- Trinity Blood -4章
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妙に寝覚めが悪い朝だった。
夢…を見たような気がするが、もう全然覚えていない。
「だー…くっそ…」
何故だか妙に疲れていて。
重い身体を引き上げる様にしてベッドから離れる。
離れたベッドに向かって服を脱ぎ捨ててから、シャワー室に向かう。
蛇口を捻ってお湯を当てると、不意に背中に痛みが走った。
「…ちっ…あの時か」
抱いた女性が背中に爪を立ててきた。
生活に支障がある訳ではないし、責めるつもりはない。
身体を洗い切ってから昨夜から脱ぎっぱなしにした上着から煙草を取り出して一服する。
すっかり覚えていない夢にモヤモヤしつつ煙を吐き出していた。
下のテラスで朝食でも食うか…
まだ少しはっきりしない頭で、自室を足早に後にする。
鍵を掛けてすぐ向こうに見える大階段へと足を進め、手すりに手も掛けずに階段を下っていく。
フロントでは些か焦った顔の給仕たちが右往左往している。
まあボーイをしていた男が急に拘束された訳だ。
彼らにしてみれば突然の無断欠勤。
忙しそうなフロントを横目に、テラスに向かっていく。
幾つかのテーブルを背にして景色のいい所に座りメニューを見ていると、間もなく声が掛かる。
「失礼します、お決まりですか」
品のいい声の女性店員が声を掛けてきた。
「Bセット、コーヒーを」
「かしこまりました」
煙草に火を点ける。
登り切らない朝日に向かって煙を吐くと、さも煙たげに太陽が翳った。
静かではあるが、賑やかな朝の様子が聞こえる。
朝の訪れを感じながら、煙草の煙を吸い込んでいく。
任務とはいえこんなホテルに泊まったのだから堪能していこう。
っていうかレポートだよ問題は…
俺目立つようにうろついてただけだしなー…
ぼんやりと過ごしてばかりも居られない。
任務が済んだからにはこの高級ホテルにこれ以上金を落とせない。
なんせ目玉が飛び出る値段なのだ。
「お待たせいたしました」
運ばれてきたサンドウィッチセットとコーヒーが並ぶ。小さな小鉢にサラダがついている。
サラダは全部、いつも[#da=1#]に回していたが傍に彼は居ない。
「…くっそ」
どの場面に立っても、[#da=1#]を結局思い出してしまう。
彼の存在は、俺にとって大き過ぎた。
幼いあの神父が、いや…一見すると幼いが彼は成長が止まっているが立派な青年である。
博識ではあるが、物事を難しく考え過ぎているのが少し心配だった。
姿を消してしまい、それ以降はもう…およそ1年近く会えないままだった。
まあ…今逢えても、話せる事は何もないだろう。
彼の傷を増やす事になるという事実だけは変わらない。
原因は間違いなく、俺だ。
彼は、会いたくもないだろう。
思いを馳せながら、レオンは煙草を吐き出していた。
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