△ 月夜とダイヤモンド〜re:make
△Adult※大人向け。『絵皿と子守歌』が全年齢作品でのせられないため、ここに置いてます…。
◆◆◆
◇White dahlia
※本編を読んでないと意味が分かりません…人生に暇な時に読んでみてください。
{◎小説の蛇足…}
Q1…ダリアさんって、心優しくキレイで歌が上手くてもう非の打ち所がない女性ですね。モデルは誰ですか?
A…彼女は、わたしが歴史上の女性たちの自伝を読んだ際に、その語りの途中のどこかに必ず登場する、理不尽なまま人生を閉じられたり、自らの命を断った女性たちの代理です。間に合わず彼女たちへ救いの手をのばせなかった事に対する悔しさが拭えません。せめてフィクションの中では理不尽な状況から脱出して、幸せな人生になるように描いてます。どんなに小説が、ご都合主義だの、現実味がないと言われても彼女の境遇は不幸にしないと決めてます。
Q2…ソードボール島では飛翔体の一切が「黒い灯台の妨害電波」によって墜落するため領空を飛べないはずですが…黒い灯台に届けられるクーラーボックスのドローンは大丈夫なんですか?
A…あら、確かにそうですね!黒い灯台の電波効力は、領空外に向けられてるので国内は影響がないんですぅ〜(ちなみに後半でソードボール島の妃がダリアに子守歌を歌わせることを急いだのは、国内にスパイが入り込んでしまい灯台が占拠されてしまう…という隠れ設定がありました。その後に島に降りかかる災害を考えると野暮で蛇足だなぁと思い省きました。ダリアが護身用の口紅スタンガンを渡されてるのは、その伏線の名残です…)
◆◆◆[08-2-1輪の大きな白い花]
……クレセントに抱き寄せられベッドの中へ包まれたダリアは、しばらく彼のキスのシャワーを浴びていた。まだパジャマに着替えてる途中だったので、上のパジャマはボタンが外れて、下はランジェリーだけだった。パジャマの下へ手が滑り込みバストをやさしく探って行く…やがて、彼の手がウエストの横に触れ…身に着けたランジェリーがずらされるのを感じた。
「…待って…あなた…」ダリアは唇を慌てて離し、クレセントの手に軽く触れて制する。
「…駄目、かな…?目が見えてないと、余計に君に魅力を感じてしまうんだ…せめて、ダリアの顔が見れたらいいのに…」ダリアから手をそっと放した彼だが、さり気なく腰の辺りを触れてくる。
クレセントは今、ただでさえ目が見えなくて時間が有り余ってるのに、絵を描いて過ごす事さえも出来ない。今夜の彼を拒否するのは気の毒だとダリアも思ったが、彼女には心配事が1つあった…
「ごめんなさい…この部屋って色々、揃ってはいるけど避妊具は、ないのよ…それにね…あなた…実は……」
しかしダリアは、クレセントにそれ以上の言葉をどうしても伝えられなかった。
「ご、ごめんよ、ダリア…無理強いして…!やっぱり僕、今夜はソファで寝るよ…!」そう言って布団から素早く抜け出し、彼はブランケットを1枚持って、壁に手をあてながら慌てて居間の方へ行ってしまった。
クレセントが抜けたベッドの中でダリアは、残った彼の温もりを手でそっと撫でながら“あの日の夜”の事を思い出していた…
それは先月の事だった……
**
その日は、夕方からギャラリーでパーティが催されていた。クレセントの絵が評判になったお祝いとして町が主催したものだった。学校の仕事が終わってからクレセントとダリアはパーティに参加した。
町長や来賓の挨拶、クレセントも挨拶を述べて、展示室の絵画鑑賞が一通り終わった後は、立食パーティの形で皆、楽しんでいた。
ダリアは慣れないパーティで少し疲れてしまい、先に帰宅した。クレセントはまだお客さんと話をしていたので、そのままもう少し会場に残った。
パーティが終わる時間が過ぎてもクレセントは、なかなか帰って来なかった。ダリアが窓を見ると小雨が降っていたので迎えに行く事にした。
