知らないけど分かってる。
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知らないけど分かってる。6
* * *
数時間前、ベポくんが嬉しそうに伝言に来てくれた。何でも早速私の要望はトラファルガー・ロー、この船のキャプテンによって叶えられたようだ。あとで迎えに来るねと嬉しそうにベポは言って船長室を後にした。
で、このタイミングのノックである。
コンコン。
おそらくベポくんだろうと思ってドアを開けるが、目の前にいたのはペンギン帽を目深にかぶったペンギンと、よく磨かれたグラサンに光を乱反射させるシャチであった。これまで同様、頭で存在は認識しているものの、この2人がどのような人物で何故ここに来たのか検討がつかないため、ドアを再度締めるべきか一瞬迷いが生じる。
「ちょ、ちょ、ちょーっと待って!俺達は〇〇嬢をお迎えに来ただけだって。ほら、あれ何て言うの、エスコート?」
「そうそう、今日はいつも隣にいる無愛想な刺青王子じゃなくてね、ハートの海賊団のお茶目なアイドルの我々シャチとペン…」
「ギン」という言葉を聞きとることなく、私の視界は反転し、何故か目の前の光景は食堂のダイニングテーブルに変わっていた。何故、自分が食堂の椅子に腰かけているのか…状況が分からず周囲を見渡す。
向かいには左手を宙に向け、感情が読めない顔でこちらを見ているトラファルガー・ロー。そして隣には「役割を強奪されて、本当にすいません…」と小声で呟き、ローの視線を回避するように下を向くベポくん。その他にも唯一の女性クルーらしいイッカクさんや、大柄なジャンバールさんなど、ハートの海賊団のクルー面々が、私の方に優しい眼差しを向けてくれる。
「えっと、さっきまで船長室にいたのに...。」
「遅ぇから、呼んだ。」
事も無げに「呼んだ」と述べたこの船長は、そういえば悪魔の実の能力らしい...と今更ながらに思い出す。その時、廊下を走るドタドタという賑やかな音が近づき、次いでドアがバーンと大きな音で開けられた。
「キャプテン!!俺らがエスコートするはずが、なに能力使っちゃってるんですか!?」
ローはギャアギャア騒ぐ、シャチとペンギンを一瞥すると、「そもそも、俺はベポに頼んだんだが…?」と気の毒な航海士を指差す。
「でも、俺達だってキャプテン!いつもキャプテンのガードが固くて、全然〇〇と話せていないし…、何より記憶喪失とは言え普段に輪をかけて、こんなピュアで可愛い〇〇とは話したいってのが、男の性ってもんで…」
『シャンブルズ』
最後の「しょう!!!」という熱い叫びが、船内のどこか遠くでこだましていた。ローは私が食堂に瞬間移動した時と同様に左手を宙に向けている。私をここに呼んだのも、シャチとペンギンが忽然と消えたのも彼の能力なのだろう。
「相変わらずね、あの2人。」
ケラケラと笑いながらイッカクが続ける。
「でも、ま。キャプテンのガードが固いのと、いつもと違った〇〇が可愛いのは本当だけどね!」
パチリと軽いウインクをしながら、イッカクは私に微笑みかけた。その大人っぽい仕草に、同性にも関わらず思わずドキリとしてしまう。私は気恥ずかしさから下を向いてしまった。
「…まぁ、いい。とりあえず揃ったから始めよう。〇〇、今日は災難だったな。まだ本調子ではないだろうから無理はしないで良いが、他のクルー達も皆お前を心配していた。今日は色んなやつと話して、少しでも俺達のことを知ってくれれば良い。」
そうローが声をかけると、わぁと歓声が上がり、皆近くの人間とグラスやジョッキをぶつけて楽しそうに乾杯している。私も両隣のイッカクとベポくんと乾杯し、グラスに入ったお茶をチビチビと飲んだ。
視線はずっと下げたまま、上にあげることができない。少しでも上げると、私の真正面に座るローの真っ直ぐな視線とぶつかることが分かっているからだ。
「もうー!キャプテン、睨まないの。」
「睨んでねぇ。」
「睨んでるよ、ねぇベポ?」
「え、俺?ま、まぁキャプテンの目付きが悪いのはいつものこ…
「あぁ?」
「何でもないです、スミマセン」
ようやくイッカクとベポと他愛ないやり取りをするローを視界に入れる。2人とも怖くないのだろうか?案の定、彼とは目が合い、慌てて目を反らす。そんな私の行動に彼は僅かに眉を上げたが、別に咎められることはなく、グイッと自分のジョッキを空にしていく。
