[ file Kyūsu ],
(好都合な呪文〜09話),
◆◆◆09話_視(み)えない魔法使い
カミール姫の側近「リンデ」は,最近何をしても調子が悪い.姫の部屋で具合が悪くなってしまったのでカミールは彼女を早退させる◆一方,クルスの元に「魔法使い認定」を受けに「キーファ」がやって来る.彼はリンデが魔力を分け与えられた事で再び魔法使いとして復活することが出来た.トルテ国で再会してから,リンデとキーファは頻繁(ひんぱん)に会っていたようで,カミールが言うには2人は,いつの頃からか,交際してたらしい….しかしあの「お化け騒動」で魔力が復活して以来,リンデはキーファを避けるようになってしまった….
“でも君たちは,高等魔法使いの間でも,むずかしいとされてる「魔力の復活」を遂げた間柄なんだから,多少のケンカくらいで,離れたりしないよ.もっとじっくり話してご覧よ,きっと上手くいくと思うよ…?”
“えぇ,分かってますとも.クルス王子…”
◆……魔法学校5年生の時のこと……ある時リンデは,神木の枝の上に小さな女の子の姿をした「天使」を見つける.何も喋らず,微笑んで,こちらを見てるだけだが,うれしくて友人たちに話した.
“ねぇ見て,あの枝の上に天使がいるよ!”
しかし友人たちには天使が見えない…
“え…,また新しく作った,おとぎ話のこと?”
“リンちゃんって,時々,面白いこというね”
(…あの天使は私にしか見えないんだ.でも,本当にいるのに…)
“お前も見えるのか?,あの木の上の天使が…”
“あんただあれ?”
“俺はキーファ,リンデも天使が見えるんだな.俺も見えるから信じるよ.「天使」は特に魔力が強い者にしか見えないんだ.だから,気にするな”
“そうなの…あれ私,あなたに名前を教えたことあった?”
“別に…クーヘン国出身なのに魔法の成績が優秀だって,もっぱらウワサだし”
……それから事あるごとに彼とは,よくケンカしたり勝負したりと,したものだが…思えばあれが「キーファ」と最初の出会いだった.
◆……リンデは自宅のベッドで休んでいて,夢を見ていた.少しうなされてる…あの天使の女の子に咎(とが)められる夢だった……
“…あなたはキーファを利用した…!彼にだって選ぶ権利はあったはずよ.あなたが彼から,その機会を奪ったのよ…!”
“やめてってば!”
そこで目が覚める.…ふと…窓を見て驚いた.魔法で開いた窓にキーファが立っていたから…!
“君は…俺に…伝えるべきことがあるだろう…!”
“何で,よりによって…「こんな時」に来るのよ!?今のあなたは「高等魔法使い」よ…しかも…私よりずっと強い…!!”
“ちょっと強引なやり方だけど…でも,こうでもしなきゃ君は俺に会ってくれないだろ!”
“ずっと悪かったって思った!魔力を失わせたことも,「魔力の復活の相方」になった事も……会わなかったのは,あなたが怖かったのよ,いつか仕返しされるんじゃないかって…!”
“だからー,リンデのせいじゃないって!魔力を復活させてくれた事だって,俺はリンデを一生の恩人だって思ってる…まぁ仕返しするつもりは全然ないけど魔法はかけるぞ?”
“いや…!”
リンデのメガネを外して,手で両目を優しく撫でる.次の瞬間,視力が治る,
“まったく…!君は自分の魔法で視力が直せず,メガネが必要なほど魔力が弱くなってるじゃないか!”
“…ありがとう,ごめんなさい心配かけて…”
“なぁ,ちょっと俺と散歩に行かないか?”
“ダメ!だって今の私は「空中歩行(とべ)」ないもの!”
“わかってるって!大丈夫☆”
◆リンデの手をとって空中散歩に連れ出すキーファ.町の公園にある1本の神木の上やって来て一緒に休む.
“さぁ今度は君が俺に話す番だよ”
“な,何のこと…?ならば,一生かけて,あなたに償(つぐな)いするわよ!”
“……俺のこと,キライ?”
“好きよ!”
“じゃあ話してよ!”
“〜〜〜〜〜〜〜…!!
隠していて,ごめんなさい.本当は…いるの…お腹に,「あなたとの子ども」が…!”
そう話した途端,リンデは隣に,子ども姿の天使が座っていたと気づき.天使を抱きしめるリンデ.
“ありがとう,よく話してくれたね.天使は,決して視える者に話しかけたりしない.ずっと天使が君のそばにいたけど,ウソや隠し事をしてるから見えなかったんだよ.君が夢でみた「天使」は,君自身の不安が作り出した「お化け」だったんだよ”
◆神木の根元で2人の様子を見上げてるクルスとカミール.
“リンデってば「おめでた」だったのね.話してくれなかったのは水くさいけど.でもクルスってば,どうして私には内緒にしてたの?”
“君に話したら話が,こじれるだろ.2人を良縁へと導くのも「魔法使いの勤め」なのさ.
あー魔法と言えば…いいかげん君は,魔法習得をやめないか〜?君に教えるのはホント面倒なんだからさ〜…”
ちょっとばつが悪くなるカミール,しかしクルスの方を見てほほえむ.
“クルス,今の言葉ウソでしょ!”
“え〜ウソじゃないって.僕はウソが好きじゃないんだ.人は素直が1番だろ?”
傍らで天使が微笑み,彼と手をつないでいるのだが…クルスは気づいてないのだった….
