るっく、みー!
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ギアステーション職員通路。
普段から常に笑顔を絶やさないクダリはある人物の後ろ姿を見つけて、纏う空気に音符を付け加える。
「ナマエ!今日なんだか身長高い!」
「あ、お疲れ様です。クダリボス。まぁ、今日はちょっとヒールを履いてるので」
「納得!普段はちっちゃくて探すの大変なのに今日はすぐ見つかった!」
「そ、そこまでチビじゃないです!」
威嚇するヨーテリーのように噛み付くナマエにクダリはさらに音符を増やす。
「まぁまぁ!小さいって悪いことばっかりじゃない。素早さは高いし、相手の攻撃も当たりにくい!」
「私はポケモンじゃないんですけど…」
「ほら、飴あげる!ね?飴も貰える!」
「子供でもないです。大人です!」
「え?大人?どこ?」
態とらしくキョロキョロと周囲を確認するクダリにナマエがムッとする。
その反応にまた一層とご機嫌になる。
クダリはナマエと喋る時、こういったコミュニケーション以外の取り方を知らない。
「モーモーミルク毎日飲んでみたら?」
「…これでも毎日飲んでましたよ。二十歳すぎてから諦めました」
「実らなかったんだ!ドンマイ!因みにぼく、モーモーミルクあんまり好きじゃない!」
「飲んでないのに高身長で羨ましい限りですね!!」
クダリがナマエにちょっかいをかける姿はギアステーションでもよく見られる光景だった。
今も指をナマエに突き付け完全に揶揄う姿勢だ。
「それになんか服装もお洒落!まるでデ……」
そこまで言ってさっきまでのニコニコ笑顔がフリーズした。
口角は上がったまま目を見開いて、蒼くなった顔に大量の冷や汗を流している。
クダリは突き付けている指をプルプル震わせながら、上擦った声を絞り出した。
「きょ、今日、どっか、行くの……?」
「え?えっと、まぁ…はい」
普段と違う気合いを入れた格好をしている自覚があるのか、ナマエが照れ臭そうに視線を彷徨わせた。
「へぇ…。1人?」
「まさか!1人で出掛けるのにこんな格好しませんよ」
「ふ、ふーん…。誰と?」
「それは…秘密です。お忍びデートだから誰にも言わないでって口止めされてるので」
先程クダリが躊躇った単語がナマエの口から飛び出し蒼い顔が真っ白になる。
それにギョッとしたナマエが慌ててクダリに駆け寄った。
「…クダリボス、大丈夫ですか?気分悪いですか?」
「…うん…凄く悪い…。吐きそう…」
「えぇ!?」
蹲ったクダリの背中をさするナマエが誰か人を探して周囲を見渡す。
その間も、クダリの中で疑問と焦燥が濁流のように押し寄せる。
(なんで…?デート…?誰と…?だって、そんな気配全然…)
「この時間帯ならライブキャスターより直接呼んだ方が早いかな…ボス、インカム…は持ってなさそうですね…」
"とりあえず人を呼んできますから!"と立ち上がったナマエの手首を迷子の子供のように頼りなさげに掴んだ。
「…待って…ちょっと…」
「大丈夫です。人を呼んですぐ戻ってきますよ。壁に寄り掛かって少しだけ待ってて下さい」
「違う…ぼく…」
躊躇いつつも必死に言葉を繋げようとするクダリにナマエは首を傾げる。
「ボス…?」
「だから…あの…」
緊張で乾く口の中、無理やり唾液をかき集めてグッと飲み込む。
一呼吸おいてからガバッと顔を上げて、八の字眉の懇願するような表情でナマエと視線を合わせる。
"行かないで…ぼくじゃない、他の人の所に…"
しかしそれは声にならず、はくはくと音のない空気を吐き出しただけだった。
「………」
萎んだ勢いに同調する様に視線も再び下に落ちた。
代わりにせめてもの抵抗に掴んだ手首を少しだけ強く握る。
「クダリボス…?」
「…………」
クダリが口を引き結んでしまった事で訪れた静寂の中、ライブキャスターの着信音がけたたましく鳴り響いた。
相手を見たナマエは少しの逡巡のあと、繋ぐ。
『ナマエ!デートが楽しみで少し早く連絡しちゃった!』
「あのっ!カミツレさん!すみません、ちょっと今、色々あって…」
『あら、何かトラブル?』
「実は、クダリボスがとつぜん気分悪くなっちゃったみたいで」
一言、二言状況を説明しているナマエにクダリが硬く閉ざしていた口を開いた。
「カミツレ……さん?」
「あっ!ボス!大丈夫ですか?」
「あいて…カミツレさん?」
「え?はい。そうですよ」
「…今日の…やくそくの、あいて…も?」
「ええ」
時間をかけて理解するや否や、今度は先程と正反対に顔を真っ赤にし、目に涙を溜め力一杯叫んだ。
「もてあそばれた!!!!」
その声にあっけらかんとするナマエを他所にクダリは"うわぁー!"と走り去って行った。
「………なんだ、めっちゃ元気じゃないですか…」