アパートを出て数分のところで、今日の営業を終えた小さな店の出入り口の屋根の下で、しゃがんでる人がいた。よく見るとクレセントで、うつむいて座っていた。
「どうしたの、こんなところで…?もう家は目の前よ。さぁ、帰りましょ」
クレセントは、ゆっくりと顔を上げたが、目は虚ろでダリアをぼんやり眺めてる。相当お酒を飲んだらしい…かなり酔っていた。
「あ、ごめんよ…」立ち上がるがフラフラしていて、まともに歩けない。ダリアは傘をさすのを諦めてクレセントに肩を貸した。よくここまで怪我もせず歩いてきたわね…身軽さが手伝って酔っても器用に歩けるのね…と、ダリアは思った。
やっとアパートの階段をのぼって家に着いた。小雨とはいえ、ゆっくり歩いたせいで服はしっとり湿ってしまった。このままでは風邪をひくと思い、部屋の床にクレセントを寝かせ、ダリアは彼の服を脱がした。彼にパジャマを着せてからダリアも着替え始める。ところが…
「…ダリア…好きだよ…っ」突然、クレセントが後ろから抱きついてきた。
「ち、ちょっと…あなた…!?」狭いアパートで、すぐ後ろにあったベッドに2人そろって倒れ込んでしまった。
「ダリア…キレイで…やさしくて…柔らかくて…甘くて…好きだ…好きだ…好きだ……!!」
「わ、わかったから…あなた、落ち着いて…!!」
しかしダリアがいくら言ってもクレセントは抱きしめる腕の力を緩めてくれない。彼がダリアの湿ったブラウスを、力を込めて握ったせいでボタンが2つ…ちぎれる…
「…絵ならいくらでも見せてもいい…でも…実物の君は…だれにも見せたくないんだ…パーティで…たくさんの男たちが君を見てるのが…たまらなかった…!君は僕だけのものだ…本当は…いやなんだよ…見せかけだけの夫婦が…ねぇ…いいだろう…!?ダリア…愛してるんだ…!!」
「…待って……!」突然のことに驚いてしまい、ダリアは身体がかたくなって動けなくなってしまった…クレセントは、せっかく着せたパジャマを夢中で脱ぎ捨て、下着姿のダリアから更に衣類を取り去る…お互いの素肌が重なり合い…1つになる……
「頼むから…どうか…ありのままの僕を…受け入れておくれよ…」
「……!!」混乱して…言葉にならない…
…
……身体の奥の方に
温かく感じるものがあった…
それは徐々に膨らんで…
やがて…1つの大きな蕾となった…
そして…ゆっくりと開き始め…
最後には何枚もの花びらが重なり合った…
1輪の大きな真っ白い花が咲いた……
…
翌朝…。
まだクレセントが眠ってる間に、ダリアは先に起きてシャワーを浴びた。ボタンのちぎれたブラウスは後でこっそり繕(つくろ)うために隠して、何事もなかったかのように装った。
クレセントが起きて来ると、ダリアは正体不明になる程、泥酔する事がどんなに危険か、お説教を始めた。
「命に関わるときもあるのよ!」
「すみませんでした…」
「わかってるの!?」
「はい…2度としません…」
きつ〜くお灸をすえてから、ふとダリアは黙り込んだ。クレセントが、まだ怒られるのかな…と不安そうに見つめてる。
「あのね…あなた…実は…」
「え…」
「ううん、何でもないの…もう飲み過ぎちゃダメよ…?」
「うん、すまなかった…本当に、ごめん…」
(そうよ…まだ妊娠したわけじゃないんだから…)
あの夜の出来事を、ダリアはとうとう言い出せないままなのだった……
**
翌朝…やはり居間の小さな窓から生鮮食品の入っているクーラーボックスが届いていた。卵やレタス、ハムといった冷蔵ものの他に、白い箱も入っている。中には卵が半ダース、余分に入ってるようだった。
(あら、今日はサービスが良いのね…)ちょっと喜んだダリアだった…が、よく見るとその卵は普通の卵ではなくイースターエッグのようにカラフルに色付けされたものだった。その卵の意味に気づいた時、ダリアは自分の顔が、かぁ~と赤くなるのを感じた…!