* * *
数時間前、ベポくんが嬉しそうに伝言に来てくれた。何でも早速私の要望はトラファルガー・ロー、この船のキャプテンによって叶えられたようだ。あとで迎えに来るねと嬉しそうにベポは言って船長室を後にした。
で、このタイミングのノックである。
コンコン。
おそらくベポくんだろうと思ってドアを開けるが、目の前にいたのはペンギン帽を目深にかぶったペンギンと、よく磨かれたグラサンに光を乱反射させるシャチであった。これまで同様、頭で存在は認識しているものの、この2人がどのような人物で何故ここに来たのか検討がつかないため、ドアを再度締めるべきか一瞬迷いが生じる。
「ちょ、ちょ、ちょーっと待って!俺達は〇〇嬢をお迎えに来ただけだって。ほら、あれ何て言うの、エスコート?」
「そうそう、今日はいつも隣にいる無愛想な刺青王子じゃなくてね、ハートの海賊団のお茶目なアイドルの我々シャチとペン…」
「ギン」という言葉を聞きとることなく、私の視界は反転し、何故か目の前の光景は食堂のダイニングテーブルに変わっていた。何故、自分が食堂の椅子に腰かけているのか…状況が分からず周囲を見渡す。
向かいには左手を宙に向け、感情が読めない顔でこちらを見ているトラファルガー・ロー。そして隣には「役割を強奪されて、本当にすいません…」と小声で呟き、ローの視線を回避するように下を向くベポくん。その他にも唯一の女性クルーらしいイッカクさんや、大柄なジャンバールさんなど、ハートの海賊団のクルー面々が、私の方に優しい眼差しを向けてくれる。
「えっと、さっきまで船長室にいたのに...。」
「遅ぇから、呼んだ。」
事も無げに「呼んだ」と述べたこの船長は、そういえば悪魔の実の能力らしい...と今更ながらに思い出す。その時、廊下を走るドタドタという賑やかな音が近づき、次いでドアがバーンと大きな音で開けられた。
「キャプテン!!俺らがエスコートするはずが、なに能力使っちゃってるんですか!?」
ローはギャアギャア騒ぐ、シャチとペンギンを一瞥すると、「そもそも、俺はベポに頼んだんだが…?」と気の毒な航海士を指差す。
「でも、俺達だってキャプテン!いつもキャプテンのガードが固くて、全然〇〇と話せていないし…、何より記憶喪失とは言え普段に輪をかけて、こんなピュアで可愛い〇〇とは話したいってのが、男の性ってもんで…」
『シャンブルズ』
最後の「しょう!!!」という熱い叫びが、船内のどこか遠くでこだましていた。ローは私が食堂に瞬間移動した時と同様に左手を宙に向けている。私をここに呼んだのも、シャチとペンギンが忽然と消えたのも彼の能力なのだろう。
「相変わらずね、あの2人。」
ケラケラと笑いながらイッカクが続ける。
「でも、ま。キャプテンのガードが固いのと、いつもと違った〇〇が可愛いのは本当だけどね!」
パチリと軽いウインクをしながら、イッカクは私に微笑みかけた。その大人っぽい仕草に、同性にも関わらず思わずドキリとしてしまう。私は気恥ずかしさから下を向いてしまった。
「…まぁ、いい。とりあえず揃ったから始めよう。〇〇、今日は災難だったな。まだ本調子ではないだろうから無理はしないで良いが、他のクルー達も皆お前を心配していた。今日は色んなやつと話して、少しでも俺達のことを知ってくれれば良い。」
そうローが声をかけると、わぁと歓声が上がり、皆近くの人間とグラスやジョッキをぶつけて楽しそうに乾杯している。私も両隣のイッカクとベポくんと乾杯し、グラスに入ったお茶をチビチビと飲んだ。
視線はずっと下げたまま、上にあげることができない。少しでも上げると、私の真正面に座るローの真っ直ぐな視線とぶつかることが分かっているからだ。
「もうー!キャプテン、睨まないの。」
「睨んでねぇ。」
「睨んでるよ、ねぇベポ?」
「え、俺?ま、まぁキャプテンの目付きが悪いのはいつものこ…
「あぁ?」
「何でもないです、スミマセン」
ようやくイッカクとベポと他愛ないやり取りをするローを視界に入れる。2人とも怖くないのだろうか?案の定、彼とは目が合い、慌てて目を反らす。そんな私の行動に彼は僅かに眉を上げたが、別に咎められることはなく、グイッと自分のジョッキを空にしていく。