-短編-未完成作品
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「[#da=1#]さん、奇遇ですね!」
古新聞を読みながら時間を潰していたカフェで。
空いた席を指して「ご一緒しても?」と確認される。
「あ、…」
間もなく席を立つとは言えず、[#da=1#]は頷いた。
「珍しいですねこんな所で」
ヘラっと笑ったこの顔は、何か愛嬌があり外から見たら『可愛い』という言葉がよく似合う。
「今日はどうされたんですか」
テーブルを挟んで身を乗り出してくる。
長身の神父が身を乗り出してくるのと同時に僅かに身体を仰け反らせてしまったが、広げていた古新聞を片付ける。
「あれ、」
身を乗り出したアベルがふと、少年の前に置かれたカップに入っているコーヒーに気付いた。
「[#da=1#]さん、コーヒー飲む人でしたっけ?」
「それは――」
[#da=1#]とアベルの間を引き離す様に突然浅黒の肌を持つ大漢が割って入ってきた。
「おいコラもやし野郎!俺の連れに何の用だ?」
「ひ…っ!」
浅黒の肌を持つ大漢が胸倉を掴むと、アベルなどは軽く持ち上がってしまうだろう。
[#da=1#]の手が大漢の僧衣を慌てて引いたが、どうやら間に合わなかった様だ。
そのままその手でアベルを引き寄せると「あ?何だへっぽこじゃねえか」と笑い出す。
「はは、すまんすまん」
笑いながらもその表情は少し硬い。
「大丈夫か[#da=1#]?」
前髪で器用に瞳を隠した少年は、一見冷静に見えていたがレオンの僧衣を握ったまま。
「レオンさんひどいじゃないですか…!」
「悪かったって言ってるだろ」と言いながら手を離すと「もうだめかと思いましたよおおお…!」とふにゃりとテーブルに突っ伏した。
レオンの後ろに隠れる様にその身を寄せる幼い神父を庇う様にして少し前に立つ。
パーソナルスペースに違和感なく入り込んで来る人懐こいこの長身の神父―-
アベル・ナイトロード神父が少し苦手だという事を知っているレオンにとって、その距離を保ってやるのは一つの課題。
普段この役割はトレスや’教授’が担っている事が多い。
大漢の後ろから覗き込む様にして「あいたた‥」と言いながら身体を起こすアベルの無事を確認する幼い少年。
苦手な相手とは言え同僚である彼を気には掛けている様子だった。
普通に話をする事が出来るその日を願って止まない。
仲良くなりたいアベルと、成長を願う[#da=1#]の為に。
「いやー、いらしてたんですか?」
「おお、今から出発だ」
ぼさぼさに伸ばしたその髪をバリバリと掻きながら笑う大漢は、僧衣を纏っていなければおよそ神父とは言い難いところだが、隣の幼い少年と同じ僧衣を纏っている事で、一応その風貌でも神父と言える様だ。
「っていうか『連れ』ってなんですか『連れ』って!」
「相棒だからに決まってるだろ」
「私の事はへっぽことか、もやしとか!酷いですよおお…っ」
「まあこいつは俺にとって特別だからな」
「そんな…!不純な…!」
「やめんか気持ち悪い…」
口を挟む間もないやり取り。
まあ挟むつもりも無く。
嫌いではなく、むしろリズム良く会話が進むので面白い。
いや、しかし悠長に漫才を見ている場合ではない。
時間が差し迫っている事を伝えなければ。
問い掛ける事も、言葉で呼び掛ける事もしない内に。
「っと、こんな事してる場合じゃねえんだよ俺は」
[#da=1#]の方へと振り返る。
「行くぞ、列車に乗り遅れる」
覗き込むようにして、にこりと笑う。
この笑顔が。
何故か好きで。
惹かれる様に歩き始めてすぐ。
「あの、ナイトロード神父」
後ろで2人の出発を、先程迄の騒がしさなど無かったかのように静かに見守っていた神父を振り返った。
「え、あ」
突然の事で、アベル自身もすっかり驚いていて。
「今日はすみません‥あの、今度の機会に――」
「え?え!ああ、ぜひ!是非今度!宜しくお願いしますね…!!」
両手を大げさに振り回す子供の様な神父に一礼してから、少し先を行くレオンへと改めて振り返った。
レオンはアベルの方に振り返った[#da=1#]に気が付いて少しの間足を止めていた。
「急げよ、列車は待ってくれねえからな」
すぐに追い付いた[#da=1#]からカバンを取り上げて。
2人は駅へと足を進めて行く。
その姿が見えなくなるまで、アベルは2人を見送っていた。
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過去編という感じで進んでいる5章
ずっと多分、
管理人が知りたかった、
巡回神父達皆さんの日常が切り取られた世界なんだろうな…
って思いながら
ずっと書いてる…
吉田直 先生…
本当に感謝感謝です
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