[2025r7]***
◆◆◆09話_視(み)えない魔法使い
カミール姫の側近「リンデ」は,最近何をしても調子が悪い.姫の部屋で具合が悪くなってしまったのでカミールは彼女を早退させる◆一方,クルスの元に「魔法使い認定」を受けに「キーファ」がやって来る.彼はリンデが魔力を分け与えられた事で再び魔法使いとして復活することが出来た.トルテ国で再会してから,リンデとキーファは頻繁(ひんぱん)に会っていたようで,カミールが言うには2人は,いつの頃からか,交際してたらしい….しかしあの「お化け騒動」で魔力が復活して以来,リンデはキーファを避けるようになってしまった….
“でも君たちは,高等魔法使いの間でも,むずかしいとされてる「魔力の復活」を遂げた間柄なんだから,多少のケンカくらいで,離れたりしないよ.もっとじっくり話してご覧よ,きっと上手くいくと思うよ…?”
“えぇ,分かってますとも.クルス王子…”
◆……魔法学校5年生の時のこと……ある時リンデは,神木の枝の上に小さな女の子の姿をした「天使」を見つける.何も喋らず,微笑んで,こちらを見てるだけだが,うれしくて友人たちに話した.
“ねぇ見て,あの枝の上に天使がいるよ!”
しかし友人たちには天使が見えない…
“え…,また新しく作った,おとぎ話のこと?”
“リンちゃんって,時々,面白いこというね”
(…あの天使は私にしか見えないんだ.でも,本当にいるのに…)
“お前も見えるのか?,あの木の上の天使が…”
“あんただあれ?”
“俺はキーファ,リンデも天使が見えるんだな.俺も見えるから信じるよ.「天使」は特に魔力が強い者にしか見えないんだ.だから,気にするな”
“そうなの…あれ私,あなたに名前を教えたことあった?”
“別に…クーヘン国出身なのに魔法の成績が優秀だって,もっぱらウワサだし”
……それから事あるごとに彼とは,よくケンカしたり勝負したりと,したものだが…思えばあれが「キーファ」と最初の出会いだった.
◆……リンデは自宅のベッドで休んでいて,夢を見ていた.少しうなされてる…あの天使の女の子に咎(とが)められる夢だった……
“…あなたはキーファを利用した…!彼にだって選ぶ権利はあったはずよ.あなたが彼から,その機会を奪ったのよ…!”
“やめてってば!”
そこで目が覚める.…ふと…窓を見て驚いた.魔法で開いた窓にキーファが立っていたから…!
“君は…俺に…伝えるべきことがあるだろう…!”
“何で,よりによって…「こんな時」に来るのよ!?今のあなたは「高等魔法使い」よ…しかも…私よりずっと強い…!!”
“ちょっと強引なやり方だけど…でも,こうでもしなきゃ君は俺に会ってくれないだろ!”
“ずっと悪かったって思った!魔力を失わせたことも,「魔力の復活の相方」になった事も……会わなかったのは,あなたが怖かったのよ,いつか仕返しされるんじゃないかって…!”
“だからー,リンデのせいじゃないって!魔力を復活させてくれた事だって,俺はリンデを一生の恩人だって思ってる…まぁ仕返しするつもりは全然ないけど魔法はかけるぞ?”
“いや…!”
リンデのメガネを外して,手で両目を優しく撫でる.次の瞬間,視力が治る,
“まったく…!君は自分の魔法で視力が直せず,メガネが必要なほど魔力が弱くなってるじゃないか!”
“…ありがとう,ごめんなさい心配かけて…”
“なぁ,ちょっと俺と散歩に行かないか?”
“ダメ!だって今の私は「空中歩行(とべ)」ないもの!”
“わかってるって!大丈夫☆”
◆リンデの手をとって空中散歩に連れ出すキーファ.町の公園にある1本の神木の上やって来て一緒に休む.
“さぁ今度は君が俺に話す番だよ”
“な,何のこと…?ならば,一生かけて,あなたに償(つぐな)いするわよ!”
“……俺のこと,キライ?”
“好きよ!”
“じゃあ話してよ!”
“〜〜〜〜〜〜〜…!!
隠していて,ごめんなさい.本当は…いるの…お腹に,「あなたとの子ども」が…!”
そう話した途端,リンデは隣に,子ども姿の天使が座っていたと気づき.天使を抱きしめるリンデ.
“ありがとう,よく話してくれたね.天使は,決して視える者に話しかけたりしない.ずっと天使が君のそばにいたけど,ウソや隠し事をしてるから見えなかったんだよ.君が夢でみた「天使」は,君自身の不安が作り出した「お化け」だったんだよ”
◆神木の根元で2人の様子を見上げてるクルスとカミール.
“リンデってば「おめでた」だったのね.話してくれなかったのは水くさいけど.でもクルスってば,どうして私には内緒にしてたの?”
“君に話したら話が,こじれるだろ.2人を良縁へと導くのも「魔法使いの勤め」なのさ.
あー魔法と言えば…いいかげん君は,魔法習得をやめないか〜?君に教えるのはホント面倒なんだからさ〜…”
ちょっとばつが悪くなるカミール,しかしクルスの方を見てほほえむ.
“クルス,今の言葉ウソでしょ!”
“え〜ウソじゃないって.僕はウソが好きじゃないんだ.人は素直が1番だろ?”
傍らで天使が微笑み,彼と手をつないでいるのだが…クルスは気づいてないのだった….
[2025r7]***