「どうかしたの…?」今日の荷物を机の上で開けてる途中、ダリアが黙り込んだので、向かいに座ってるクレセントは、たずねた。
そうだ…彼は目隠しされているから、この“カラフルな卵”が見えないのだ。どうしよう…話すべきだろうか…しかし、あの夜の出来事や、彼の過去の話を聞いてたダリアは、“カラフルな卵”については伏せておこうと思った…。
「あ、あのね…ひょっとしたら、もしかすると…私たちの今いる、この部屋ってだれかに監視されたりしてるのかなぁ〜って思って…」
それを聞いたクレセントは、血相を変えてダリアを質問攻めにした。
「どうしてそう思ったんだ…!?」とか
「隠しカメラを見つけたのか…!?」とか
「他に秘密の抜け穴があったのか…!?」などなど…あまりに根ほり葉ほり、色々たずねるので、あいまいにしか答えられず根負けしたダリアはとうとう本当の事を喋ってしまった…。
「…今日のクーラーボックスにね、卵が入ってるの…それはね、普通の卵じゃなくて…その…大人用の…食べられないカラフルな卵なの…しかも半ダースも…」
それを聞いてたクレセントは段々、ダリアが何を言おうとしてるのか察した。
「あぁ、なるほど…つまり、昨夜の僕らの会話が誰かに筒抜けで…その話を聞いてた誰かは、ご親切にも“カラフルな卵”を送ってよこした…と言うわけか…」
ダリアが再び、白い箱を見るとメッセージカードが添えられている。
【がんばってね♡】
その言葉を聞いた途端、クレセントは顔を真っ赤にして、勢いよくテーブルから立ち上がり居間のドアへ突進した。力任せに小さな窓を精一杯開け放つ。ダリアはクレセントが海に落ちやしないかと、慌てて後ろから抱きついた。
「あなた!落ちたら危ないわよぉ〜!!」
黒い灯台の見晴らしの良い窓から、彼は精一杯叫んだ。
「余計な、お世話だぁーー!、
早くここから出せぇーー!!、
ブレッセルぅーーー!!!」
…しかし、彼の絶叫も虚しく、頭上の満天の星空と、朝の明るい地平線と、目の前に広がっている青い海の彼方に、かき消されてしまったのだった……
( white dahlia -終-)
***
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◇White dahlia
※本編を読んでないと意味が分かりません…人生に暇な時に読んでみてください。
{◎小説の蛇足…}
Q1…ダリアさんって、心優しくキレイで歌が上手くてもう非の打ち所がない女性ですね。モデルは誰ですか?
A…彼女は、わたしが歴史上の女性たちの自伝を読んだ際に、その語りの途中のどこかに必ず登場する、理不尽なまま人生を閉じられたり、自らの命を断った女性たちの代理です。間に合わず彼女たちへ救いの手をのばせなかった事に対する悔しさが拭えません。せめてフィクションの中では理不尽な状況から脱出して、幸せな人生になるように描いてます。どんなに小説が、ご都合主義だの、現実味がないと言われても彼女の境遇は不幸にしないと決めてます。
Q2…ソードボール島では飛翔体の一切が「黒い灯台の妨害電波」によって墜落するため領空を飛べないはずですが…黒い灯台に届けられるクーラーボックスのドローンは大丈夫なんですか?
