-短編-未完成作品
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大雨の中。
少年が柵にその身を預け切ってぐったりと倒れている。
僧衣に身を纏っているらしい少年。
雨で溶けて無くなってしまいそうな――
「おいおい、」
雨を遮ったのは大漢。
いや、正しくはその男が手に持っていた傘だった。
この光景はもうそろそろ見慣れたものだった。
このままで死ぬことはない身体なのはよく知っているが、そういう話ではない。
普段から不健康そうな表情をした8歳ほどの外見の少年はこれでも同僚で、成長を止めたままの姿だが中身は立派な青年である。
どうやら意識はない様子の[#da=1#]を二度ほど肩を揺らしてみる。
僅かに身じろいだ小さな身体は、それでも起きる様子は無い。
眠っているというより、意識を失っているという方が正しいだろう。
レオンは肩へ器用に傘を預けて、自分の僧衣が濡れるのも構わずに冷たく震える身体を抱き上げた。
気を失っている間も少年は腕から逃れようと本能的に身体を動かしている様だったが、レオンにとってそんなもの、何の妨げにもならない。
「ん、ぅ…っ」
無意識ながら抵抗の声を上げる少年に、返事をする訳でもないのに「かくれんぼなら俺の方が上手だぜ?」と笑う。
水を含んだ僧衣は非常に重たい。
身体は軽いが、ずっしりと僧衣が腕にのしかかる。
僧衣だけでこの小さな身体が潰れてしまいそうだ。
雨の中でゆっくりと足を進めるレオンはいつの間にか自分が鼻歌交じりいる事に気が付きながら、何故か愉快気に少年を抱えて歩いて行った。
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何か白いものが視界に入っている。
ぼんやりとした視界の中で、手を伸ばすと、するりとした感触ではなく、何か手触りがあまり良くないゴワゴワとしたものが指に触れた。
どうやらバスタオルの様だ。
僧衣の上着は羽織っておらず、ありったけのバスタオルで包まれている事に気が付いた瞬間に小さな少年は身体を起こした。
「おう、起きたか?」
上から降って来ていたのは雨だった筈なのに、コーヒーとそれから煙草の匂いが混ざった香り。
そして浅黒の肌を持った大漢――レオンの少し不機嫌そうな声。
ただ何故か、あまり怖いと感じないレオンの声。
「お前なー、それ乾かすの大変だから、せめて着替えてからバルコニーに出ろよ」
僧衣は一応防水防塵ではあるが、一度水を含んだら逆に乾き難い。
レオンの言う事はその通りだなと思う反面、そういう事を考えて外に出ているつもりはない。
わざわざ雨に濡れに行っている訳では無い。
身体が体温を嫌がるのだ。
突然乱暴に頭を撫で「まあ俺と一緒にいる間はどこに隠れても見付け出してやるがな」と笑う。
「あ、あ…のっ」
慌てる少年の両手がレオンの腕に触れる。
冷えた指先がレオンの腕に触れるとその一瞬に表情が変わったが、上を向けないままだった少年はその瞬間には気付かなかった。
「いいか?」
突然――
レオンの声は真面目になる。
「男の身体にはどこであってもそう簡単に触るもんじゃねえぞ?」
手首を掴んだ大きな獣の様な手に引かれ、慌てた様子で手を引き戻そうとするが、もうその手は戻らない。
「同性同士だからって、油断するな」
普段と違う、低い声で。
唸る様な声が背筋を凍らせる。
怒って、いる?
金色の瞳が光を帯びている、様な。
強く引き戻そうとした手は動かす事ができないままでいる。
レオンの体温が手首を通して染み込んでくるのを感じてしまい、徐々に恐怖の渦が心を支配し始めた。
「同性愛好者だって、この世界には腐る程に居るんだぞ?」
レオンの声は殆ど聞こえない。
それどころではない程に、冷静さを欠いている。
大切な事を言っている筈なのに――
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最近気付いたんだけど
アレだなー
管理人きっと
話を広げるのが苦手なんだろうなー…
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