"んー甘酸っぱい!クラクラしちゃう!"とカミツレが感嘆の声を上げる中、置いてけぼりをくらったナマエは1人そう呟いた。
普段から常に笑顔を絶やさないクダリはある人物の後ろ姿を見つけて、纏う空気に音符を付け加える。
「ナマエ!今日なんだか身長高い!」
「あ、お疲れ様です。クダリボス。まぁ、今日はちょっとヒールを履いてるので」
「納得!普段はちっちゃくて探すの大変なのに今日はすぐ見つかった!」
「そ、そこまでチビじゃないです!」
威嚇するヨーテリーのように噛み付くナマエにクダリはさらに音符を増やす。
「まぁまぁ!小さいって悪いことばっかりじゃない。素早さは高いし、相手の攻撃も当たりにくい!」
「私はポケモンじゃないんですけど…」
「ほら、飴あげる!ね?飴も貰える!」
「子供でもないです。大人です!」
「え?大人?どこ?」
態とらしくキョロキョロと周囲を確認するクダリにナマエがムッとする。
その反応にまた一層とご機嫌になる。
クダリはナマエと喋る時、こういったコミュニケーション以外の取り方を知らない。
「モーモーミルク毎日飲んでみたら?」
「…これでも毎日飲んでましたよ。二十歳すぎてから諦めました」
「実らなかったんだ!ドンマイ!因みにぼく、モーモーミルクあんまり好きじゃない!」
「飲んでないのに高身長で羨ましい限りですね!!」
クダリがナマエにちょっかいをかける姿はギアステーションでもよく見られる光景だった。
今も指をナマエに突き付け完全に揶揄う姿勢だ。
「それになんか服装もお洒落!まるでデ……」
そこまで言ってさっきまでのニコニコ笑顔がフリーズした。
口角は上がったまま目を見開いて、蒼くなった顔に大量の冷や汗を流している。
クダリは突き付けている指をプルプル震わせながら、上擦った声を絞り出した。
「きょ、今日、どっか、行くの……?」
「え?えっと、まぁ…はい」
普段と違う気合いを入れた格好をしている自覚があるのか、ナマエが照れ臭そうに視線を彷徨わせた。
「へぇ…。1人?」
「まさか!1人で出掛けるのにこんな格好しませんよ」
「ふ、ふーん…。誰と?」
「それは…秘密です。お忍びデートだから誰にも言わないでって口止めされてるので」
先程クダリが躊躇った単語がナマエの口から飛び出し蒼い顔が真っ白になる。
それにギョッとしたナマエが慌ててクダリに駆け寄った。
「…クダリボス、大丈夫ですか?気分悪いですか?」
「…うん…凄く悪い…。吐きそう…」
「えぇ!?」
蹲ったクダリの背中をさするナマエが誰か人を探して周囲を見渡す。
その間も、クダリの中で疑問と焦燥が濁流のように押し寄せる。
(なんで…?デート…?誰と…?だって、そんな気配全然…)
「この時間帯ならライブキャスターより直接呼んだ方が早いかな…ボス、インカム…は持ってなさそうですね…」
"とりあえず人を呼んできますから!"と立ち上がったナマエの手首を迷子の子供のように頼りなさげに掴んだ。
「…待って…ちょっと…」
「大丈夫です。人を呼んですぐ戻ってきますよ。壁に寄り掛かって少しだけ待ってて下さい」
「違う…ぼく…」
躊躇いつつも必死に言葉を繋げようとするクダリにナマエは首を傾げる。
「ボス…?」
「だから…あの…」
緊張で乾く口の中、無理やり唾液をかき集めてグッと飲み込む。
一呼吸おいてからガバッと顔を上げて、八の字眉の懇願するような表情でナマエと視線を合わせる。
"行かないで…ぼくじゃない、他の人の所に…"
しかしそれは声にならず、はくはくと音のない空気を吐き出しただけだった。
「………」
萎んだ勢いに同調する様に視線も再び下に落ちた。
代わりにせめてもの抵抗に掴んだ手首を少しだけ強く握る。
「クダリボス…?」
「…………」
クダリが口を引き結んでしまった事で訪れた静寂の中、ライブキャスターの着信音がけたたましく鳴り響いた。
相手を見たナマエは少しの逡巡のあと、繋ぐ。
『ナマエ!デートが楽しみで少し早く連絡しちゃった!』
「あのっ!カミツレさん!すみません、ちょっと今、色々あって…」
『あら、何かトラブル?』
「実は、クダリボスがとつぜん気分悪くなっちゃったみたいで」
一言、二言状況を説明しているナマエにクダリが硬く閉ざしていた口を開いた。
「カミツレ……さん?」
「あっ!ボス!大丈夫ですか?」
「あいて…カミツレさん?」
「え?はい。そうですよ」
「…今日の…やくそくの、あいて…も?」
「ええ」
時間をかけて理解するや否や、今度は先程と正反対に顔を真っ赤にし、目に涙を溜め力一杯叫んだ。
「もてあそばれた!!!!」
その声にあっけらかんとするナマエを他所にクダリは"うわぁー!"と走り去って行った。
「………なんだ、めっちゃ元気じゃないですか…」
"んー甘酸っぱい!クラクラしちゃう!"とカミツレが感嘆の声を上げる中、置いてけぼりをくらったナマエは1人そう呟いた。