A…あら、確かにそうですね!黒い灯台の電波効力は、領空外に向けられてるので国内は影響がないんですぅ〜(ちなみに後半でソードボール島の妃がダリアに子守歌を歌わせることを急いだのは、国内にスパイが入り込んでしまい灯台が占拠されてしまう…という隠れ設定がありました。その後に島に降りかかる災害を考えると野暮で蛇足だなぁと思い省きました。ダリアが護身用の口紅スタンガンを渡されてるのは、その伏線の名残です…)
◆◆◆[08-2-1輪の大きな白い花]
……クレセントに抱き寄せられベッドの中へ包まれたダリアは、しばらく彼のキスのシャワーを浴びていた。まだパジャマに着替えてる途中だったので、上のパジャマはボタンが外れて、下はランジェリーだけだった。パジャマの下へ手が滑り込みバストをやさしく探って行く…やがて、彼の手がウエストの横に触れ…身に着けたランジェリーがずらされるのを感じた。
「…待って…あなた…」ダリアは唇を慌てて離し、クレセントの手に軽く触れて制する。
「…駄目、かな…?目が見えてないと、余計に君に魅力を感じてしまうんだ…せめて、ダリアの顔が見れたらいいのに…」ダリアから手をそっと放した彼だが、さり気なく腰の辺りを触れてくる。
クレセントは今、ただでさえ目が見えなくて時間が有り余ってるのに、絵を描いて過ごす事さえも出来ない。今夜の彼を拒否するのは気の毒だとダリアも思ったが、彼女には心配事が1つあった…
「ごめんなさい…この部屋って色々、揃ってはいるけど避妊具は、ないのよ…それにね…あなた…実は……」
しかしダリアは、クレセントにそれ以上の言葉をどうしても伝えられなかった。
「ご、ごめんよ、ダリア…無理強いして…!やっぱり僕、今夜はソファで寝るよ…!」そう言って布団から素早く抜け出し、彼はブランケットを1枚持って、壁に手をあてながら慌てて居間の方へ行ってしまった。
クレセントが抜けたベッドの中でダリアは、残った彼の温もりを手でそっと撫でながら“あの日の夜”の事を思い出していた…
それは先月の事だった……
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その日は、夕方からギャラリーでパーティが催されていた。クレセントの絵が評判になったお祝いとして町が主催したものだった。学校の仕事が終わってからクレセントとダリアはパーティに参加した。
町長や来賓の挨拶、クレセントも挨拶を述べて、展示室の絵画鑑賞が一通り終わった後は、立食パーティの形で皆、楽しんでいた。
ダリアは慣れないパーティで少し疲れてしまい、先に帰宅した。クレセントはまだお客さんと話をしていたので、そのままもう少し会場に残った。
パーティが終わる時間が過ぎてもクレセントは、なかなか帰って来なかった。ダリアが窓を見ると小雨が降っていたので迎えに行く事にした。
アパートを出て数分のところで、今日の営業を終えた小さな店の出入り口の屋根の下で、しゃがんでる人がいた。よく見るとクレセントで、うつむいて座っていた。
「どうしたの、こんなところで…?もう家は目の前よ。さぁ、帰りましょ」
クレセントは、ゆっくりと顔を上げたが、目は虚ろでダリアをぼんやり眺めてる。相当お酒を飲んだらしい…かなり酔っていた。
「あ、ごめんよ…」立ち上がるがフラフラしていて、まともに歩けない。ダリアは傘をさすのを諦めてクレセントに肩を貸した。よくここまで怪我もせず歩いてきたわね…身軽さが手伝って酔っても器用に歩けるのね…と、ダリアは思った。
やっとアパートの階段をのぼって家に着いた。小雨とはいえ、ゆっくり歩いたせいで服はしっとり湿ってしまった。このままでは風邪をひくと思い、部屋の床にクレセントを寝かせ、ダリアは彼の服を脱がした。彼にパジャマを着せてからダリアも着替え始める。ところが…
「…ダリア…好きだよ…っ」突然、クレセントが後ろから抱きついてきた。
「ち、ちょっと…あなた…!?」狭いアパートで、すぐ後ろにあったベッドに2人そろって倒れ込んでしまった。
「ダリア…キレイで…やさしくて…柔らかくて…甘くて…好きだ…好きだ…好きだ……!!」
「わ、わかったから…あなた、落ち着いて…!!」
しかしダリアがいくら言ってもクレセントは抱きしめる腕の力を緩めてくれない。彼がダリアの湿ったブラウスを、力を込めて握ったせいでボタンが2つ…ちぎれる…
「…絵ならいくらでも見せてもいい…でも…実物の君は…だれにも見せたくないんだ…パーティで…たくさんの男たちが君を見てるのが…たまらなかった…!君は僕だけのものだ…本当は…いやなんだよ…見せかけだけの夫婦が…ねぇ…いいだろう…!?ダリア…愛してるんだ…!!」
