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無題



帰ってからというもの、何故か恋人の機嫌が悪いというか元気がない。いつもだったらこうして久々に会う日は特に上機嫌で近くに寄ってくるものなのに、何かあっただろうか。
「てごし、」
「……なに」
「なんかあった?」
「なんもない」
そう言って俺にも目を向けずゲームを操作する手を止めない。丁度ひと段落着いた時を見計らってゲームのタブを閉じると、一枚前にNEWSのグループチャットが開かれているのが見えて珍しいと思ったと同時に、彼の表情が少し動いて。『いいな〜楽しそ!』という返信が別の意味で見えてくる。
「こっちみて」
小さな顎を掴んでこちらに向かせて問う。
「俺が後輩と歌ってんの見て、嫉妬した?」
「……ちっ違う!し、嫉妬っていうか、なんかただ単に、最近二人で全然歌ってないからなんていうか……その、さ…さみしい、わけじゃないけどなんていうか……」
目の前の彼が可愛くて理由なんかがどうでも良くなってきて、とにかく腕を引いて胸の中に抱き込んだ。そして少し赤い耳元で、

───貴方の代わりはいない

そう歌ったら耳がまた少し赤くなった。

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