…そうですか。ところで、剛四朗は元気ですか。」
「剛四朗?ああ、あの怯者のことか。ちょうど去年の今頃か。慶次朗と戦わせて、死んだ。あっけなくな。」
「っ!・・・
兄弟同士戦って何になるというんですか!」
怒りがこみ上げる。
この2年間、互いを心から信頼し、助け合う兄妹をずっと見てきた。病弱な身体でありながらも、あの若さに対して大きすぎる責任を背負っている兄。待ち受ける兄の死を受け入れ、兄が果たそうとしている一族の役目を担おうと、自分にできることを必死に探す妹。
怒りを堪えていると親父が口を開く。
「はいれ、慶次朗。」
久しぶりにみる弟の瞳は、冷淡で、光を映していない、冷酷な瞳をしていた。俺をみる慶四朗の姿はまるで、親父そのものだった。
「兄上、お久しぶりです。」
言葉と同時に刀を向けてくる慶四朗。
何度も斬ろうと刀を向ける慶四朗の攻撃をひたすら避ける。
戦いたくはない。
俺はあんな人間になりたくない。
慶四朗の腹に一撃をいれ、気絶させる。
「鈍ってはいないようだな、天元。」
高みの見物をしていた親父が口を開く。
本気で俺の命を狙おうとしていた慶四朗。それを指示したのは間違いない、この男だ。
「やはり、宇髄一族を担うのはお前だな、天元。かなり実力を挙げたようで安心したぞ。」
そう言う親父を睨みつける。
「そう怒るな。お前はもう15になった。仕来り(しきたり)の通り、お前に3人の妻を用意した。客間に通してある。顔を合わせにいくといい。」
「・・・妻など、いりません。」
「なにをいうか。後継ぎを残すためだ。3人の中には”まきを”もいる。せいぜい仲良くやってくれ。」
”まきを”?たしか親戚の小さな女の子。忍の訓練がつらく、いつも泣きわめいていた・・あの子か。嫁に来るような年になったのか。
泣きわめく幼女の姿が思い返される。なんとなく、3人の女を残してこの家を去るのは気が引ける。俺は一度、客間に顔を出すことにした。
ここが、忍一族が住む里。俺の故郷。
江戸の頃に忍は絶滅したと思われているが、わずかながら今も存在している。
親父は一族が衰退していく焦りから、とりつかれたように厳しい訓練を俺たち姉弟に強いた。生き残ったのは、俺と弟2人。9人いた姉弟のうち6人は死んだ。慶次朗と剛四朗は・・・元気だろうか。
家の門前で深呼吸をし、中に入る。親父には今日帰ることを文(ふみ)で伝えてある。
「おかえりなさいませ、天元様。お元気そうで何よりです。さ、旦那様がお待ちですので、こちらへ。」
使用人に親父のもとへ案内される。
「久方ぶりだな、天元。・・・任務については、よくやった。産屋敷家からは莫大な報奨金が降りてきてな。まだ任務を続けてくれてもよかったのだが、、返されたか。所詮お前は、力だけが取り柄の痴れ者よ、はっはっは!」
「・・・お久しぶりです、父上。では、宇髄家に私は必要ないと?」
「お前が任務に出ている間、慶次朗は極々と力をあげてな。一族を治めるのは長男のお前よりも慶次朗のほうがよっぽどふさわしい。」
「…そうですか。ところで、剛四朗は元気ですか。」
「剛四朗?ああ、あの怯者のことか。ちょうど去年の今頃か。慶次朗と戦わせて、死んだ。あっけなくな。」
「っ!・・・
兄弟同士戦って何になるというんですか!」
怒りがこみ上げる。
この2年間、互いを心から信頼し、助け合う兄妹をずっと見てきた。病弱な身体でありながらも、あの若さに対して大きすぎる責任を背負っている兄。待ち受ける兄の死を受け入れ、兄が果たそうとしている一族の役目を担おうと、自分にできることを必死に探す妹。
怒りを堪えていると親父が口を開く。
「はいれ、慶次朗。」
久しぶりにみる弟の瞳は、冷淡で、光を映していない、冷酷な瞳をしていた。俺をみる慶四朗の姿はまるで、親父そのものだった。
「兄上、お久しぶりです。」
言葉と同時に刀を向けてくる慶四朗。
何度も斬ろうと刀を向ける慶四朗の攻撃をひたすら避ける。
戦いたくはない。
俺はあんな人間になりたくない。
慶四朗の腹に一撃をいれ、気絶させる。
「鈍ってはいないようだな、天元。」
高みの見物をしていた親父が口を開く。
本気で俺の命を狙おうとしていた慶四朗。それを指示したのは間違いない、この男だ。
「やはり、宇髄一族を担うのはお前だな、天元。かなり実力を挙げたようで安心したぞ。」
そう言う親父を睨みつける。
「そう怒るな。お前はもう15になった。仕来り(しきたり)の通り、お前に3人の妻を用意した。客間に通してある。顔を合わせにいくといい。」
「・・・妻など、いりません。」
「なにをいうか。後継ぎを残すためだ。3人の中には”まきを”もいる。せいぜい仲良くやってくれ。」
”まきを”?たしか親戚の小さな女の子。忍の訓練がつらく、いつも泣きわめいていた・・あの子か。嫁に来るような年になったのか。
泣きわめく幼女の姿が思い返される。なんとなく、3人の女を残してこの家を去るのは気が引ける。俺は一度、客間に顔を出すことにした。