知らないけど分かってる。

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知らないけど分かってる。2

*   *   *

ベポは「あぁ、やっぱりな」と納得した。
先ほど〇〇が目覚めて、キャプテンは1人船長室で〇〇と何か話したようだった。数分で船長室から出てくると真っ直ぐに食堂に向かう。その道中、ベポを見かけると「全員を食堂に集めとけ」と一声かけて、自分はスタスタと足を進める。

〇〇の様子は?」とベポが声をかける隙さえ与えない。何となく聞いてはいけない事態になっていることは流石のベポも分かった。

食堂でキャプテンがクルーに手短に使えたことは2つ。
〇〇が記憶障害の可能性があること
・キャプテン、ローとの関係は言及しないこと

仲間の一大事にクルーは「記憶は戻るんですか」「俺たちのこと覚えてます?!」と思い思いに声を荒げる。中でもシャチが「キャプテンはそれでもいいんですか?!」と声を張り上げた。

ローはシャチの言葉に視線を向け、有無を言わさぬ口調で続ける。

「余計な情報を伝えて〇〇を動揺させるな。一番苦しいのは本人だ。特に、俺との関係は絶対に告げるな、…これは船長命令だ。」

✳   ✳   ✳

〇〇はね、半年位前から俺達の仲間としてこの船に乗っているんだよ。ある島でキャプテンが〇〇を連れてきたんだ。〇〇の素性も、その島で何をしていたかも俺達は知らないし、聞かなかった。多分、キャプテンは知っているんだろうけど…。」

〇〇はベッドの上で静かにベポの話に耳を傾けている。ベポは続ける、

〇〇はね、船の中で雑務や俺の仕事を手伝ってくれてたんだ。俺の字が汚かったのと、〇〇は文章を書くのが上手で、ここ最近はずっと俺の代わりに航海日誌を書いてくれてて…。皆も〇〇のことが大好きだし、この船に乗ってから毎日〇〇も楽しそうだった!」

最後のは押し付けがましくないかな。こちらの推測を伝えて、〇〇に先入観を持たせたなんてバレたら、キャプテンにバラされると、ベポは自分の言葉選びに不安を隠せなかった。でも〇〇は(本来は見知った仲間だが)見知らぬ海賊集団の中でもっと不安で怖いだろうな、その思いを原動力にベポは更に言葉を紡ぐ。

〇〇はね、この船が敵船の攻撃を受けた時、砲撃の影響で船が大きく揺れた拍子に船内の機材に頭を強打して気を失ったんだ。すぐにキャプテンが診察してくれて、幸いにも脳内で出血とかはしてなかったから、目が覚めるまで船長室で寝ていてね…」

「それで先ほど目が覚めた、ということね。」

最後は〇〇が言葉を結んだ。
一連の話を聞いた〇〇の様子をそっと伺う。しばらく考え込む素振りだったが、こちらの視線に気がつくと、少しだけ微笑んでくれる。

「他のクルーの方々にも会ってみたら、何か思い出すかな…」
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