-短編-未完成作品
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「[#da=1#]・[#da=2#]神父」
背筋がピンと伸びる。
「過敏に反応するな、」
「声のトーンに気を付ける事を推奨する」
「卿はミラノ公の最後の切り札だ。負傷するな」
「戦闘能力は高いが経験値は低い、俺の傍を離れるな」
「卿は『神父』だ、念頭に置いて行動をしろ」
トレスは怒鳴ったりする事は無いが神父として聖職に勤める事が決定した時に、髪を短く切ったら「骨格の違いが明確に出るから髪は伸ばす事を推奨する」と指示をされた。
少し時間が掛かったが髪は伸び、肩甲骨辺りまで伸びた頃には「それ以上は伸ばすな」と言われて。
トレスの要求はとても多い。
カテリーナ・スフォルツァ枢機卿から受けた命令によって、研究所に居ない時はトレスとなるべく行動をする様に指示されている。
訓練の一環でもある。
初めて会った時のトレスは身体も殆ど無く『部品』が四散した様な状態で酷いともいえるものだった。
「ワーズワース神父、この方、治るんですか?」
青の尼僧服で何度も尋ねてきた少女は、神父として進む事になった。
心配して何度もワーズワースの部屋を訪ね、トレスが治って――とはいえ機械化歩兵として開発された『試験管ベビー』であり、人としての部分は『脳』だけである――直っていく工程をずっと追いかけていた少女は今、その機械化歩兵である小柄で端正な顔立ちの青年はHC-トレス・イクス神父となり今は同僚としての生活を送っている。
カテリーナからの許可が下りた事で『神父』として表向きの活動を許された[#da=1#]・[#da=2#]は、トレス指導の下で行動を共にしている。
トレスは手短で的確な指示が有るので分かりやすく、子供の幼い頭でも理解し易かった。
ただ時折、難しい事を言う瞬間が有る。
「[#da=1#]・[#da=2#]神父」
目を覚ますと、トレスが立っていてこちらを見下ろしている。
殺気に満ちた様子は見られず、
「寝ている際は無防備になる、集中を欠かすな」
確かに、眠っている時には気が抜けるもの。
未だ幼い少年には難題ではあろう。
どうする事もできない問題の一つであるが、これは越えるべき課題だ。
「今後別の神父や、任務中には一般人とも寝食を共にする可能性は否定できない。気を付けろ」
トレスの言う事は間違いなく正しいのだが、考えても良い案が浮かぶ事は無くて――
「哨戒の時間だ。可及的速やかに準備をし同行しろ」
選択に余地はない。
[#da=1#]は一つ頷いてベッドからその身を起こす。
何せ幼少期の子供は異性を意識する者はあまりいない。
勿論幼少期から相手を異性として見る者もいるが、そういった者は兄弟姉妹がいるか、親が早くから性教育をきちんと行っている家庭が多かった。
幼い[#da=1#]でさえ例外ではなかったが、短い期間で『少年』としての成長を遂げつつある。
ただ本人は気が付いていない様だが、トレスは[#da=1#]への配慮は可能な限り行っている。
トレスとて不具合が起こって稼働が不可能になった瞬間は、防ぐ手立てが無い事は経験値がそれを示しているからだ。
睡眠中に人間は必ず無防備になる。
無防備に眠る[#da=1#]の、少女の顔を見せる寝顔を眺めながら、自分が傍に居る間は何者も寄せ付けず、傍での難しければ「休息中の為入るな」と注意をしている。
未だ未熟な『男性』である[#da=1#]が『危険な目』に晒されるのだけは死守したい。
勿論これはカテリーナからの指示でもあったが、それ以上に何か、意図がある様にしか見えないらしく「何故トレス君は[#da=1#]さんだけには優しいんです?」とアベルに指摘をされて口論となった事が有った。
――否定、俺は…
後ろを追い掛けてくる少年の歩幅を計りながら、小柄な青年は少しだけ歩く速度を調整していた。
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難しい…
トレス君使う言葉が難しいんだよおお…っ
語彙力…!!!!
語彙力…!!!
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