「…待って……!」突然のことに驚いてしまい、ダリアは身体がかたくなって動けなくなってしまった…クレセントは、せっかく着せたパジャマを夢中で脱ぎ捨て、下着姿のダリアから更に衣類を取り去る…お互いの素肌が重なり合い…1つになる……
「頼むから…どうか…ありのままの僕を…受け入れておくれよ…」
「……!!」混乱して…言葉にならない…
…
……身体の奥の方に
温かく感じるものがあった…
それは徐々に膨らんで…
やがて…1つの大きな蕾となった…
そして…ゆっくりと開き始め…
最後には何枚もの花びらが重なり合った…
1輪の大きな真っ白い花が咲いた……
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翌朝…。
まだクレセントが眠ってる間に、ダリアは先に起きてシャワーを浴びた。ボタンのちぎれたブラウスは後でこっそり繕(つくろ)うために隠して、何事もなかったかのように装った。
クレセントが起きて来ると、ダリアは正体不明になる程、泥酔する事がどんなに危険か、お説教を始めた。
「命に関わるときもあるのよ!」
「すみませんでした…」
「わかってるの!?」
「はい…2度としません…」
きつ〜くお灸をすえてから、ふとダリアは黙り込んだ。クレセントが、まだ怒られるのかな…と不安そうに見つめてる。
「あのね…あなた…実は…」
「え…」
「ううん、何でもないの…もう飲み過ぎちゃダメよ…?」
「うん、すまなかった…本当に、ごめん…」
(そうよ…まだ妊娠したわけじゃないんだから…)
あの夜の出来事を、ダリアはとうとう言い出せないままなのだった……
**
翌朝…やはり居間の小さな窓から生鮮食品の入っているクーラーボックスが届いていた。卵やレタス、ハムといった冷蔵ものの他に、白い箱も入っている。中には卵が半ダース、余分に入ってるようだった。
(あら、今日はサービスが良いのね…)ちょっと喜んだダリアだった…が、よく見るとその卵は普通の卵ではなくイースターエッグのようにカラフルに色付けされたものだった。その卵の意味に気づいた時、ダリアは自分の顔が、かぁ~と赤くなるのを感じた…!
「どうかしたの…?」今日の荷物を机の上で開けてる途中、ダリアが黙り込んだので、向かいに座ってるクレセントは、たずねた。
そうだ…彼は目隠しされているから、この“カラフルな卵”が見えないのだ。どうしよう…話すべきだろうか…しかし、あの夜の出来事や、彼の過去の話を聞いてたダリアは、“カラフルな卵”については伏せておこうと思った…。
「あ、あのね…ひょっとしたら、もしかすると…私たちの今いる、この部屋ってだれかに監視されたりしてるのかなぁ〜って思って…」
それを聞いたクレセントは、血相を変えてダリアを質問攻めにした。
「どうしてそう思ったんだ…!?」とか
「隠しカメラを見つけたのか…!?」とか
「他に秘密の抜け穴があったのか…!?」などなど…あまりに根ほり葉ほり、色々たずねるので、あいまいにしか答えられず根負けしたダリアはとうとう本当の事を喋ってしまった…。
「…今日のクーラーボックスにね、卵が入ってるの…それはね、普通の卵じゃなくて…その…大人用の…食べられないカラフルな卵なの…しかも半ダースも…」
それを聞いてたクレセントは段々、ダリアが何を言おうとしてるのか察した。
「あぁ、なるほど…つまり、昨夜の僕らの会話が誰かに筒抜けで…その話を聞いてた誰かは、ご親切にも“カラフルな卵”を送ってよこした…と言うわけか…」
ダリアが再び、白い箱を見るとメッセージカードが添えられている。
【がんばってね♡】
その言葉を聞いた途端、クレセントは顔を真っ赤にして、勢いよくテーブルから立ち上がり居間のドアへ突進した。力任せに小さな窓を精一杯開け放つ。ダリアはクレセントが海に落ちやしないかと、慌てて後ろから抱きついた。
「あなた!落ちたら危ないわよぉ〜!!」
黒い灯台の見晴らしの良い窓から、彼は精一杯叫んだ。
「余計な、お世話だぁーー!、
早くここから出せぇーー!!、
ブレッセルぅーーー!!!」
…しかし、彼の絶叫も虚しく、頭上の満天の星空と、朝の明るい地平線と、目の前に広がっている青い海の彼方に、かき消されてしまったのだった……
( white dahlia -終-)
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